プレスリリースが転載されると、ホームページのアクセス増加やブランド認知の向上、さらにはSEO効果など、多くのメリットをもたらします。
しかし一方で、転載されやすいリリースと転載されないリリースの違いをご存じでしょうか?そもそも、なぜプレスリリースが転載されるか知っていますか?
メディアが転載を選ぶ基準には、ニュース性や情報の具体性、さらにはレギュレーションを満たしているかどうかなど、さまざまな理由があります。
本記事では、転載率を高めるためのプレスリリースの作成ポイントや、メディアに採用されるための戦略、また事前に知っておきたい著作権について詳しく解説します。
プレスリリースの転載とは
プレスリリースの転載とは、企業が発信した情報が他のメディアやブログに掲載される形で広まることを指します。
プレスリリースが転載されることで、企業の公式発表を多くの人に届けることができます。転載にはいくつかの形式があり、それぞれ目的や状況に応じて使い分けられています。
まずはじめに、プレスリリースの転載、引用、メディア露出の違いをそれぞれ詳しく解説します。
転載 | 引用 | メディア露出 (記事掲載) | |
特徴 | プレスリリースの原文がそのまま転載される | プレスリリースの文章の一部がそのまま引用される | プレスリリースの情報をもとに記事になる |
PR価値 | 低 | 中 | 高 |
著作権 | 文書の制作者 | 文書の制作者 | メディア |
プレスリリースの原文転載とは
原文転載は、企業が発信したプレスリリースの内容がほぼそのまま、他のメディアやウェブサイトに掲載される形式を指します。
原文転載では、発信者の意図や内容が正確に伝わる点が特長です。また、メディア側が内容を編集する必要がないため、迅速に掲載されることが多いです。
特に、信頼性が求められる情報や公式な発表では、この形式がよく使われます。例えば、新商品や新サービスの発表を大手ニュースサイトがそのまま掲載するケースや、投資家向け広報(IR)で正確性が重視される情報がこの形式に当たります。
原文転載を効果的に行うには、ニュース性や正確性の高いリリースを作成することが重要です。
プレスリリースの引用とは
引用は、プレスリリースの一部が他のメディアの記事やブログ内で取り上げられる形式を指します。
引用の場合、元のリリースから特に注目すべき部分がピックアップされることが多く、場合によってはメディア側の編集が加えられることもあります。引用されることで、情報がメディアの読者や視聴者に広まると同時に、リリースの信頼性も間接的に評価されます。
たとえば、新商品の統計データや市場動向の情報が、経済メディアの記事に盛り込まれる場合がこれに当たります。引用される確率を上げるためには、プレスリリース内にニュース性の高いデータやユニークな視点を盛り込むことが効果的です。
プレスリリースのメディア露出とは
プレスリリースのメディア露出とは、配信したリリースがニュース記事や特集の一部としてメディアで取り上げられることを指します。
メディア露出では、企業が発信した情報が記者や編集者によって選ばれ、記事の素材として活用されるため、情報がより多くの読者や視聴者に届くという特長があります。
例えば、新商品の発表に関するプレスリリースが、大手ニュースサイトの記事の中で「注目の新商品」として紹介される場合や、業界誌に「市場動向の事例」として引用されることがこれに該当します。このようなメディア露出は、企業のブランド認知度を高め、信頼性を向上させる効果があります。
関連記事:イベントでのメディア露出の方法!
気をつけるべきプレスリリースの著作権について
プレスリリースは企業が発信する公式文書のため、著作権が適用される場合があります。
正しく引用を行わないと、意図せず著作権侵害になる可能性があるため、引用時には著作権に関する基本ルールを守ることが重要です。
次に、プレスリリースを著作権違反なく引用するための具体的なポイントを解説します。
プレスリリースは著作物
プレスリリースは企業や団体が公式に発表する文書であり、その内容が独自の表現や創作性を含む場合には、著作権法に基づき著作物として保護されます。
ただし、事実やデータそのものは著作権の対象外です。そのため、プレスリリースの利用においては、どの部分が著作権の保護対象となるかを理解することが重要です。
特に、キャッチフレーズや表現方法が創作的である場合には、無断転載が著作権侵害にあたる可能性があります。
引用のボリューム
引用は必要最低限の範囲に留めることが重要です。
著作権法では、引用部分が主従関係における「従」となることが重要で、つまり自分の文章や主張が主で、引用部分がその補足的な役割を果たす形でなければなりません。例えば、プレスリリース全体をそのまま引用するのではなく、特定のデータや文章を一部抜粋することが重要です。
引用の目的が明確である
引用は、自らの主張や意見を補強するために必要な場合に限り認められます。
たとえば、新製品のリリースについて議論する際に、公式プレスリリースから商品仕様を引用するのは適切です。しかし、単なる情報の転載や無許可での利用は引用の範囲を超えてしまい、著作権侵害となるリスクがあります。引用の目的が明確であることが、法的な適正性を保つ鍵となります。
引用文と本文の区別をつける
引用部分は、自分の文章と明確に区別されていなければなりません。その際、引用符(「」や””)、フォントスタイルの変更、段落分けなどを利用する方法があります。
また、引用部分を特定するために適切なラベルや注釈を加えると、読者にとっても分かりやすくなります。この区別が不十分だと、読者に混乱を与えるだけでなく、著作権法に抵触するリスクが高まります。
引用文を改変しない
引用文は、元の意図や内容を変更せずにそのまま使用することが求められます。
たとえば、プレスリリースの文中の表現を自分の都合に合わせて書き換えると、情報の正確性を損ない、著作権侵害に該当する可能性があります。必要に応じて補足説明を加える際も、引用部分には手を加えず、注釈や補足で補完する形にしましょう。
出典の記載
引用する際には、出典を正確に記載することが必須です。出典には、発信元の企業名、プレスリリースのタイトル、公開日、場合によってはURLも含めます。
たとえば、「出典:株式会社〇〇『新商品発表プレスリリース』(2024年4月10日)https://example.〇〇.com」という形式です。
プレスリリース転載のメリット
プレスリリースの転載を活用することで、ただ自社から情報を配信するだけでなく、より広範囲に広報活動を実現することができます。次に、転載がもたらす具体的なメリットを詳しく解説します。
アクセス増加
プレスリリースが転載されることで、公式サイトや関連ページへのアクセスが大幅に増加します。
特に大手ニュースサイトや業界特化型メディアに転載されれば、多くの読者の目に触れるチャンスが生まれます。そうすることで、製品やサービスへの関心を高め、潜在的な顧客との接点も増やすことができます。
幅広い読者層にリーチできる
転載によって、企業がターゲットとしている層だけでなく、新たな読者層にもリーチできます。
たとえば、専門性の高い業界メディアに転載された場合、その分野に興味を持つ読者が新たな潜在顧客となる可能性があります。また、SNSやフォーラムなどで二次的な共有が広がることで、情報の拡散効果がさらに強まります。
知名度や権威性が上がる
大手メディアや信頼性の高いプラットフォームに転載されると、企業や団体の知名度と権威性が大きく向上します。
特に、トップメディアでの記事化や引用が行われれば、ステークホルダーから信頼性も高まり、ブランド価値の向上に直結します。また、「〇〇新聞に掲載」や「××メディアで紹介」といった事実は、後の広報活動にも効果的に活用できます。
SEO上の効果
転載がSEOに与える効果も大きく、PR戦略としてのSEO戦略も視野に入れておくとよいでしょう。特に、高いドメインランク(DR)を持つメディアからのバックリンクは、企業の公式サイトの検索エンジン評価を向上させる重要な要因となります。
また、話題性のある内容が転載されることで、SNSやブログでの言及が増え、結果としてオンライン上の存在感を高めることができます。これにより、長期的なトラフィックの増加や検索順位の向上が期待されます。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
転載されやすいプレスリリースの特徴
プレスリリースを配信するだけでなく、メディアに転載されることを目指すには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
特に、ニュース性の高さや情報の明確さ、さらにメディアの基準を満たすことが転載率を上げる鍵となります。次に、転載されやすいプレスリリースの特徴を具体的に解説します。
ニュースバリューが含まれている
メディアがプレスリリースを転載する最大の理由は、その内容がニュースとしての価値を持っているからです。ニュース性の高いリリースとは、タイムリーであり、独自性があり、社会的影響力を持つものを指します。
例えば、新製品の発売であれば、「業界初」「環境に配慮した設計」などの要素を盛り込むことで、メディアが注目する可能性が高まります。また、社会課題に関連したテーマを扱うと、メディアの関心を引きやすくなります。こうしたニュース性を意識して作成することで、転載のチャンスを広げることができます。
メディアに取り上げられるために必須のニュースバリューについては、以下の記事でまとめています。
メディアに刺さるニュースバリュー:ニュースバリューの高め方を解説
転載先のレギュレーションを満たしている
プレスリリースの転載を目指すには、配信サービスのガイドラインを満たすことが不可欠です。例えば、PR TIMESでは、一定の基準を満たしたプレスリリースに対して「20以上の転載を保証」しています。以下のような基準に注意する必要があります。
•タイトルとリード文の明確さ:ニュース性を簡潔に伝える構成である
•内容の具体性:曖昧な表現を避け、事実に基づいた情報を記載する
基準を満たしていない場合、配信後でも転載が取り消されるリスクがあるため、事前にメディア基準を確認し、それに沿ったリリース作成を心がけましょう。
また、メディアパートナーを確認し、読者層にあったコンテンツを制作することも重要です。
視覚的な要素を取り入れる
プレスリリースに画像や動画を添えることで、読者やメディアの目に留まりやすくなり、転載される可能性が高まります。特に、以下のような素材を用意すると効果的です。
•製品画像やイベント写真:高解像度でインパクトのある写真を提供する
•データを可視化したインフォグラフィック:視覚的に情報を伝えることで、メディアに転載されやすくなる
•短いキャプション付きの素材:説明が不要な画像は、そのまま記事に使用されやすい
まとめ:広報担当者であれば転載の活用は必須
本記事では、プレスリリースが転載されやすくなるためのポイントや注意点を解説しました。転載は単なる広報ではなく、知名度の向上やSEO効果を通じて企業の成長に寄与する重要な手段です。
一方で、メディアの基準を満たさなかったり、著作権に配慮しない場合には、逆効果になるリスクもあります。そのため、広報担当者としてPRに関する知識やスキルを随時身につけておくことが重要です。
シェイプウィンでは、プロのPRエージェンシーとして最新のPR情報をはじめ、広報として知っておくべき基礎知識などを無料のメルマガで配信しています。ぜひチェックしてみてください。