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プレスリリースがなくても可能な広報PRの方法とは?

私たち広報PRの専門家(コンサルタント)が受ける相談で特に目立つものは「どうすれば定期的にメディア露出・記事化することができるのか?」という質問です。

過去にASCII.jp との共催セミナーにて、広報宣伝スキルアップセミナー第7弾プレスリリースがなくてもできる広報PR教えます』【7/18セミナー開催】にて、この疑問に関してお伝えしたことがあります。プレスリリースをしたくてもネタ切れになっていてできない。プレスリリースがないときにメディア露出・記事化へとつなげていくやり方が分からない悩みが、セミナー中の質問コーナーで多くありました。

今回は、プレスリリースするネタがなくてもメディア露出する方法。そして、プレスリリースよりも深く厚い情報をメディア露出する方法をお伝えします。

メディアのインサイトは取っていますか?

ノートPCで説明する女性

大半の広報PRパーソンは、メディアに記事化をしてもらいたいときに、プレスリリースを配信して、主要媒体に電話をかけ、プレスリリースの掲載の可否を聞くと言うことをしていると思います。

自社分野の担当編集者が運良く電話に出てくれれば、プレスリリースに書いた製品やサービスのよさを直接説明できるかもしれません。

しかし、メディアの返答は次のようになることがほとんどではないでしょうか?

「確認します」
「届いていると思いますので、担当に渡しますね」

プレスリリースの窓口には、毎日数百通のプレスリリースが届き、すべてに目を通してもらうというのは不可能です。

プレスリリースでしかメディアにコンタクトを取ることができないとなると、製品やサービスが発売・新登場するような特別な瞬間しかメディア露出・記事化するタイミングがありません。

新製品・新サービスやアップデートがない時にもメディアに取り上げてもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。さらに、特集記事などに取り上げてもらいたいという場合はどうすればいいのでしょうか。

プレスリリース以外でメディア露出・記事化するための行動としては、『メディアに企画を持ち込む』というアクションが必要になります。

ニュースがない状況で、プレスリリースもない状態で、いったいどうやって企画を持ち込めばいいのか? そもそもどんな企画を持ち込めばいいのか? いきなり企画を持ち込んで悪印象にはならないのか? などなど。

その答えは、『メディアのインサイト』にあります。

メディア研究で記事の傾向などを把握しよう

メディアのインサイトとは、メディアが今(次)に考えている着眼点です。簡単に言うとメディアのニーズです。そのニーズを把握することがプレスリリースなしでもメディア露出をするヒントです。

メディアのインサイトを獲得(ヒアリング)するためには、メディアの研究が不可避です。自分が掲載したい最重要媒体の特集や、記事の流れ、どういった素材があれば掲載につながるかということを研究します。

これらのメディア研究があってはじめてメディアのインサイト獲得に向けた行動の準備が整います。

メディア研究の次にすべき未来の情報獲得とは?

ビジネスプランニング

ここで一つ気をつけなければならないことがあります。

メディア研究は非常に重要な作業の一つではありますが、それは『過去』に特化したものです。これからメディア露出・記事化につながる活動としては、『未来』に目を向けたメディアのインサイトが必要です。

この先どういう特集を考えているのか?

それは、机上で過去の記事を読み解くだけでは決して手に入らないものです。

未来に目を向けた『次』のメディアのインサイトを獲得するためには、ターゲットにしているメディアの編集者やジャーナリストと会って直接聞くしか方法はありません。

関連記事:メディアに刺さるニュースバリュー

プレスリリースがなくてもメディアにアポを取る方法

メディアのインサイトを獲得するためには、メディアにアポを取って、会いに行く必要があります。しかし、何も提供する情報がない中でメディアにアポを取るというのは不可能です。

そのための方法として『ニュースレター』というPR手法を使います。過去の傾向からメディア研究を行い、そのメディアにフィットした情報をまとめたニュースレターと呼ばれる『メディア向けの読み物』を用意します。

ニュースレターは、業界的に注目していること、マーケットやトレンドのサマリー、そのデータや考え方の元になったデータの引用先は何か、業界ないしはトレンドの中に自社製品はどういうポジション、方向性なのか? などを盛り込みましょう。

編集者や記者も情報収集をしていますが、追いかけているテーマが多数あります。

そこに良質な資料とともに業界動向を教えてくれる広報PRパーソンがもしやってきたら?

そのテーマについて、彼らが欲しいデータや、方向性などを話すことができれば、記事化への道は近くなります。

これがメディアのインサイトを獲得するということです。

ニュースレターがきっかけで関係構築できたメディア事例も多数あります

握手

広報PRパーソンが持ち込んだニュースレターはメディアにとって重要な情報源です。良質なニュースレターがあれば、メディアキャラバンでアポを取り会ってくれる編集者や記者が増えてきます。ニュースレターが始まりとなり新しく関係を構築できたという事例も多数あります。

私がこれまで広報PR支援でしかけた例としては、タブレットPOSの比較記事や、働き方改革におけるシェアオフィスについてのインタビュー記事の中に、スマートロック製品の紹介を盛り込んだ記事などがあります。

タブレットPOSの比較記事は、ASCII.jpの「無料クラウドPOSレジ比較まとめ2016【法人向け】」(2016年)になりますが、ロングテールで検索され、いまだに一定のPVを稼ぎ出す影響力の高い記事です。また、この記事は基本的にタブレットPOSの採用を考えている小売店の人間が検索してたどり着く記事です。リードを取ると言う意味でも優秀です。

スマートロック製品ついては、シェアオフィスを手がけた大手不動産会社がどのようにセキュリティ対策を展開しているのか、どうやってそのスマートロックを運用しているのかといった形でそのスマートロック製品を、普段取り上げてくれないメディアに展開することができました。

メディアは、貴社の製品情報以外を求めている!

製品やサービスを広めるための広報PR活動であるのは間違いないですが、周辺情報や企業としての魅力も記事化のためのネタになることも多々あります。メディアを研究し、何を求めているのかを考え、実際にメディアとあってメディアのインサイトを確かめるという広報PR活動をすることで、プレスリリース以外でメディア露出・記事化につなげるヒントが多く得られます。そのためには、自社の製品情報以外の周辺情報を洗い出し、いくつもの着眼点を用意しておくことが大切です。メディアのインサイトを重視した広報PR活動を行うことは、メディアの相談相手として重宝される広報PRパーソンへの近道です。

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重谷 敬代
広報PRコンサルタント。KADOKAWA(メディアワークス、エンターブレイン)、ソニーのインターネット関連企業で広報、宣伝に従事。VAIO、Walkman、などのSONY製品、ライトノベル、コミックス、東京ウォーカー等の情報誌はじめ「テルマエ・ロマエ」などのメディアミックスなどを担当。現在は、銭湯から、IoTスタートアップ企業などイノベーションのある企業の広報・PRを多数担当。