人事異動や新たな広報PR部署の創設により、この秋から広報PR担当者になった方も多いかと思います。広報PR活動はプレスリリースやSNS投稿だけでなく社内広報や危機管理、IRなど幅広いものです。この記事では、初心者の広報PR担当者にオススメの書籍を3冊紹介していきます。
(1)サニーサイドアップの手取り足とりPR
吉田誠 (著), 亀山一樹 (著), サニーサイドアップ社内マニュアル編集チーム (著)
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
(2)この一冊ですべてわかる広報・PRの基本
山見 博康 (著)
日本実業出版社
(3)ザ・コピーライティング
ジョン・ケープルズ (著)
ダイヤモンド社
イメージしやすく各書をランク付けすると、(1)は研修資料としても、ガイドブック、ハンドブックとしても活用できる読みやすい入門書になります。(2)は広報の全体がかかれており、客観的に広報PR活動を理解できます。(1)で理解した内容に更に肉付けするような著書になっています。(3)はプレスリリースや記事制作などで必須のコピーライティングのテクニックを高めるために、広報、広告、PR担当者は必須の著書です。
- 読む前に抑えておきたい! 読み方と抑えるべきポイント
- 各書のおすすめポイント
- 読み終わった後にやるべきこと
これらに焦点を当ててそれぞれの書籍を解説したいと思います。
読む前に抑えておきたい! 読み方と抑えるべきポイント
まず本を読む前にマインドセットをしましょう。
この事前のマインドセットはおすすめする3冊が満足いかなかった場合でも、今後「この本は役に立つのか」「自分の求めている答えをくれるか」ということも解決してくれるので必ずやるようにしましょう。
マインドセット
・何を知りたくて本書を読むのか書き出す
・何の理解を深めたくて本書を読むのか書き出す
記憶に残る最強の読書術
・分からない専門用語、単語を書き出して理解する
・全部を読まなくてもいい。自分の知りたいことを探しながら読む
・第三者に説明できるように読む
読みだす前に「なんのためにこの本を読むのだろう?」「何を知りたくてこの本を読むのだろう?」という質問を問いかけてみてください。そして、しおりや表紙の裏などに書いて忘れないようにしましょう。本は読み切る必要はありません。わからないとき、知りたいときに探し出すものです。
マインドセットができたら、読み始めましょう。
各書で得られる知識とポイントについて
(1)サニーサイドアップの手とり足とりPR:入門、研修、ガイドブック、ハンドブック
ポイントは下記です。
- 2021年5月初版の最新本のため今の時代にあったPR法も掲載している
- 圧倒的読みやすさとわかりやすさ
- PR会社であるサニーサイドアップが社内のマニュアルを元に作られた
広報を学び始めたばかりの初心者に必読の著書です。読みやすさについては、簡潔にまとめられた解説、見やすい配色、わかりやすい具体例、頭に入ってきやすい図解など、初心者でも理解しやすい一冊になっています。本書は30年間、年間200社以上のPR活動を支援してきたサニーサイドアップが社内のマニュアル、研修資料として使用していたものを元に作られています。読みやすさ、理解しやすさ、内容、信頼性などの観点から一冊目に読んで間違いない書籍です。
また、2021年5月に出版された著書であるためコロナ禍の時代の広報やメディアなども網羅している内容になっています。広報担当者ではなくても営業担当が読んでも非常に価値があると思います。顧客分析や、新規セールスの手法にも役立つ情報やノウハウがかかれているからです。今後はマーケティング能力・PR能力・営業能力を持つ人材が求められ、標準化してきます。そのため広報担当者以外にも、広報を理解するためにわかりやすい一冊となっています。
第一章は『PR』を概念と捉えるマインドセットから始まります。そのマインドセットができたうえで次章からは、PRの手法を具体的に紹介しています。それぞれの手法はポイント・手順・具体例もあるので非常に分かりやすい内容となっています。基本的なワードのおさらいもあるので『わかったふり」だったキーワードを振り返り、理解を深められます。
幅の広いPR活動の戦略や調査、分析から、メディアプロモート、リアルプロモーションのテーマまで幅広く掲載しています。おわりにも記載ありますが、広報PRにかかわるすべての人のガイドブックとなりうる一冊になっています。
(2)この一冊ですべてわかる広報・PRの基本:全体網羅、さらに深堀
ポイントは下記です。
- 2009年の初版からアップデートされて2021年5月第3刷発行
- 『何をするのか』の手順まで載っている
- 付録の充実度(各社メディア情報・各社広報担当者の声・連絡先など)
広報PR担当者の教科書と言ってもいいと思います。広報の概念理解から、広報担当者の具体的手順まで書かれています。2009年の初版からアップデートを重ね、発行されていることも含め多くの人に指示されていることが伺えます。広報活動に関して広く網羅しており、ボリュームがあるため、全体を理解する上では良い著書となっています。付録の内容がさらに本書の価値を高めており、広報担当者の声や初心者に求めることなどが記載されており相当な価値があります。広報担当者が手元にあって損のない一冊になっています。
第一章では広報とは何かという概念、マインドセットから始まり、広報担当者の日々の業務の内容などがわかる内容となっています。図やイラストを用いて概念や考え方を例えているため、『広報』の概念を自分の言葉で理解できるようになると思います。
次章以降はより具体的なPR手法の方法と手順とノウハウが豊富に書かれています。社内広報担当、危機管理広報担当、ウェブ広報担当、報告書の書き方など幅広く広報担当者の業務を網羅できる内容となっています。先ほど紹介したサニーサイドアップの著書よりさらに深堀した内容のためところどころイメージしづらい、インプットが多い箇所もあるかもしれませんが実務を多く重ねていくごとにつまずいてしまうこと、課題に感じる箇所をこの著書で解決できるかもしれません。
(3)ザ・コピーライティング:テクニック、必須になるノウハウがすべて掲載
ポイントは下記です。
- センスと思われていた『コピー』には型がある
- タイトルや見出しで迷うことがなくなる
- 記者が読みたくなる『タイトル」が書けるようになる
広報担当者は、メディアだけでなく、顧客、社員、株主など多方面のステークホルダーとより良い関係を作ることが仕事です。プレスリリースやSNS投稿などの発信した内容や社内報、ファクトブックなど制作物などのメディアを通じて『認知』してもらいます。
そのために必要なスキルが文章力であり、『コピーライティング』です。
例えば、1日何百通とプレスリリースのメールが届く記者にとって開封する判断基準は『件名』だけです。大量のメールの中からニュースを的確に伝え、かつ開きたいと思えるようなプレスリリースのタイトルを考えるコピーライティングスキルが求められます。
また、企業ブログやオウンドメディアにおいて、いくら内容が面白くても、一大ニュースでも、顧客の目に留まらなければ認知はおろか見込み客に発展することもありません。今後、顧客はこれまで以上に広告やPRやコピーに触れることになるでしょう。膨大な情報の中から『面白そう』『読んでみよう』と興味を引くために大事になってくるのは、やはり『見出し』です。コピーライティング力が試されるのです。
本書には『35の見出しの型』『見出し失敗例10本』など今すぐ使えるスキルがたくさん載っています。自分では「完璧な見出しができた!」と思っていても読み手からすると響かないコピーの場合が多くあります。
これまでのメールの件名や言葉選びを振り返るのにもよい著書です。著書内から具体例を出すと、タイトルには『得になること』、『簡単にわかること』、『新しいこと、『好奇心をくすぐること』が含まれていることが重要です。
費用対効果を最大化するためにテストされた『型』を知ることができるので引き出しが増えること間違いなしです。広告の父であり、世界的な広告代理店『Ogilvy』の創業者であるD.オグルヴィが『いちばん役に立つ広告の本』と言う伝説の本です。全部で400ページを超える内容ですし、著書にしては価格も少々します。しかし、いざコピーを作るとき、どんなタイトルがいいか迷ったとき、インプレッションを高めたいときに手元にあって役立つ著書になっています。時代によってトレンドは変わりますが根本的に人間が反応する「言葉」は変わりません。その仕組みについて理解ができます。
読み終わった後にやること
以上が広報初心者におすすめの3冊になります。知識はわかる→試す→使い続けることで効果が出ます。わからないこと、知りたいことを著書で理解ができたら次はアウトプット(実践)をしていきましょう。知らないことを100%知るまで実践をしないという人がいますが、実践をして失敗をしないまでは知識は何の役にも立ちません。得た知識をたくさん使い、自分の武器になるまで磨き上げてみてください。