広報担当者として、「どのマスメディアにどの情報を出せばいいのか」と悩むことはありませんか?しかし、そもそも各マスメディアの特徴やマスコミとの違いについて説明できますか?
新聞、テレビ、ラジオといった伝統的なマスメディアにはそれぞれの役割があります。そのため、マスメディアの特性からマスコミやSNSとの違いを理解してアプローチ先を選定することが重要です。
本記事では、マスメディアの基本知識から広報活動への活用法まで、広報担当者に必要なポイントを1から解説します。
マスメディアとは
マスメディアとは、大量の情報を広範囲に伝達するための媒体を指します。
新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、インターネットなどがその例であり、社会全体に対してニュースやエンターテインメント、教育的なコンテンツを提供します。
これらのメディアは、情報を受け取る視聴者に影響を与える重要な役割を果たしています。
「そもそも、マスメディアとメディアの違いとはなにか説明できない」という方は、まずはこの記事をチェックしてみてください。
プレスとメディアの違い
プレス(報道関係者)は、記者や編集者、ジャーナリストといった、ニュースや情報を取材し編集して発信する人々を指します。一方で、メディアはその情報が届けられる媒体そのものを指し、新聞、テレビ、ラジオ、ウェブサイト、SNSなどが含まれます。
具体的には、プレスは「ニュースを作る人々」であり、メディアは「ニュースを届けるための道具」と捉えるとわかりやすいでしょう。報道関係者は、事実確認や取材活動を行い、得られた情報をメディアというプラットフォームを通じて社会に届けます。
マスメディアとマスコミの違い
マスメディアは情報を届けるための「媒体」を指し、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、インターネットなど具体的なツールを表します。一方で、マスコミ(マスコミュニケーション)は情報の発信そのものや、そのプロセスを担う人々や組織を指します。
例えば、新聞はマスメディアですが、それを制作する記者や編集者、さらにはニュースの取材から発信までの一連の活動はマスコミュニケーションです。マスコミは情報を作る側、マスメディアは情報を届ける道具という位置づけで考えると、それぞれの役割がより明確になります。
マスメディアの3つの役割
マスメディアは情報を提供するだけでなく、社会に対して大きな影響を及ぼす「監視」「討論」「教師」の3つの役割を担っています。
これは、コミュニケーション学の父として知られるウィルバーシュラムが提唱した理論に基づくものです。この3つの役割は現代社会においても変わらず、デジタル化が進む中でその重要性を増しています。
参照:コミュニケーション学の父
https://iolite.net/opinion/toshinao-sasaki/tech-and-future-vol4-toshinao-sasaki
役割①監視
マスメディアの「監視」の役割は、社会環境の現状や変化に関する情報を収集し、それを市民に伝えることで、警鐘を鳴らす重要な役割を果たしています。この役割は、政治、経済、環境、災害など、さまざまな領域で行います。
1.情報の収集と発信
マスメディアは、国際問題や災害、政治、経済変動といった社会の動向を監視し、それを一般市民に伝える役割を果たします。これにより、個人が世界で何が起きているかを把握することができます。
2.社会の安定化への寄与
マスメディアは、政治家や企業の不正行為を報道することで、権力を監視する役割も担います。たとえば、汚職や企業の違法行為を暴く調査報道は、行政や企業の透明性を高めるきっかけとなります。このような報道は、社会全体に警戒心を促し、不正の抑止力として機能します。
3.広報と監視のバランス
広報活動においても、企業の新製品やサービスの発表を社会に知らせる際、メディアは情報を監視する役割を担い、公正で正確な報道を行うことで信頼性を保っています。
役割②討論
「討論」の役割は、社会の重要なテーマについて多様な意見を収集し、議論の場を提供することです。これにより、世論の形成や社会問題の解決が促進されます。
1.世論の形成
マスメディアは、政治、環境問題、社会的課題などのトピックを取り上げ、これについて異なる視点を提示します。このプロセスにより、視聴者や読者が自分の意見を形成する助けとなります。
2.社会的な対話を促進
討論番組や特集記事は、異なる立場の人々が意見を共有し、共通の理解を深める場として機能します。例えば、気候変動についてのディベートや、地方創生に関する特集記事がその一例です。
3.企業の発信の重要性
企業にとっても、マスメディアでの討論の場に自社の声を加えることは、ブランドの立場を明確にし、社会的な認知を向上させる機会となります。特に、企業が社会課題の解決に取り組む場合、この役割を効果的に活用できます。
役割③教師
マスメディアは、知識や価値観を次世代に伝える「教師」としての役割も担っています。この役割は、文化の継承や教育の場で特に重要です。
1.社会的価値観の共有
マスメディアは、社会的規範や倫理、歴史的事実を広めることで、個人や集団が共有する価値観を形成します。教育番組や歴史ドキュメンタリーがその典型例です。
2.新しい知識の普及
新しい技術や科学的発見についての情報を提供することで、一般市民が変化する世界に適応できるよう支援します。例えば、再生可能エネルギーやデジタルトランスフォーメーションDXに関する特集は、多くの人々に新たな洞察を提供します。
3.次世代の教育的リソース
特に子どもや若者に向けた教育的なコンテンツは、マスメディアが「教師」として果たす最もわかりやすい役割です。絵本の読み聞かせ番組や科学実験を取り上げるシリーズなどが該当します。
マスメディアの種類
ここまででマスメディアの役割について説明してきましたが、各メディアには異なる強みがあり、それぞれの特徴を最大限に活かすことで、広報やマーケティング活動を効果的に展開できます。
企業やブランドが伝えたいメッセージをどのような形で届けるかを計画する際、適切なメディア選定は成功の鍵となるでしょう。
新聞
新聞は、政治、経済、社会問題など幅広いトピックをカバーしています。また、全国紙、地方紙、ブロック紙の3つの主要なカテゴリーがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
•全国紙
広範な視点で、政治、経済、社会などのニュースを網羅。例として朝日新聞や読売新聞が挙げられます。
•地方紙
地域に密着したニュースを提供。地元のイベントや特産品の情報を伝えることで、地域経済やコミュニティの活性化に貢献。
•ブロック紙
広域エリアをカバーし、地方紙と全国紙の中間的な立ち位置を持つ。北海道新聞や中日新聞などが該当します。
<広報での活用ポイント>
新聞に情報を掲載する場合、取り上げてもらいたいテーマに合わせて、適切な紙面やジャンルを選ぶことが重要です。たとえば、地方でのイベント告知であれば地方紙、全国的なブランド展開であれば全国紙が適しています。
雑誌
雑誌は、特定のテーマや興味を持つ読者に向けて情報を提供するメディアです。
雑誌はファッション、ビジネス、テクノロジー、趣味、ライフスタイルなど、多様な分野に特化しています。専門性が高いため、特定のターゲット層に訴求しやすいのが特徴です。
新聞とは異なり、雑誌は一定期間保存されることが多く、長期間にわたって読まれる可能性があります。そのため、広報活動ではブランド価値を高める長期的な効果が期待できます。
<広報での活用ポイント>
雑誌に取り上げられるためには、企画性やストーリー性が重視されます。特に、新商品の背景や開発ストーリーをうまく伝えることで、編集者の目に留まりやすくなります。
テレビ
テレビは、視覚と聴覚の両方を通じて情報を伝えるため、他のメディアと比較して強い訴求力を持っています。そしてテレビは、一度に多くの大衆に情報を届けることが可能です。ライブ放送やニュース速報を通じて、最新の情報を視覚的にインパクトを持たせて伝えることができます。
<広報での活用ポイント>
テレビに取り上げられるには、ニュースバリューが高いテーマや視覚的に魅力的な素材が重要です。また、スポンサー枠を活用して広告を打つことも有効な手段です。
ラジオ
近年、音声メディアに注目が集まっていますが、ラジオは音声だけで情報を伝えるメディアとして、より生活に馴染んだ形で自然に情報を伝えることができます。
ラジオ局の多くは、特定の地域に密着した番組を放送しており、地元住民との接点が強いです。車での通勤中や外出時に聴取されることが多いため、特定の時間帯に情報を集中して発信できます。
<広報での活用ポイント>
ラジオ広告やパーソナリティとのコラボレーションを通じて、親しみやすい形で情報を発信することができます。
SNSはマスメディア?SNSとの関係
SNSがマスメディアとして機能するのかについては、情報の即時性や信頼性という視点で議論が展開されます。マスメディアが持つ社会的な役割を一部担っている反面、いくつかの本質的な違いもあります。
次に、SNSとマスメディアの関係性について解説します。
情報の即時性と信頼性
SNSがマスメディアとしての役割を果たすかどうかを考える際には、「情報の即時性」と「信頼性」が大きなポイントとなります。
SNSは、災害や重大事件が発生した際、リアルタイムで情報を届ける力があります。しかしその一方で、情報が公式に検証されるプロセスを経ないため、誤情報やデマが広がる危険性も伴います。
これに対して、マスメディアは情報の精査や裏付けを重視し、信頼性の高い報道を提供します。そのため、マスメディアとSNSは競合する存在ではなく、むしろお互いを補完し合う関係にあるといえます。
たとえば、SNSが迅速に情報を広める一方で、マスメディアがその真偽を確認し、背景情報を提供することで、より情報の幅が広がります。
情報発信の戦略を立てる際には、SNSの即時性を活かしつつ、マスメディアによる信頼性の高い報道を組み合わせることで、効果的にターゲット層へメッセージを届けることができます。このバランスを意識することが、現代の情報発信では不可欠です。
広報としてのマスメディアとの付き合い方
マスメディアは広報活動において重要な役割を果たしますが、そのアプローチ方法や掲載の可能性には注意が必要です。広報の目的に応じて適切な戦略を選ぶことで、効果的な情報発信が可能になります。
経済部との連携が鍵
広報活動をする上で新聞やテレビのニュースに取り上げてもらうようアプローチする際には、主に経済部が担当となることが多いです。企業の動向や新商品・サービスの発表は、経済部が扱う主要なテーマであるためです。
経済部が注目する内容としては、業界の動向、社会的影響、新しい技術革新などが挙げられます。これらに該当する情報は、記者にとってニュースバリューが高いため、取り上げられる可能性が高まります。
大きなメディアほど一般的な情報が好まれる
アプローチ先が大きなメディアになればなるほど、多くのステークホルダーが報道対象となるため、必然的に幅広い層に関心を引く話題が優先されます。つまり、ニッチな商品やサービスが取り上げられにくくなる傾向があ流のです。
そのためニッチな情報をPRしたい場合は、特定の分野に特化した専門誌や業界メディアを活用することで、注目を集める可能性を高めることができます。
また、一般的な関心を引くような社会的意義やトレンドをリリース内容に盛り込むことで、話題性を創出し、大手メディアにも取り上げられる工夫も重要でしょう。さらに、SNSやオンラインメディアを活用することで、デジタルプラットフォームを通じてターゲット層に直接情報を届ける手段も効果的です。
リレーションズが露出の鍵を握る
企業の商品やサービスをマスメディアで取り上げてもらうためには、これらのマスメディアとどのようにリレーションズを構築するか、どのタイミングでアプローチをするかなどのPR活動が鍵を握ります。
一つ前の項目でも解説したように、届けたい情報によってマスメディアには取り上げられづらかったりするため、マスメディアに取り上げてもらうためにSNSを活用したりするなどの工夫も求められます。
そのため、マスメディアに取り上げてもらうためにまずは、専門のPR会社にPRを代行してもらい、そのノウハウを学ぶのも戦略的な手段です。PR会社では、マスメディアに刺さるプレスリリースの作成代行から、記者へのアプローチ、掲載後のフォローまで一貫してPRサポートを行ってくれる場合もあります。
特にマスメディアでは、内容が多くの人に関心を引くことが求められるため、広報活動において社会的意義や業界のトレンドを絡めた情報提供をすることが重要です。
まとめ:各メディアの特性を理解し組み合わせて戦略を立てる
マスメディアは社会において情報伝達の役割を果たすだけでなく、社会の監視・討論・教師といった重要な機能を担っています。その種類や役割を理解することは、効果的な広報戦略を立てる上で不可欠です。
しかし、現代の情報環境はSNSやデジタルメディアの台頭により大きく変化しており、適切なメディア選定やコンテンツ作成は複雑化しています。
特に、広報担当者やPR活動に携わる方にとって、マスメディアとSNSの使い分け方を理解し、それぞれの強みを活かす戦略を構築することは非常に重要です。
マスメディアの特性を理解した上でのメディアアプローチやソーシャルメディアの活用をしていくことが、広報活動の成功の鍵を握りますが、一方で全ての業務を自社で行うことはハードルが高いのも事実です。
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