広報担当者やマーケターにとって、最新のトレンドを知ることは企業のPRをする上で重要です。しかし、あらゆるところから情報が溢れている現代では、トレンドに乗るのではなく、トレンドを先読みし、仕掛けることが求められます。
そこで重要になるのが、トレンドの調べ方、キャッチアップの方法を知ることです。
本記事では、トレンドを調べるためのツールや、SNSやニュースメディアを活用したトレンド調査の方法を詳しく解説します。
おすすめのトレンドの調べ方
まずはじめに、GoogleトレンドやSNSなど、おすすめのトレンドの調べ方やツールの使い方を解説します。それぞれのツールの使い方や、どのような場面で活用できるのかを詳しく見ていきましょう。
Googleトレンド

Googleトレンドは、検索エンジンのデータをもとにキーワードの検索数の推移を視覚化できるツールです。特定のトレンドがどの地域で人気があるのか、時間の経過とともにどのように変化しているのかを調べることができます。
このツールの最大の特徴は、リアルタイムデータを分析できる点にあります。例えば、新製品をリリースする際に、関連するキーワードの検索ボリュームが上昇しているかを確認することで、適切なPRのタイミングを見極めることが可能です。
また、過去のデータと比較することで、年間のトレンドパターンを把握することもできます。
Google検索でのキーワードサジェスト

Google検索のキーワードサジェスト機能を活用すると、ユーザーが実際に検索している関連ワードを確認できます。検索窓にキーワードを入力すると、予測変換の形で表示されるため、トレンドや需要のあるワードを素早く把握することができます。
例えば、「マーケティング」と入力すると、「マーケティング戦略」「マーケティングトレンド」「デジタルマーケティング」などの関連キーワードが表示されます。これらのワードは、現在の検索トレンドを反映しており、どのような情報が求められているのかを理解するのに役立ちます。
また、Googleの「検索結果の下部」に表示される「関連検索キーワード」も参考になります。これらのワードは、多くのユーザーが併せて検索しているため、SEO対策やコンテンツ企画の際に有効です。
MeetGlimpse

MeetGlimpseは、Googleトレンドのデータをもとに、急上昇しているトレンドを可視化するツールです。特に海外市場のトレンドを調べる際に役立ち、これから流行しそうなキーワードを事前に把握できます。
例えばMeetGlimpseを活用することで、新しいライフスタイルや消費行動がどのように変化しているかを追跡し、日本市場における展開を考える際の参考になります。グローバルなトレンドをいち早くキャッチすることで、日本市場に先駆けて新しいマーケティング施策を展開することが可能になります。
MeetGlimpseのようなツールを活用することで、単なる検索ボリュームの分析だけでなく、トレンドがどのように成長していくのかを予測することもできます。
Yahoo広告のラーニングポータル

Yahoo広告のラーニングポータルは、Yahoo! JAPANが提供するマーケティング情報を学べるプラットフォームです。特に日本国内のトレンド分析や広告運用に関する最新情報を提供しており、企業のPR戦略を考える際に役立ちます。
Googleトレンドとの違いとして、Yahoo!ニュースやYahoo!検索での動向が反映されるため、日本市場特有のトレンドを把握しやすいという点が挙げられます。
広報担当者やマーケターは、このツールを活用することで、ターゲット層に適した広告の展開やコンテンツ企画のアイデアを得ることができます。
Yahooニュース

Yahooニュースは、日本国内の最新ニュースをリアルタイムで取得できるプラットフォームです。特に、エンタメ・政治・経済・スポーツなど多岐にわたるジャンルの情報を網羅しており、トレンドの把握に最適です。
Yahooニュースの特徴は、ユーザーの関心が高いニュースがトップに表示される点です。そのため、広報担当者はYahooニュースをチェックすることで、どのような話題が現在注目されているのかを把握しやすくなります。
また、Yahooニュースにはコメント機能があり、読者の意見や反応を確認することができます。ユーザーの関心が高いテーマを見極め、コンテンツ企画の参考にすると良いでしょう。
SNS

SNSのトレンドは、リアルタイムで変化し続けています。特にX(旧Twitter)、Instagram、YouTubeなどのプラットフォームでは、急上昇ワードや人気のハッシュタグを分析することで、ユーザーが関心を持っているトピックを特定できます。
• X(旧Twitter)のトレンド
リアルタイムで拡散される話題をチェックすることが可能です。特定のキーワードがどれくらいの頻度でツイートされているかを把握することで、トレンドの方向性を予測できます。
• Instagramのハッシュタグ
特定のハッシュタグがどれくらいの投稿数を持っているかを確認し、視覚的なトレンドを把握することができます。特にファッションや美容業界では、Instagramのトレンドが購買行動に直結することが多いため、定期的にチェックすることが重要です。
• YouTubeの急上昇
YouTubeの急上昇ランキングは、動画コンテンツのトレンドを分析する際に役立ちます。特にエンタメ業界では、どの動画が話題になっているのかを確認し、広告戦略やコンテンツ企画に活かすことができます。
新聞、雑誌など

デジタルメディアが発展した現在でも、新聞や雑誌は信頼性の高い情報源として活用できます。特にビジネス系の新聞や経済誌では、業界動向や市場分析など、深い視点での情報を得ることができます。
また、新聞や雑誌の取材記事から、企業がどのようにメディア露出を図っているのかを分析することも可能です。広報戦略を考える上で、デジタルツールと併用して活用すると良いでしょう。
次の章では、業界ごとのトレンドの調べ方について詳しく解説します。
【業界別】トレンドの調べ方

業界ごとにトレンドの発生源や広がり方は異なります。
特にファッション・美容、テクノロジー・ビジネス、エンタメといった分野では、それぞれに適した情報収集の方法を理解し、活用することが重要です。
それでは次に、各業界のトレンドを効果的にキャッチするための具体的な手法を解説します。
ファッション・美容
ファッションや美容業界のトレンドは、ビジュアルコンテンツが中心となるため、視覚的な要素が強いSNSや雑誌メディアの動向をチェックすることがポイントです。特にInstagramやPinterestは、最新のファッショントレンドや美容トレンドを把握するのに最適なプラットフォームです。
主要な情報収集ツール
• Instagram
ブランド公式アカウントやインフルエンサーの投稿をチェックすることで、流行しているメイクやヘアスタイル、ファッションアイテムを知ることができます。特に「#トレンドメイク」「#韓国ファッション」などのハッシュタグを検索することで、リアルタイムの流行を確認できます。
• Pinterest
インスピレーションを得るためのプラットフォームとして活用されており、シーズンごとのファッション傾向や、カラーコーディネートのアイデアを得ることが可能です。
• ファッション雑誌
『VOGUE』『ELLE』『WWD』などのグローバルファッション誌では、パリ・ミラノ・ニューヨークコレクションなどの情報をいち早くキャッチできます。美容系では『MAQUIA』『VoCE』といった雑誌もトレンド発信源となっています。
テクノロジー、ビジネス
テクノロジー業界やビジネス業界のトレンドは、海外発の情報が多いため、国内の情報だけに頼るのではなく、グローバルな視点を持つことが不可欠です。特に、アメリカの市場動向を把握することで、日本市場への影響をいち早くキャッチできます。
『TechCrunch』『Wired』『The Verge』などの海外ニュースメディアをチェックすることで、新しいテクノロジーやスタートアップの動向を知ることができます。
エンタメ
エンタメ業界では、SNSと動画コンテンツの影響力が特に強いため、リアルタイムのデータを活用しながらトレンドを分析する必要があります。映画、音楽、ドラマ、ゲームなど、幅広いジャンルのトレンドが日々変化しており、消費者の関心がどこに向かっているのかを把握することが重要です。
X(旧Twitter)やYouTube急上昇ランキング、TikTokなどのツールがおすすめです。
【コツ】トレンドの調べ方

いくらトレンドの調べ方を知っていても、コツを押さえていないとうまくトレンドをキャッチアップしPRに活かすことは難しいです。
次に、トレンドの調べ方のコツを紹介します。
年間・四季のトレンドを分析
毎年、シーズンによって生まれるトレンドもあります。
例えば、バレンタインデー、クリスマス、新年度といったイベントごとは、毎年同じ時期に話題になり、消費行動にも影響を与えます。
企業の広報戦略としては、これらの季節的なトレンドを把握し、事前に準備することで効果的なPRが可能になります。例えば、クリスマスシーズンに向けた商品PRは、11月から始めることで、12月のピーク時に最大限の効果を発揮できます。
季節 | 主要なトレンド |
春 | 新生活、花見、卒業・入学、新商品発表 |
夏 | 旅行、フェス、BBQ、ビール・清涼飲料 |
秋 | ハロウィン、食欲の秋、紅葉、冬支度 |
冬 | クリスマス、年末年始、バレンタイン |
年齢・属性ごとのトレンドを分析
トレンドは、年齢やターゲット層によって異なります。
例えば、若年層はSNSを中心に情報を取得しやすく、リアルタイムでの変化に敏感です。一方、30代以上の層は、テレビやニュースサイトから情報を得る傾向があり、比較的持続的なトレンドを好む傾向があります。
年齢層 | 主な情報取得手段 | トレンドの特徴 |
10代〜20代 | TikTok、Instagram、X | 流行のサイクルが速く、視覚的コンテンツが主流 |
30代〜40代 | Facebook、ニュースアプリ | 実用性のある情報を重視 |
50代以上 | テレビ、新聞 | 定番のブランドや長期的なトレンドに関心が高い |
トレンドを活用するポイント

トレンドを効果的に活用するには、「トレンドの後追い」をするのではなく、トレンドを予測し、事前にトレンドにあった施策を練って、トレンドの波に乗っていくことが重要です。
特にPRやマーケティングの分野では、単発の流行に乗るだけでなく、長期的な視点で計画を立て、シナリオを設計することが求められます。
次に、トレンドを活用する際のポイントとし「シナリオ・仮説の立て方」と「長期的な視点の重要性」について詳しく解説します。
シナリオ・仮説を立てる
トレンドを活かした戦略を成功させるためには、「今何が流行しているか」だけでなく、「次に何が流行するのか」を予測し、事前に施策を仕込んでおくことが不可欠です。そのために必要なのが、シナリオを描き、仮説を立て、行動に移すことです。
ビジネスレベルでは大きな社会的な変化や技術革新に着目し、長期的な視点でマーケット全体の動向を捉えますが、PR・マーケティングレベルでは消費者の行動やSNSでの話題性など、より小さなトレンドに注目する必要があります。
「韓国コスメ」を例に挙げると、日本市場で韓国コスメが流行する前から韓国のSNSや美容雑誌の傾向を先にキャッチし、日本での展開を見越してプロモーションを仕掛けるといった戦略が考えられます。トレンドの初動を逃さないためにも、仮説を立てたうえで行動に移し、検証しながら修正を加えていくことが重要です。
すべての仮説が的中するわけではありませんが、一定の確率でヒットを生み出すためには、複数の施策を試しながら精度を高めていく必要があります。10つの仮説を立てたうちの3つが成功すれば、十分に価値のある戦略だったと言えるでしょう。何もしないままトレンドが訪れるのを待つのではなく、事前に仕掛けること重要です。
長期的な視点を持つ
トレンドを活用する上で、世界的な情勢や経済動向を視野に入れ、それらの動きが長期的にどのようにマーケットに及ぼすのか、トレンドの影響力とそのトレンドに対する戦略を立てることが求められます。
海外で流行したものが、一定の時間差を経て日本市場に入ってくるケースは多くあります。例えば、アメリカで注目されているトピックは、日本市場に訪れるのは5年後と言われています。そうしたトレンドの時間差を考慮し、海外市場の動向を先読みすることで、より早く市場に適応できるようになります。
また、政治や経済の変化も長期的なトレンドに影響を与える要素の一つです。例えば、アメリカの大統領選挙が日本市場にどのような影響を与えるのかを仮説立てし、それに基づいて戦略を策定することも一つの方法です。
トレンドの3つの活用方法

トレンドを活かしたPR戦略を成功させるには、「どのタイミングで、どの手法を使うか」が重要です。話題性のある情報を適切なチャネルで発信することで、ターゲットの興味を引き、ブランドの認知拡大やエンゲージメント向上につなげることができます。
次に、トレンドの具体的な活用方法として「プレスリリース」「ソーシャルメディア」「情報交換会」の3つの手法を紹介します。
①リリース
トレンドを活かした広報活動の中でも、プレスリリースは特に効果的な手段の一つです。
メディアに対して適切な情報を提供することで、ニュース記事や特集として取り上げられる可能性が高まります。ただし、リリースを配信する際には「なぜ今なのか?」という視点を意識することが重要です。
<トレンドを意識したプレスリリースのポイント>
・トレンドに関連付ける
例えば、「環境に優しい新素材を使用した商品」が話題になっている時期に、自社のエコプロダクトのリリースを発信すれば、関心を引きやすくなります。
• データや市場動向を交える
「○○%の人がこのトレンドに関心を持っている」というようなデータを盛り込むことで、信頼性の高い情報としてメディアに受け入れられやすくなります。
• 記者目線での情報整理
メディアが記事化しやすいように、ニュース性を意識した構成でリリースを作成します。単なる商品紹介ではなく、トレンドの背景や社会的な意義を明確にすることが重要です。
②ソーシャルメディア
トレンドを活用する上で、ソーシャルメディアの影響力は無視できません。
X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebookなどのプラットフォームでは、リアルタイムで話題が拡散されるため、短期間で大きなリーチを獲得することが可能です。
<SNSを活用するポイント>
• トレンドワードを活用する
GoogleトレンドやXのトレンドをチェックし、関連するキーワードを投稿に含めることで、検索やハッシュタグ経由での流入を増やせます。
• ストーリー性を持たせる
ただ流行に乗るのではなく、ブランドとの関連性を意識し、消費者に響くストーリーを作ることが重要です。例えば、食品ブランドなら「○○が流行中!実際に作ってみた」といった投稿が拡散されやすくなります。
• インフルエンサーとのコラボレーション
トレンドを活用する際、影響力のあるインフルエンサーと提携することで、短期間での認知拡大を狙うことができます。特にInstagramやTikTokでは、ユーザーの関心を引くコンテンツが鍵となるため、動画やライブ配信を活用するのも有効です。
③情報交換会
オンライン上のツールやSNSだけでなく、リアルな対面イベントなどでトレンドを活用することもできます。たとえば、業界関係者が集まるイベントやセミナー、情報交換会に参加し、最新の市場トレンドや競合の動きを把握しながら、現在のトレンドを生かしてビジネスチャンスを生み出すことができます。
<情報交換会を活用するメリット>
• 業界のインサイトを得られる
企業の広報担当者、マーケター、メディア関係者と交流することで、一般には出回らない業界の内部情報を得ることができます。
• 競合との差別化ポイントを探る
他社がどのようにトレンドを活用しているのかを知ることで、自社のPR戦略に活かすことが可能です。例えば、「競合が○○のキャンペーンを実施しているなら、自社は△△の切り口で訴求しよう」といった差別化ができます。
• トレンドの背景を深く理解できる
オンラインで得られる情報だけではなく、専門家や実際の市場プレイヤーの意見を聞くことで、トレンドの本質や今後の展開をより深く理解できます。
まとめ:トレンドを読み、事前に戦略を立てること

トレンドを効果的に活用するためには、単なる流行の後追いではなく、初動を捉えて先手を打つことが重要です。特に、PRやマーケティングの分野では、流行がピークを迎える前に戦略を仕込み、最大の効果を発揮できるよう準備を整えることが求められます。
また、年間・四季ごとのトレンドや、年齢・属性ごとの違いを把握することで、より精度の高い戦略を立てることが可能です。短期的な流行だけでなく、長期的なトレンドを見極めることで、ブランドの持続的な成長にもつながります。
このようにトレンドを調べることは一見簡単そうに見えますが、実はツールを知っているだけではPRに活かすことは難しく、専門的な知識を身につけ実践することも必要です。
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