アメリカ・シリコンバレーのユニコーン企業、Sendbird（センドバード）。世界中の企業から選ばれ、開発者数14万5千人、ユーザー数60億人、そして月間処理メッセージ量70億件という驚異的な数値を誇るユニコーン企業です。Sendbirdは、アプリのチャットや音声・ビデオ通話機能を簡単に実装できるAPI/SDKを提供し、通常多大な工数と費用がかかるチャット機能の組み込みを、数行のコーディングで可能にしています。
シェイプウィンはSendbirdの日本市場への参入をサポートし、マーケティングとPR戦略の立案と実行を担当しました。
Sendbirdが抱えていた課題
日本市場への参入に際し、既にゲームやEC系企業での導入実績がありながら、さらに拡大することに課題を抱えていました。特に、マーケティング戦略を日本の独自の市場環境と文化に合わせてローカライズすることが大きな壁となっていました。
このような状況の中で、Sendbirdは日本市場でのさらなるエンタープライズ顧客の獲得を目指しており、2022年11月に日本市場に精通し、北米市場での豊富な経験を兼ね備えたシェイプウィンに目をつけ、プロジェクトを開始しました。
シェイプウィンが提示したソリューション
シェイプウィンが提案した戦略は、Sendbirdの日本市場での導入数を高めるために、エンドユーザーだけでなく、エンドユーザーに向けにSendbirdの実装を行うシステムインテグレーター(SIer)の両方にアプローチするというものでした。
また、Sendbirdが提供するコミュニケーションAPI/SDK業界は、日本での市場が確立しておらず、大きく重なる競合が存在しなかったため、市場認知や最初に導入すべきターゲット業界を改めて定義し直す必要がありました。そのため私たちは市場の絞り込みを行い、実績や市場でのニーズと照らし合わせた四つの業界に焦点を当て、それぞれに対してプロモーションおよびマーケティング活動を展開しました。
施策としては、まず日本語ウェブサイトのSEO改善から始め、ターゲット業界に合わせた内容のランディングページを作成して、複数の広告チャネルを使用したテストマーケティングからスタートしました。チャネルとしては、Googleの検索広告やディスプレイ広告、DSP等を用いて広くリーチし、反応を探りました。同時に、Sendbirdの魅力を伝える短いインフォグラフィックス動画をを制作して、YouTube広告を利用した訴求を行いました。
また、BtoBビジネスであることから権威性も必要です。プレスリリースを通じて日本市場でのサービスローンチを発表したことで多くのメディアでの掲載がされ、さらなる認知を獲得することができました。この統合的なマーケティングアプローチにより、市場におけるSendbirdのポジションを確立しつつあり、大手からの引き合いも多く獲得しています。
施策の中で工夫した点
施策を展開する中で、私たちが特に工夫した点はセグメントの調整です。当初、四つのセグメントに焦点を当てていましたが、途中でIT化に遅れが見られるセグメントに対しては、従来のアプローチが効果を発揮しないことが明らかになりました。そこで、方針を転換し、別の業種や規模の異なる企業をターゲットにテストマーケティングを実施しました。
セグメントを変更した際には、DSP（デマンドサイドプラットフォーム）広告を積極的に活用しました。DSP広告は、企業のIPアドレスや会社の規模、従業員数、売上、創業年数、業種、職種など、非常に細かい属性でターゲットを絞り込むことが可能です。DSP広告によりGoogle検索やSNS広告では実現できないレベルのターゲティングを行うことができ、B2Bサービスにとって非常に有効な手段となりました。
3ヵ月の広告運用の後にチャネルの検証も行い、反応の薄いGoogleディスプレイ広告を止め、検索広告とDSP広告に注力しました。
DSPを使用することで、私たちは「これを使えば何が得られるのか」というベネフィットを中心に、需要を喚起するメッセージを的確にターゲットに届けることができました。このように、細かいターゲティングが可能なDSPの活用は、Sendbirdのような特定のニーズに応えるサービスにとって非常に重要な戦略でした。
結果
このプロジェクトを手がけ始めた当初は文字通りゼロの状態からスタートしました。具体的な成果を数字で示すことは難しいですが、シェイプウィンの取り組みは、市場を一から開拓し、結果として大手企業との商談につながるという顕著な成果を達成しました。私たちの施策によって、日本の大手企業からの関心を引き出し、重要なビジネスチャンスを生み出すことができたのです。
Sendbirdからのコメント
シェイプウィンは日本市場のPRにおいて非常にプロフェッショナルでした！彼らは単なる広告代理店のような役割ではなく、我々の要望を適切に理解し、数字にとらわれることのない総合的なマーケティング戦略を提案してくれました。
彼らが効果的なメッセージングと施策を実施したおかげで、重要なパートナーとのアライアンスをも築くことができました。今後も引き続き支援をお願いしたいです。
Sendbird 日本カントリーマネージャー サンヒ・リー
シェイプウィン今後の展望
私たちシェイプウィンでは、PRとマーケティングを融合させた総合的なコミュニケーション戦略を展開しています。市場参入だけでなく、参入後の事業拡大においてもデジタルマーケティングやPR、フィールドマーケティング（展示会等）のマルチチャネルでのマーケティング戦略と実施を支援します。Sendbirdの日本企業での採用実績を増やすためにも今後とも精進して参ります。
