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世界のマーケット市場規模「広告業界・PR業界ともに成長」

ビジネスを成長させるためには、顧客となりうる人々に、サービスやプロダクトを知ってもらう必要があります。どんなに良いものでも、誰も知らなければ「宝の持ち腐れ」です。

認知されるには、様々な方法が考えられますが、その代表的な例に、広告とPRがあります。広告代理店やPR会社を選ぶに際し、これら2つの業界がどのようなランドスケープになっているかを把握することは、とても有益です。

世界中のビジネスデータを調査し、ファクトやインサイトを発行する『Statista』の情報をもとに、広告業界とPR業界についての理解を深め、今後の展望についても見ていきましょう。

グローバル広告市場の統計&ファクト:

世界中の広告費は着実に増えており、2019年には前年比で約4%増の5,600億米ドルを超えると見られています。2020年の広告費の成長率は4.3%で、引き続き成長が続くことが見込まれています。

北米は広告市場で最大の地域であり、アジア太平洋が2位で続いています。西ヨーロッパは、北米の約半分の規模で3位。上位と比較し、中東、アフリカ、中欧・東欧の広告費は限られています。

世界最大の広告市場である米国は、2018年に2,229億米ドル以上でしたが、2019年には2,430億米ドルの広告費が使われました。

世界ランキング2位の中国は910億米ドルです。つまり、アメリカでは中国の2.5倍もの広告費が動いていることになります。3位は日本で、460億米ドルをわずかに上回っています。

ヨーロッパでは、英国とドイツが上位で拮抗しており、ラテンアメリカではブラジルが1位でした。

1位米国、2位中国、3位日本、これはGDP(国内総生産)の順位と同じで、興味深いです。またGDPは4位ドイツ、5位英国と続いており、広告費とGDPは密接に関連していることが見てとれます。

世界最大の広告市場、アメリカの状況:

グラフのイメージ

テレビは、2018年時点で最大の広告媒体で、国内の総広告費の36%を占めています。しかし、その強力なポジションは、デジタル媒体の追い上げを受けており、2019年には、デジタル広告費がテレビをわずかに上回っていると見られており、2020年には、その差は5%以上に達するでしょう。

米国の成人へのアンケート調査では、半数以上が「TVコマーシャルに注意を払っていない」ことを認めており、それが一般的な広告費のトレンドにも表れています。テレビとは対照的に、デジタル媒体は、広告のターゲット設定とパーソナライズを改善する事が可能です。

このデジタル広告の長所を採り入れた、アドレサブルTVというものも生まれています。テレビ広告は、なだらかな縮小傾向にありますが、アドレサブルTVの広告費は成長しており、今後テレビを活性化させるソリューションと目されています。

長期的に見ると、TVとオンライン・ストリーミングの差が、どんどんなくなっていくように思えます。

大口の広告主:

ビル群

大規模な広告予算を使っている広告主を見てみましょう。

韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)は、世界中で宣伝広告に112億米ドルを使っています。

一般消費財を製造販売する米企業P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は、広告に100億米ドル以上を費やしています。

他には、オランダとイギリスを拠点にする一般消費財メーカーUnilever(ユニリーバ)、フランスの化粧品ブランドL’Oréal(ロレアル)、ドイツの自動車大手Volkswagen(フォルクスワーゲン)も大規模な予算を広告に投じています。

広告に大きな予算を確保しているのは、消費者向けの事業を行う大企業だということが見て取れます。不特定多数いる消費者との接点を、広告に求めていると思われます。また、一般大衆が幅広く使用する商品は、市場規模も大きく、自ずと広告予算も大きくなるということが、言えるかもしれません。

テレビとラジオ:

2018年の世界のテレビ広告費は1,820億米ドルであり、2021年までに1,780億米ドルくらいまで、徐々に減少していくことが予想されています。同じ時期に、テレビ広告費が伸びる市場は、中欧・東欧、ラテンアメリカのみです。

世界のラジオ広告は、2018年から2021年にかけて、主にデジタルフォーマットの開発が進んだことが要因で、約10億米ドル増加する見込みです。

一つ一つの広告の規模では、やはりTVの存在感は大きなものです。出演料が高額な有名人を登用し、製作にも手間ひまをかけています。一方でパーソナライズとターゲティングが細やかに調整できないため、ニーズを拾いきれずに市場規模が縮小していると言えるでしょう。古くからあるラジオが、テクノロジーと出逢うことで、今後どのように進化していくかは、とても楽しみです。

印刷媒体:

印刷された紙メディアに関しては、新聞と雑誌の両方で広告費が減少しており、印刷媒体の業界展望は、必ずしも楽観的なものではありません。 2018年、全世界の雑誌広告費は268億米ドルでしたが、その後3年間で210億米ドルに減少すると考えられています。

同時期に、新聞の広告費は、470億米ドルから400億米ドルに減少すると思われます。やはり、デジタルメディアの台頭により、伝統的なメディアは苦戦しています。

紙メディアについては、印刷して、読者に届けるのに手間、労力、費用を要します。紙の原材料は主に木であり、輸送には燃料が必要で、環境負荷がかかります。今日では、スマホが普及し、手元でスクリーンから情報を得られるようになっています。紙だったものがデジタル化するのは、理にかなっており、この流れは今後も続くでしょう。

デジタルとモバイル:

スマートフォンで音楽を聞く男性

インターネット広告は、2018年に12%以上と2桁台の成長を続けています。2019年のデジタルメディアの広告費は、世界全体で3,332億5千万米ドルと見られています。このセクターは、目覚ましい成長を遂げており、2023年には5,170億米ドルを超えると予想されています。

2018年、米テクノロジー大手のGoogleは、デジタル広告から1,160億米ドルの収益を上げました。同じく、Facebookは550億米ドル、Twitterは26億米ドルでした。

モバイルインターネット広告は、世界の広告市場で最も急速に成長している媒体です。2018年、世界全体のモバイル広告費は1,599億米ドルに達し、2021年までにさらに2,505億米ドルに成長すると予測されています。

アジア太平洋地域は、2017年と比較して2018年に広告依頼が44%増加し、最も大きなポテンシャルがあります。同時期に、世界全体では、広告依頼は27%増加しています。

2018年にモバイル広告に最も費用を使ったのは小売セクターで、49%を占めています。次いで2位メディアが約25%、3位が金融でわずかに6パーセントです。

デジタルとモバイルは、進境著しい分野で、テクノロジーの進化とともに、広告手法もどんどん進化しています。遅れを取らないように、常に新しい情報に敏感になっていることが鍵となるでしょう。

グローバルPR市場:

世界地図

「PR」(パブリック・リレーションズ)は、日本語では「広報」と呼ばれることもあります。企業、組織、個人と一般公衆(パブリック)との間のコミュニケーション・プロセスと理解することができます。

グローバルPR市場の規模(2018~2022年):

世界のPR市場は2018年に638億米ドルでしたが、2022年末までに、930億米ドルを超えると予想されています。年平均成長率は9.9%です。

PR市場の規模は、広告市場と比較すると、約7分の1ですが、成長率では、2倍以上になっています。

アメリカ企業のPR活動:

米国の大企業(従業員500人以上)のうち、46%が広報活動を行っており、19%が外部のPR代理店を雇って実務をしています。中小企業では、31%が広報活動に予算を充てており、15%が「PRがビジネスを成長させるために最も頼っているマーケティングの手段である」としています。

大企業から中小企業まで、会社の規模にかかわらず一定の割合は、社外とのコミュニケーションで、スペシャリストであるPR会社と協働していることがわかります。

まとめ:

デジタル広告は、とても勢いがありますが、テレビ広告も、次の手を打っており、必ずしも右肩下がりが続くわけではなさそうです。

ラジオ、TV、紙媒体といったマスメディアは、デジタル広告のように詳細な絞り込みがないことが特徴です。これは必ずしも劣っているわけではなく、違いがあるということです。パーソナライズとは反対の方向でブランディングや格付けのための活用など使い方を分けるのも手です。

インターネット広告はでは、ユーザーの傾向を掴んだ上で、広告を出すことがありますが、マスメディアのように幅広い層に届ける場合は、消費者が気付かなかったようなことまで喚起することも可能です。巨額予算を投じれば、全国津々浦々まで、力技で一気に情報を伝達することが出来ます。

情報をただ伝えるだけであれば、紙媒体よりも、デジタルのほうが遥かに効率的です。どんどん、シェアを落としていく中で、それを逆手に取って、紙の触感やテクスチャー、インクの色具合にまでこだわったブランディングで、希少性を全面に出して、特別な価値を提示するということも出来るでしょう。

ここまで見てきただけでも、実に多くの売り込み方があることが分かります。これらを複数、組み合わせてポートフォリオをつくるという場合もあるでしょう。

売り込み方と同様に、会社や商品にもそれぞれのカラーや特徴があります。自ずと、会社や商品によって、それぞれ戦略も異なってきます。

自社の商品を売り込むために、広告や広報をどのように活用すればよいか考える上で、これらのデータは何か手がかりを掴むきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。

参照:
Statista
https://www.statista.com/topics/990/global-advertising-market/
https://www.statista.com/statistics/236943/global-advertising-spending/
https://www.statista.com/statistics/645836/public-relations-pr-revenue/
https://www.statista.com/topics/3521/public-relations/

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Takuya
ヨーロッパ・スペイン在住の元新聞記者です。海外展開やグローバル展開に向けた世界の情報を発信しています。日本だけでなく、EU・北米(アメリカ)での広報PRやプロモーションにおいて役立つ情報をお届けします。