現代の消費者は、企業広告よりも第三者の口コミやレビューを信頼する傾向があります。
そのため、オウンドメディアやペイドメディアを活用するだけでは、ブランドの信頼を獲得するのは難しくなっています。そこで重要になるのが「アーンドメディア」です。
企業がコントロールしづらいという難しさがある一方で、その分うまく活用できれば消費者から大きな信頼を得ることができ、ブランドの信頼性向上に貢献します。
本記事では、アーンドメディアの概要から、オウンドメディアやペイドメディアとの違い、具体的な活用方法まで詳しく解説します。
アーンドメディアとは?

アーンドメディアとは、企業が直接管理できない第三者によって発信されるメディアを指します。
SNSの口コミやニュース記事、レビューサイトなどが該当し、オウンドメディアやペイドメディアと並ぶ「トリプルメディア」の一つとされています。
企業側が発信する情報よりも信頼性が高く、自然な形で拡散されるため、ブランドの認知向上や信頼性の構築に貢献します。しかし、情報統制が難しく、炎上リスクもあるため、戦略的な活用が求められます。
アーンドメディアの目的
アーンドメディアの目的は、第三者の評価を通じてブランドの信頼性を高め、広範囲に情報を拡散することにあります。
企業が自ら広告を出すペイドメディアや、自社で管理できるオウンドメディアと異なり、アーンドメディアは消費者の自主的な発信やメディアの記事によってブランド価値を高めます。
特に、SNSや口コミサイトでの評価が高いと、新規顧客の獲得やリピート率の向上につながります。また、SEOの観点からも、信頼性の高い外部サイトからの被リンクが増えることで検索順位が向上しやすくなります。
ただし、企業の意図と異なる形で情報が広まる可能性があるため、継続的なモニタリングや適切な対応が重要です。
ペイドメディアとの違い
ペイドメディアは、企業が費用を払って広告を掲載するメディアを指します。一方、アーンドメディアは、企業が直接コントロールできず、第三者の意志によって発信される情報が中心となります。
ペイドメディアは即効性があり、狙ったターゲットに直接リーチできる強みがありますが、広告費用がかかります。対してアーンドメディアは、自然な形で拡散されるため、消費者に受け入れられやすく、長期的なブランド価値向上につながります。
オウンドメディアとの違い
オウンドメディアは、企業が自ら運営・管理するメディアを指し、公式ウェブサイトやブログ、SNSアカウントなどが該当します。アーンドメディアとの最大の違いは、情報の管理権限にあります。
オウンドメディアは、企業が自由にコンテンツを作成・発信できるため、ブランドメッセージを統一しやすいです。一方、アーンドメディアは消費者やメディアの意見によって形成されるため、企業の意図と異なる形で情報が広まることがあります。
しかし、オウンドメディアとアーンドメディアを連携させることで、公式の情報を拡散し、第三者の信頼を得ることができます。企業は、オウンドメディアで良質なコンテンツを発信し、それがアーンドメディアで自然に拡散される流れを作ることが理想的な活用法といえるでしょう。
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シェアードメディアとの違い
シェアードメディアとは、企業とユーザーが共同で情報を発信・拡散できるメディアを指します。
具体的には、SNSやオンラインコミュニティなどが該当し、ユーザーが企業の投稿をシェアすることで、情報が広がっていく仕組みです。
一方でアーンドメディアは、企業が直接関与せず、第三者の意志によって情報が発信される点が大きな違いです。例えば、ユーザーの自発的な口コミや、メディアの記事として取り上げられるケースが該当します。
また、ブログやレビューサイトなどは、情報の拡散性が比較的低く、ユーザーが企業の情報を積極的にシェアするというよりは、検索結果やサイト訪問者のみに影響を与えるメディアです。これらはアーンドメディアの一部として捉えられますが、シェアードメディアのような拡散力はありません。
この記事では、アーンドメディアを中心に解説を進めていきます。
アーンドメディアのメリット

アーンドメディアは、企業の広告宣伝とは異なり、第三者の評価を通じてブランド価値を向上させることができます。次に、アーンドメディアの主なメリットを詳しく解説します。
信頼・信用してもらいやすい
アーンドメディアの最大の強みは、第三者による評価が伴うため、消費者に信頼されやすい点です。
企業が自社の製品・サービスを宣伝するペイドメディアとは異なり、アーンドメディアでは実際に商品を使用したユーザーや専門家、メディアが発信するため客観性が高く、広告よりも説得力があります。
例えば、SNSの口コミやレビューサイトの評価は、他のユーザーのリアルな体験に基づいており、企業が提供する宣伝文句よりも信頼性が高いとみなされます。このように、アーンドメディアを活用することで、ブランドの信用力を高めることができます。
認知の拡大が期待できる
アーンドメディアは、ユーザーが自発的に情報を発信・拡散するため、広告費をかけずにブランドの認知度を高めることができます。特に、SNSでのシェアや口コミによる情報拡散は、短期間で幅広い層にリーチする可能性があります。
またメディアに取り上げられた場合、その情報が他のメディアにも波及し、さらなる拡散効果が生まれます。例えば、大手ニュースサイトで紹介された商品が、SNSやブログで話題になり、多くのユーザーの目に触れるケースは少なくありません。
このようにアーンドメディアは、ペイドメディアと比較してコストを抑えつつ、大きな認知拡大を実現することが可能です。ただし、情報が拡散されるまでには一定の時間や労力が必要となるため、継続的な戦略が求められます。
資産として残り、一過性のものではない
アーンドメディアは、単発の広告とは異なり長期的な資産として機能するのが特徴です。特に、SEOにおける被リンク効果が期待できる点が大きなメリットの一つです。
信頼性の高い外部サイトで企業の製品やサービスが紹介されると、それが被リンク(バックリンク)として機能し、検索エンジンの評価が向上します。Googleは、信頼できるサイトからのリンクを重視するため、アーンドメディアを通じて獲得した被リンクは、SEO対策において重要な役割を果たします。
またユーザーの口コミやレビューは、時間が経ってもインターネット上に残り続けるため、長期的なブランドの資産となります。このように、アーンドメディアは一過性ではなく、企業の成長に貢献する持続的な価値を持っています。
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アーンドメディアのデメリット

アーンドメディアには多くのメリットがありますが、一方で企業がコントロールしにくい点や、リスク管理が必要な側面もあります。
適切な対応をしなければ、ブランドイメージの低下や炎上リスクを招く可能性があるため、デメリットを理解し、事前に対策を講じることが重要です。
次に、アーンドメディアのデメリットを解説します。
情報のコントロールの難しさ
アーンドメディアの最大の課題は、企業が情報の発信を直接コントロールできない点です。消費者やメディアが自由に情報を発信するため、企業の意図とは異なる内容が拡散されることがあります。
例えば、製品に対する好意的な口コミが広がる一方で、ネガティブなレビューや批判的な意見も同時に拡散される可能性があります。また、企業が使いたい固有名称やメッセージを正しく伝えられないケースもあり、ブランドの統一性を保つのが難しくなります。
このため、企業はアーンドメディア上でのブランドの評判を常にモニタリングし、適切なタイミングで情報を発信したり、フォローアップを行うことが求められます。
繰り返し行うことができない
ペイドメディアと異なり、アーンドメディアは一度発信された情報を企業側で再利用したり、意図的に繰り返すことが難しいという特徴があります。
例えば、広告であれば同じ内容を複数回配信することが可能ですが、アーンドメディアでは、一度拡散された情報が意図通りに広がるとは限りません。
特に、話題性の高いニュースや口コミが一度注目を集めても、それを継続的に発信する仕組みを持たないと、一定期間を過ぎると情報が埋もれてしまいます。そのため、企業はアーンドメディアの特性を理解し、継続的な情報発信の仕組みを作ることが重要です。
露出量のコントロールができない
アーンドメディアは、情報が自然に拡散されることが前提のため、企業が意図したタイミングやボリュームで露出を調整することができません。
例えば、広告であれば特定の期間中にターゲット層へ集中して配信することが可能ですが、アーンドメディアでは拡散の速度や範囲を完全にコントロールすることはできません。事前にしっかりとKPIを立ててメディア露出の数値化をするなどの工夫が求められます。
アーンドメディアの種類
アーンドメディアにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。企業のマーケティング戦略において、どのアーンドメディアを活用するかを適切に判断することが重要です。
ここでは、代表的なアーンドメディアの種類について詳しく解説します。
マスメディア

マスメディアは、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどの大規模なメディアを指します。これらのメディアで企業の製品やサービスが取り上げられると、非常に広範囲に影響を及ぼし、ブランドの認知度を一気に高めることができます。
特徴
• 影響力が大きい:全国規模のテレビや新聞で取り上げられることで、多くの人にリーチできる。
• 信頼性が高い:公的なメディアで紹介されることで、ブランドの信頼性が向上する。
• 情報発信のコントロールが難しい:メディアの編集方針によって、企業が意図する内容とは異なる形で報道される可能性がある。
活用方法
• プレスリリースを定期的に配信し、ニュース性のある情報を提供する。
• メディアとの関係を築き、取材機会を増やす。
• 業界専門誌や新聞の特集記事に掲載されるような広報戦略を立てる。
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SNS・動画投稿サイト

SNS(Twitter、Instagram、Facebook、LinkedInなど)や動画投稿サイト(YouTube、TikTokなど)は、ユーザーが自由にコンテンツを投稿・拡散できるプラットフォームです。企業の製品やサービスが話題になれば、短期間で多くの人に情報が届きます。
特徴
• 拡散性が高い:ユーザーによるシェアやリツイートによって情報が広がりやすい。
• 双方向のコミュニケーションが可能:企業と消費者が直接対話でき、エンゲージメントを高められる。
• 炎上リスクがある:ネガティブな情報が拡散される可能性もあるため、適切なリスク管理が必要。
活用方法
• インフルエンサーやユーザーと協力し、ブランドの認知を広げる。
• ユーザーの投稿をシェアすることで、自然な形でのブランド訴求を行う。
• SNSキャンペーンを実施し、ユーザーの投稿を促進する。
SNS広報の活用法:知っておきたい賢いSNS広報戦略 https://www.shapewin.co.jp/blog12794
レビューサイト・口コミサイト

食べログ、Amazonのカスタマーレビュー、Googleマップの口コミ、価格.comなどのレビューサイトは、ユーザーが実際に商品やサービスを利用した評価を投稿する場です。消費者は購入前に口コミをチェックする傾向があるため、レビューの内容は売上に大きく影響を与えます。
特徴
• 購買決定に直結する:ポジティブな口コミが増えると、売上に好影響を与える。
• 長期的な資産になる:過去のレビューも検索結果に表示され続け、SEO効果が期待できる。
• ネガティブなレビューの影響が大きい:悪い評価が多いと、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性がある。
活用方法
• ユーザーにレビューを依頼し、自然な口コミを増やす。
• 否定的なレビューにも誠実に対応し、ブランドの信頼性を高める。
• 商品・サービスの改善につながるフィードバックとして活用する。
個人ブログ

個人が運営するブログで商品やサービスが紹介されるケースもアーンドメディアの一種です。特に、専門性の高いブロガーやインフルエンサーが取り上げた記事は、信頼性が高く、多くの読者に影響を与えます。
特徴
• 専門性の高い情報が得られる:特定の分野に詳しいブロガーの意見は、消費者にとって価値がある。
• SEO効果がある:ブログ記事に企業のURLが掲載されると、被リンクの効果で検索エンジンの評価が上がる。
• 情報の鮮度が重要:新しい記事が優先される傾向があるため、継続的に取り上げられる工夫が必要。
活用方法
• ブロガー向けに商品提供を行い、レビュー記事を書いてもらう。
• ブログ記事をオウンドメディアのSNSでシェアし、さらに拡散を促す。
• 業界特化型のブログとのタイアップを検討する。
他企業のオウンドメディア

他企業のオウンドメディア(企業が運営するメディアやニュースサイト)で紹介されることも、アーンドメディアの一つです。特に、業界内で影響力のある企業のブログやメディアに掲載されることで、信頼性の向上やSEO効果が期待できます。
特徴
• 業界内での権威性が高まる:影響力のある企業からの紹介は、ブランドの信頼性を高める。
• 長期的な露出が可能:記事がインターネット上に残り続けるため、継続的な流入が見込める。
• コントロールが難しい:企業の意図とは異なる形で紹介されることがあるため、情報管理が必要。
活用方法
• 業界メディアとのパートナーシップを構築し、記事の掲載機会を増やす。
• 自社のオウンドメディアで良質なコンテンツを発信し、他社メディアに取り上げられやすくする。
• 共同マーケティングやイベントを通じて、他社のメディアに露出する機会を作る。
アーンドメディア活用のポイント

アーンドメディアは、企業が直接コントロールできないメディアであるため、戦略的に活用することが重要です。
メリットを最大限に活かし、リスクを最小限に抑えるためには、適切な準備と施策が必要となります。特に、取り上げられやすいコンテンツの作成やメディアとの関係構築が鍵となります。
最後に、アーンドメディアを効果的に活用するためのポイントを解説します。
取り上げたいコンテンツを作っていく
アーンドメディアでは、企業が発信したい情報がそのまま取り上げられるとは限りません。メディアや消費者が「面白い」「役立つ」と感じる内容でなければ、広く拡散されることは難しいです。特に、ニュース性のある情報や社会的な関心を引くストーリー性が求められます。
例えば、新商品やサービスの発表だけではなく、開発の背景や市場の変化に関する分析が加わると、メディアに取り上げられる可能性が高まります。
また、消費者にとって有益な情報として発信することで、自然な形で拡散されるケースもあります。単なる企業のPRではなく、「知る価値のある情報」として認識されることが、成功の鍵となります。
取り上げてもらう施策を考える
アーンドメディアでの露出を増やすためには、取り上げられるのを待つだけではなく積極的な情報発信が必要です。メディアはニュース性のある情報を求めているため、企業側が適切なタイミングで話題を提供することが求められます。
たとえば、業界の最新動向を踏まえた調査リリースや、独自のデータを活用したニュースリリースは、多くのメディアが関心を持ちやすいです。また、定期的な情報提供を行うことで、メディアとの関係性を築き、継続的に取り上げてもらう機会を増やすことができます。
さらに、企業のオウンドメディアやSNSを活用し、情報の発信力を高めることも重要です。自社の発信が話題を生み、それがアーンドメディアへと広がる流れを作ることができれば、効果的なブランド戦略につながります。
メディアリレーションズを大切にする
アーンドメディアを活用する上で欠かせないのが、メディアとの良好な関係を築くことです。特に、業界において影響力のあるメディアやジャーナリストと信頼関係を構築することで、情報が広まりやすくなります。
一方的にプレスリリースを送るだけではなく、記者や編集者と継続的にコミュニケーションを取り、相手が求める情報を提供することが大切です。例えば、オフラインでの交流を持ったり、独自の業界分析や専門的な知見を共有することで、「この企業の情報は価値がある」と認識されるようになります。
また、メディアは企業の宣伝だけを求めているわけではありません。読者にとって有益な情報やトレンドを発信する役割を担っているため、その視点を意識したアプローチが必要です。記者が記事を書く際に「この情報は役立つ」と感じてもらうことで、取り上げられる可能性が高まります。
メディアに取り上げられた後の施策を考えておく
メディアで紹介された後の対応も、アーンドメディアを活用する上で重要です。せっかく取り上げられても、そこで終わってしまっては一時的な効果しか得られません。メディア掲載を最大限に活かすためには、次のアクションを考えることが必要です。
たとえば、掲載された記事を自社のオウンドメディアやSNSで紹介し、さらなる拡散を促すことができます。ニュースレターを活用し、既存の顧客に向けてメディア掲載の実績を共有することも効果的です。こうすることで、企業の信頼性をさらに高めることができます。
また、どのメディアに取り上げられるとターゲット層に響くのかを分析し、次のPR戦略に活かすことも重要です。特定の業界メディアでの掲載が効果的なのか、一般の消費者向けメディアの方が影響力があるのかを見極め、今後の情報発信の方向性を決めていくことが、長期的なブランド価値向上につながります。
まとめ:情報のコントロールができない分、他メディアとの連携が重要

アーンドメディアは、企業のメッセージを第三者の視点で発信してもらえるため、信頼性が高く、効果的なマーケティング手法のひとつです。特に、SNSやレビューサイトを活用することで、自然な形で消費者の共感を得られ、ブランドの認知度を高めることができます。
しかし、アーンドメディアは企業がコントロールできる範囲が限られているため、情報の拡散や露出のタイミングを意図的に操作することが難しいという課題もあります。炎上のリスクやネガティブな情報の拡散といったリスクも伴うため、戦略的に運用することが求められます。
アーンドメディアはPRに欠かせ無い重要な手段ですが、アーンドメディアだけを使っている場合、戦略としては不十分で、総合的なマーケティング戦略が求められます。シェイプウィンでは、PR・SNS・SEOを含めた包括的なサポートを提供しており、企業が効率的にブランド価値を高められるよう支援しています。まずはお気軽にご相談ください。