『広報担当者』と聞いてどんな仕事の内容を想像しますか? プレスリリースを書く人、マスメディアと折衝をする人、会社のブランディングをする人など様々なイメージがあると思います。
大手や中堅企業のみならずスタートアップ企業でも広報PRの担当者を置く会社が増えてきました。広報PRを担当する人、広報担当者を採用・抜擢しようと思っている経営者の方に向けて、広報PRの仕事はどんなものなのか、そのイメージをお伝えしたいと思います。
広報は各プレーヤーの裏方である!
企業の広報担当者のイメージは『キラキラした人』だと思います。テレビや新聞などメディアの取材の時に同席していたり、広報自身がメディアに出て受け答えをしたりすることもあります。確かに、スタートアップを中心にキラキラのイメージが強いです。facebookやTwitterなどのソーシャルメディアで見かけるのもキラキラした人が多いです。
しかし、現実は違います。
広報の仕事はあくまで『裏方』です。
広報の仕事は会社が発信する情報を適切な人に的確に届けるのが仕事です。情報の受け手が誰かによって、発信する情報、発信の方法、登場人物をアレンジする情報発信のプロです。
たとえば、IT系のメディアで技術力をアピールしたい時には、エンジニアを主役にしてストーリーを組み立てます。取材の前にはエンジニアに対して取材の想定質問をぶつけ、トレーニング。取材の時には技術力のアピールに繋がるようにエンジニアやメディアをエスコートすることもします。
裏方としてのリーダーシップ能力が広報には求められるのです。
「行くぞー!」と唱える乱世のリーダータイプではなく、「こっち、こっち」と導く羊飼いのようなイメージでしょうか。
企業の情報発信、ブランドを支える舞台監督という表現も当てはまるかもしれません。
広報は社内と社外の人を結ぶ通訳者
広報という仕事をわかりにくくしているのは『広報』という言葉です。漢字の意味から受け取るのは『広く報じる』です。少し一方的な発信のようにも感じます。英語では『Public Relations(パブリック・リレーションズ)』といい、『パブリック=社会』との『リレーションズ=関係作り』を意味します。リレーションズは会社と社会の間に架け橋を築くことでもありますので、双方向のコミュニケーションの間に立つのが広報の役割です。
プレスリリースくらいは誰でも書ける!?
経営者、営業、マーケティング担当者もプレスリリースを書くことはできます。メディアの取材が入ったとき、問題なくインタビューに応じることもできます。広報がいなくても広報の業務は回るのではないかと思うかも知れません。
年に一度や二度の情報発信、取材対応でしたら、会社の中のだれかが一時的に対応するのでも問題ありません。しかし、何度も発信をしたり、取材を受けたりすると企業から発信するメッセージがぶれてくるのです。
また、商品が出てきたタイミングではたくさん取材をされたのに、今はめっきりなくなったという会社も多いと思います。メディアから見てその会社の新鮮さがなくなったということだけではありません。原因は、意識やコミュニケーションのギャップです。
会社が大きくなるにつれて社内のギャップ、社外とのギャップが大きくなっていくのです。社内を見てみても、経営・営業・マーケティングのビジネスサイドと開発・サポートなどの技術サイドではコミュニケーションにギャップがあると感じたことがある人は多いはずです。
立場が違えば『常識』が異なるのです。
社内でも存在するギャップは、社外であるメディアを相手にした場合、必ずあります。
観点・視点のギャップを埋めるのが広報の役割
社内外のコミュニケーションにおいて、広報は『通訳者』という重要な役割を担います。
メディアに取材してもらえない、掲載してもらえない会社が悩んでいる共通点があります。
それは、その会社がおもしろいと思っている『おもしろい』とメディアの人が思っている『おもしろい』の観点が大きく異なるのです。
それは、特定の分野、技術、視点などあらゆる点において立場が違う事で発生するのです。
営業が発信する情報に対して「それは、広告っぽいネタです」という広報の指摘は、どの会社でもよくある会話です。
広報の役割として重要なのは、会社の中の人と外の人をそれぞれ理解して、お互いに分かる言語で翻訳することです。ただ翻訳するだけでなく、お互いのギャップをフィードバックして、両者のレベルを上げていくことが重要です。教科書的な広報ではなく、会社や業界にあった通訳者としての広報スキルを磨くことが重要です。
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昨今の広報はメディア相手だけではない!
広報の業務は、会社の規模によってやることが変わります。スタートアップでは、プレスリリースを発信する機会は少ないので、会社の認知を上げるためにイベントを行ったり、採用に繋がるソーシャルネットワークの投稿をしたりと、とにかく発信を強化することがメインです。やがて中堅企業に成長すると社内のインナーコミュニケーション・インナーブランディングをするための広報機能や危機管理、IRなど様々な役割が出てきます。
昨今、特に広報の腕前が試されるのはソーシャルネットワークだと思います。おもしろいコンテンツを提供してバズらせる(拡散する)ということももちろん大切ですが、社内を巻き込む力や社外とのアライアンスを組む力も試されます。
また、社員の誰でも気軽に投稿できてしまうことから情報漏洩や会社のブランドイメージを下げるような事故に繋がるなどあらゆる危険性が考えられます。社員への教育や危機管理なども広報担当者には求められる業務になってきています。
広報の仕事相手は、メディアだけでなく、自社のフォロワー、社員など多種多様で、その人達と信頼関係を構築し、コミュニケーションを円滑にする難しい仕事なのです。会社のブランドを構築し、守っていくためにも広報担当は不可欠といえるでしょう。
どんな人が広報に向いているのか?
以前、このブログの『広報担当者採用における失敗談——スタートアップ編』でも同じことを書きましたが、『社内リレーション』に強い人が広報に向いています。
スタートアップが広報を採用する際に失敗しがちな共通点として、メディアとのコネクションの強さや広報としての経験年数を基準に採用していることが挙げられます。メディア人脈の構築はもちろん大事ですが、社内でよい関係作りができない人を社外に出すのは危険です。社内で信頼される人を抜擢する、そのような人柄の人を採用するというのが大切なのです。
シェイプウィンでは、新人広報担当者の育成や広報担当者の採用・社内抜擢の支援も行っています。広報機能をインハウス化するためにはどうしたらいいのかなどお気軽にご相談ください。