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メディアトレーニングをする意味は?効果や費用を解説

メディア トレーニング

「メディア対応の自信、ありますか」と聞かれて、自信を持ってYESと言えますか?

広報活動において、記者会見やインタビューでのミスは企業の信頼を失う大きな原因になります。特に緊急時には、わずかな発言の誤解が株価への影響や炎上を招くリスクも少なくありません。

メディアトレーニングは、そうしたリスクを回避し、記者やメディアとの円滑なコミュニケーションを実現するために、広報PR担当者には必須と言えます。

本記事では、メディアトレーニングの目的やメリット、費用感、具体的な研修内容まで詳しく解説します。

メディアトレーニングとは?

メディアトレーニングとは?_インフォグラッフィック

メディアトレーニングは、企業のスポークスパーソンや経営者がメディア対応のスキルを習得するための研修です。

記者会見やインタビューの場で適切に情報を伝え、誤解や炎上を避けながら、企業のブランドイメージを向上させるための重要なプロセスとされています。

まずはじめに、メディアトレーニングの目的や必要性について解説します。

メディアトレーニングの目的

メディアトレーニングの主な目的は、記者やメディアに対して企業のメッセージを正確かつ効果的に伝えるスキルを養うことです。具体的には以下のようなポイントが挙げられます。

•リスク回避
炎上や株価への悪影響を防ぎ、情報の誤解(ミスリード)を回避する。

•情報の最適化
どの情報を公開し、どの情報を控えるべきかの判断力を養う。

•魅力的な情報発信
メディアにとって新規性や興味深い内容を提供し、取り上げられる可能性を高める。

•ブランド価値の向上
企業の価値や信頼性を効果的に伝え、ブランドのポジティブなイメージを形成する。
メディアトレーニングは、単なる知識習得ではなく、実際のシナリオを想定した実践的な研修を通じて、こうした専門的なスキルを身につけるものです。

メディアトレーニングを行うべき?アメリカでは当たり前?

日本の企業は欧米に比べてメディアトレーニングへの意識が低い傾向にありますが、アメリカではトレーニングを受けていない記者やスポークスパーソンが取材やインタビューに出ることはありません。その背景には、情報の誤解やミスリードを防ぎ、企業や組織の信頼性を守るため、という明確な理由があります。

メディア取材を受けるのは、広報担当者に限らず、企業の経営者や現場の担当者になることもあります。

例えば、経営者がメディアで企業の展望を語る際に、時にビジョンや夢を大きく語りすぎ、ミスリードを招いてしまい株価に影響を与えたり、炎上リスクを生むことがあります。

また、営業職などの担当者では、顧客の関心を引くために多くの情報を提供しようとするところから、公開してはいけない情報まで話してしまうリスクも存在します。

しかし一方で、情報の公開を慎重にしすぎると、メディアにとっては「新規性」や「面白み」がなく、報道する意味がないと感じられてしまうでしょう。そのため、このような状況を未然に防ぐためには、メディア対応のための情報線引きをしっかりと行い、適切な情報を適切な形で伝える方法を学ぶ必要があります。

メディアトレーニングの3つのメリット

メディアトレーニングの3つのメリット_インフォグラッフィック

メディアトレーニングには、企業や組織が信頼性を高め、リスクを回避するための多くの利点があります。次に、メディアトレーニングを行う具体的な3つのメリットをまとめて解説します。

メディアに関する知識を身につけられる

メディア対応をする際、どの情報をどのタイミングで公開すべきか、広報として判断力を養うことが重要です。

例えば、情報の線引きや公開の優先順位を事前に明確にすることで、記者や視聴者に混乱を与えない対応が可能となります。さらに、メディアが求める新規性や興味深い内容を理解することで、記者にとって魅力的な情報を提供できるスキルも養われます。メディアトレーニングを行うことで、これらのスキルを身につけることができます。

誤解を生まずに情報を伝えられるようになる

メディアトレーニングでは、記者やインタビューアーに正確にメッセージを伝えるスキルを磨くことができます。

これは、話の要点を簡潔にまとめる練習や、想定外の質問に対する対応方法を学ぶことも含まれます。例えばメディア対応の際に、特定のフレーズが誤解を招く可能性がある場合、その表現を使わずにどのようにサービスや想いを表現すれば良いのかを考え、瞬時に発言するテクニックが身につきます。

こうした練習を重ねることで、発言内容が正確に伝わり、誤解やミスリードを防ぐことが可能になります。

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危機管理時の対応力が上がる

メディアトレーニングでは、緊急時における記者会見やインタビューでの対応力も高めることができます。

例えば、不祥事やトラブルが発生した際の記者会見では、限られた時間の中で質問を考え正確な情報を迅速に伝えることが求められます。このような状況での発言ミスは、企業イメージを大きく損なう可能性があるため、事前に緊急対応のトレーニングを行うことが重要です。

そもそも危機管理時にどのような対応をすべきか、不安がある方は以下の記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

メディアトレーニングの受講費用

メディアトレーニングの受講費用_インフォグラッフィック

メディアトレーニングの費用は、トレーニング内容や対象者の役職、企業の規模などによって異なります。

一般的な相場:30万円~100万円

平常時のメディアトレーニングでは、30万円程度の費用がかかることが一般的です。トレーニングには、以下のような内容が含まれます。


•   メディア特性の解説
•   ケーススタディを用いた具体的なトレーニング
•   情報公開の線引きに関するアドバイス
•   ロールプレイ形式の実践トレーニング
•   受講者へのフィードバックと改善提案

通常、2〜3時間程度のセッションで行われることが多く、初めてメディア対応を学ぶ広報担当者や経営層に適しています。

危機管理:100万円以上

緊急時の謝罪会見や重大な危機対応を目的としたトレーニングは、100万円を超えることが一般的です。これは、模擬記者会見や具体的なシナリオを用いた高度な研修内容が含まれるためです。主な内容としては以下が挙げられます。


•   緊急時の質疑応答対応のロールプレイ
•   お辞儀や姿勢などの印象管理トレーニング
•   記者会見での発言ミスを防ぐシナリオ演習
•   リスク対応のシミュレーション

SNSのポリシー:30万円前後

SNSの適切な運用ポリシーを学ぶことは、現代において全従業員が受けるべき研修とも言えるでしょう。SNSの運用ポリシーに関するトレーニングの費用は、30万円前後で行われることが一般的です。

主な内容は以下の通りです。


•   SNS投稿のリスクに関する基本的な知識
•   社内ガイドラインの策定と周知
•   投稿内容の適正化に関するアドバイス
•   従業員全員への簡易トレーニングセッション

関連記事:自社に合ったSNSコンサルを見抜く6つのチェックポイント(業務内容・費用・特徴)

メディアトレーニングの基本的内容

メディアトレーニング

メディアトレーニングは、広報活動や危機管理の場面で必要となるスキルを実践的に学ぶための重要なプロセスです。以下では、平常時から緊急時まで、具体的なトレーニング内容について詳しく解説します。

平常時のインタビュー研修

平常時のインタビュートレーニングでは、一般的なトップインタビューや事業責任者向けのインタビューに対応するスキルを磨きます。

記者からの質問に対する回答の仕方や、取材依頼書をもとにした想定質問・回答の準備、さらに取材時の立ち振る舞いを学びます。特に広報PR担当者にとっては、こうしたトレーニングを通じて企業メッセージを的確に伝える力を養うことは不可欠と言えます。

平常時の記者会見

記者会見では、一度に多くのメディア関係者を相手にするため、通常よりも緊張しやすい状況です。テレビカメラが複数台入る中で話すいつもと異なる環境では、想定外の発言や不適切な態度が大きなリスクになります。

事前のトレーニングを通じて、記者会見の流れや質問への対応をシミュレーションすることで、本番でのミスを防ぎやすくなります。特に、「新製品発表」「業務提携発表」などの記者会見では、会場セッティングからフォローアップまで多岐にわたる業務があるため、計画的な準備が重要です。

緊急時の謝罪会見

謝罪会見は、企業の信頼を守るための重要な場です。不祥事やトラブルが発生した際、経営トップや現場責任者が行う説明が、企業の今後に大きな影響を与えます。

メディアでの報じられ方次第で世間に与えるイメージが大きく左右されるため、謝罪会見に向けた徹底的なトレーニングが必要です。

具体的には、不確定な情報を確定事項のように話してしまい悪い印象を与えるのを防いだり、「知らなかった」「当時は当たり前だった」といった印象の悪い発言を回避する練習が求められます

また、誠意を伝えるためには、言葉だけでなく非言語コミュニケーションも重要です。

例えば、お辞儀の角度やタイミングが揃っているか、視線や姿勢に誠実さが表れているかもチェックする必要があります。また、会見時の身だしなみも注意が必要です。誠意を伝えるために、清潔感のあるスーツや適切な髪型、悪い印象を与えないアクセサリーなど、細かな部分への配慮も欠かせません。これらの細かな要素が、謝罪会見全体の印象を左右します。

メディアトレーニングでは、こうした非言語要素のトレーニングも実施され、発言内容と身だしなみの両面から信頼を築くスキルを養います。

IRイベント

IRイベント(決算説明会、中期経営計画発表会、M&A公表など)は、投資家や株主との信頼関係を構築する場であり、特に重要な場面です。

経営トップや最高財務責任者(CFO)は、プレゼンテーションや質疑応答を通じて説得力のあるメッセージを伝える必要があります。また、株主からの鋭い質問に対し、冷静かつ明確に回答できるよう、事前に細かな数字や資料を準備し、トレーニングを重ねることが重要です。

外見リスクマネジメント

会見時の外見も、第一印象やメディアでの見え方に影響を与える重要な要素です。スーツやネクタイの選び方、髪型、清潔感のある肌、適切なアクセサリーの有無など、細部にわたるチェックが求められます。

平常時の会見ではプロフェッショナルな印象が必要ですが、謝罪会見では誠実さが重要になります。メディアトレーニングでは、こうした外見のマネジメントも含めて実施し、当日の準備を整えることができます。

メディアトレーニングの3つのポイント

ポイント

効果的なメディアトレーニングを実施するには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。それぞれのポイントが、実際の場面でのパフォーマンス向上につながります。

①目的を明確に

メディアトレーニングを始める前に、「なぜトレーニングを行うのか」を明確にすることが必要です。

例えば、新製品の発表会で自社の強みを的確に伝えることや、緊急時の謝罪会見で信頼を回復することが目的となる場合があります。目的に応じたトレーニング内容を設定することで、具体的かつ効果的な練習が可能となり、実際の場面での成果が得られやすくなります。

②きちんと振り返りを行う

トレーニング中の発言や立ち振る舞いを録画し、客観的に見直すことで、自分の強みと改善点を把握できます。

また、指導者からのフィードバックを受けることで、自分では気づけなかった癖や不足点に気づけるでしょう。特に緊急時の会見や難しい質問への対応は、振り返りを通じて繰り返し改善していくことが重要です。

アドリブを入れてみる

現実の記者会見やインタビューでは、事前に用意した質問だけでなく、突発的な質問や予期しない方向性の話題に対応する必要があります。

トレーニングでは、あえて想定外の質問を投げかけたり、質問の順序を変えたりしてみましょう。アドリブを入れた練習を通じて、柔軟な対応力が身につき、本番での自信が高まります。

まとめ:企業を守る広報にとって、メディアトレーニングは必須

PR会社

メディアトレーニングは、一見費用がかかるプラスアルファな取り組みのように思われますが、企業の信頼を守り、ブランド価値を向上させる投資として考えると、広報担当者には必須の取り組みと言えます。

正確な情報発信スキルや緊急対応力を磨くことで、炎上リスクを回避し、メディアに効果的に取り上げられる可能性を高められます。

特に危機管理時には、限られた時間の中で記者からの問い合わせ対応、場合によっては緊急記者会見などの対応に追われます。事前に準備していない場合、対応することはほぼ不可能と言っても過言ではありません。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。