コロナ禍でオンラインのPRイベントが急増したものの、2023年以降リアルイベントが再び活発化しています。特に都市部の広告関連イベントや展示会は前年比112.5%と回復傾向にあり、多くの主催者が「オンライン×リアル」のハイブリッド形式も取り入れています。(※)
こうした潮流に合わせ、PRイベントの効果を最大化するためには、ターゲットや目的に応じた最適な見せ方をすることが重要です。また、メディア戦略やSNSを活用した拡散も、イベント成功のカギを握ります。
この記事では、PRイベントのメリットや成功事例、効果的な開催方法など、リアルとオンラインを組み合わせた最新のPRトレンドと、マーケティング戦略のポイントを解説します。
イベントの目的やターゲットに合わせて適切な戦略を取り入れ、効果的なPRイベントを実施しましょう。
(※)参照
2023 年 イベント産業規模推計
Peatix 2021年 イベント調査レポート
PRイベントとは
PRイベントは、企業やサービスが自社の魅力を効果的に伝え、ターゲットとなるステークホルダーの心をつかむためのPR・マーケティング手法です。
目的は開催方法は幅広く、オンラインイベントからリアルな対面イベントまで多岐にわたります。イベントごとに目的や対象が異なるため、企業は柔軟なアプローチで自社ブランドの価値を最大限に引き出すことが可能です。
魅力的な商品やサービスも、その存在を知られなければユーザーに価値を伝えることはできません。
PRイベントは、ブランドと顧客をつなぐ「出会いの場」として、メディア露出、エンゲージメントの向上、そして企業の成長における大きな推進力となります。
PRイベントの3つのメリット
PRイベントをうまく活用することで、メディアで商品やサービスが紹介されることで信頼度や説得力が増し、消費者への認知効果も高まるなど、さまざまなメリットがあります。
次に、PRイベントを行うことで得られる主な3つのメリットについて詳しく見てみましょう。
1メディア露出の拡大
PRイベントの魅力の一つは、メディアへの露出を拡大できる点です。
イベントを開催することで、テレビ、新聞、情報誌など、多くのメディアで取り上げられる可能性が高まります。なぜなら、イベント自体がニュース性を持っており、プレスリリースだけでは伝えきれない「ライブ感」や「現場の空気感」を共有することができるからです。
メディアに露出されることで認知度が向上するだけでなく、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられることで、ブランドに対する信頼感が高まります。
メリット
• メディアに取り上げられることで、ブランドの信頼性と影響力が向上する
• 大規模なメディア露出により、一度で多くのオーディエンスにリーチ可能
• イベントの「話題性」がブランドのストーリーとして拡散される
2顧客とのコミュニケーション機会創出
PRイベントは、顧客との直接的なコミュニケーションの場を提供します。
商品やサービスを実際に体験してもらうことで、ユーザーの生の声やリアクションをその場で収集できます。これにより、企業は顧客のインサイトを深く理解し、今後のマーケティング施策や商品開発に活かすことができます。
加えて、イベントを通じて顧客との距離が縮まることで、ブランドロイヤルティの向上や長期的な顧客関係の構築にもつながります。
メリット
• 顧客から直接フィードバックを得て、商品改善に活かせる
• リアルタイムで顧客との絆を深め、信頼関係を構築できる
• 顧客のインサイトをもとに、次のマーケティング施策や新商品開発のヒントが得られる
3ソーシャルメディアとの連携効果
ソーシャルメディアの普及により、PRイベントとSNSの連携はますます重要性を増しています。
イベントの様子や裏側の情報をSNSでシェアすることで、オフラインとオンラインを融合させた効果的なPRが可能になります。たとえば、ハッシュタグキャンペーンを展開することで、イベント参加者が自主的に投稿し、情報が拡散されていきます。
リアルタイムでの情報発信が可能なため、イベントの盛り上がりを即座に伝えることができ、フォロワーや潜在顧客の興味を高めることができます。
メリット
• SNSでイベントの様子をライブ配信して拡散力を高める
• 専用ハッシュタグで投稿を統一し、参加者のシェアを促す
• インフルエンサーを招待してSNS上での拡散効果を最大化する
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効果的なPRイベントの開催方法7つのステップ
PRイベントを成功させるためには、しっかりとした準備と戦略が必要です。
目的の設定から予算管理、会場選定、メディア対応まで、各ステップを効果的にこなすことで、イベントの効果を最大限に引き出すことができます。ここからは、効果的なPRイベントを開催するための7つのステップについて詳しく解説します。
1目標・目的設定
PRイベントの成功には明確な目標・目的設定が不可欠です。
たとえば、新商品の発表、ブランドイメージの向上、顧客との関係構築など、何を達成したいかを具体的に定めます。目標が明確であれば、その後のステップにおける戦略も一貫性を持たせやすくなり、成果が測定しやすくなります。
2予算設定
イベント開催には、広告費、会場費、演出費、人件費などさまざまな費用がかかります。
初期段階で詳細な予算設定を行うことで、無駄なコストの発生を防ぎ、最適なリソース配分が可能となります。予算を上手く配分することで、限られた資金でも最大限の効果を発揮できるでしょう。
3会場選定
効果的なPRイベントには、演出に合った適切な会場選びが重要です。イベントのテーマやブランドイメージ、地域性を考慮して場所を選定しましょう。
たとえば、外資系企業が日本の伝統的な場所でイベントを開催することは、意外性と話題性を生むため、メディアや参加者の注目を集めます。実際に会場を検索する際には、会場のレンタルスペースを探せる「スペースマーケット」のようなプラットフォームを活用することで、テーマや目的に合った会場を効率的に見つけることができます。
4メディア選定・メディアアプローチ
先ほどメリットとして述べたように、メディアには大きな影響力があります。そのため、PRイベントの成果を高めるためには、適切なメディアの選定とアプローチが重要です。
対象とするオーディエンスが好むメディアや、リーチしたい地域・分野に強いメディアをリストアップし、効果的なメディアアプローチを行いましょう。事前にプレスリリースを送付したり、メディア関係者に直接アプローチして招待状を送るなど、取材してもらうための工夫が必要です。
5イベント誘導・リハーサル
イベント当日に備え、誘導計画とリハーサルは入念に行いましょう。
イベントにおいて当日のハプニングはつきものです。特にメディア関係者やゲストをスムーズに誘導できるようにスタッフの配置や動線を確認し、柔軟に対応できる体制を整えておくことが重要です。
リハーサルを繰り返すことで当日の流れがスムーズになり、予定外のトラブルにも素早く対応できるようになります。
6イベント実施
イベント当日は、スケジュール通りにプログラムを進行しながら、メディアや参加者との交流を深めることが大切です。
写真撮影や動画撮影を行い、SNSでのリアルタイム配信や後日レポートの作成に活用しましょう。特にライブ配信を活用すれば、会場に来られなかったユーザーにもイベントの様子を伝えられ、より広範囲なオーディエンスにアプローチできます。
7メディアフォローアップ
イベント終了後、迅速にフォローアップをすることも重要です。
イベントの様子を写真や動画とともにメディアに提供し、記事化の促進を図りましょう。また、SNSでのイベントレポートを投稿することで、オンライン上でのイベントの余韻や反響をさらに広げることができます。イベントの成果を最大限にするためには、終了後のフォローアップが肝とも言えます。
PRイベントの3形式
PRイベントは、目的に応じてさまざまな形式で開催されます。イベントの形態に合わせてターゲットや戦略が異なるため、効果的に目的を達成するためには形式の特性を理解することが重要です。
次に、3つの代表的な形式について詳しく見てみましょう。
セールスプロモーション形式
セールスプロモーション形式のPRイベントは、売り上げの増加を直接的な目的としたものです。たとえば、エキスポへの出展やフェスイベントへの協賛、展示会での商品アピール、ワークショップや抽選会などが該当します。
イベントで商品やサービスを実際に体験してもらうことで、顧客の購買意欲を刺激し、その場での売り上げにつなげることが可能です。また、参加者に試供品を配布したり、特別価格で販売するなどの特典を提供することで、イベント後の継続的な購買にもつなげやすくなります。
メリット
•直接的な売り上げ向上
•商品・サービスの認知度アップ
•顧客との接点を作り、新規顧客の獲得
プレス形式
プレス形式のPRイベントは、情報のリーチを最大化し、メディアを通じたパブリシティの獲得を目指すものです。新商品発表会や商品説明会、記者発表などが代表的で、マスコミやインフルエンサーを招待して取材してもらうことが中心です。
この形式のイベントはメディアの報道を通じて大規模なリーチを実現できるため、ブランドの露出や商品・サービスの認知拡大に非常に効果的です。
メリット
•メディア露出による信頼性の向上
•一度のイベントで多くのメディア・オーディエンスにリーチ可能
•ブランドイメージの向上
インナー形式
インナー形式のPRイベントは、企業内部の関係者に情報を伝達することを目的としています。株主総会や決起集会、企業説明会、入社式など、従業員や株主などの内部ステークホルダーに対するコミュニケーションの場として機能します。
この形式のイベントは、組織のビジョンや方針を共有し、内部での結束力を高める効果があり、長期的な企業の成長戦略を支える重要な取り組みとなります。
メリット
•従業員や株主のエンゲージメント向上
•企業ビジョンや方針の効果的な伝達
•組織内コミュニケーションの活性化
インナーイベントを成功させるためには、参加者が共感できる内容を含めることや、インタラクティブなセッションを取り入れるなど、関係者のエンゲージメントを高める工夫が求められます。
PRイベントの注意点3つ
PRイベントを成功に導くためには注意点を押さえることが不可欠です。
イベントはブランド認知や顧客とのエンゲージメントに大きな効果がありますが、その効果を最大化するためには、商材の特性やイベントの目的を理解し、実施後の効果測定も含めた準備とフォローが必要です。
以下の3つの注意点を意識してイベントの成功に役立てましょう。
1商材によってイベントの向き不向きがある
PRイベントといっても、すべての商品やサービスが効果的とは限りません。狙っている効果に合わせて商材の特性を考えることが大切です。
たとえば、製造業やファッション・コスメなど、実際に体験したり見たりすることで魅力が伝わる商品はPRイベントに向いています。PRでいう、視覚的に「絵になる」ことが重要で、ユーザーがその場で興奮や感動を感じられるからです。
一方で、ITサービスやソフトウェアなどの無形商材であれば、その場でシュミレーションやデモンストレーションを通じてユーザーがイメージをつかめるよう工夫する必要があります。
2結果を数字で測る必要がある
イベント開催は大きな労力とコストがかかるため、イベントを終えた後は、やりがいや達成感に飲まれてしまいがちです。
しかし、実際にどのようなPR効果が得られたかを正しく把握しないと、次の戦略が立てられません。参加者数やメディア露出数、SNSでのエンゲージメントなど、具体的なKPI(Key Performance Indicators)を設定し、定量的な効果測定を行うことが重要です。
イベントの成果を数字で把握することで、戦略の改善や次回開催への投資効果をしっかりと見極めることができます。
3雰囲気作りが必要
イベントを開催する上で、特に重要なのが雰囲気です。
メディアが注目するポイントは、会場の盛況ぶりや雰囲気で、それが映像や写真で伝わることでニュース性が高まります。また、消費者にとっても「人が集まっている」という事実は人気や話題性の裏付けとなり、商品やサービスの信頼度を高めます。
BtoBの視点から見ても、競合他社や業界関係者の注目を集めるきっかけになり、結果としてメディア掲載が増えたり売上が向上したりすることに繋がるでしょう。
そのため、参加者の呼びかけや演出などを工夫し、魅力的な空間を作り出すことが大切です。
PRイベントの成功事例
ここまででPRイベントのメリットや注意点などについても解説してきましたが、最後にこれらを実践したことによる成功事例を紹介します。
フランス産バターのメディア・インフルエンサーPRとポップアップストア開催
シェイプウィンでは、フランス・中国に拠点を持つ広告代理店Slingshotと共同で、フランス全国酪農経済センター『CNIEL』のPRプロモーションを担当しました。
イベントでは、フランス産バターの高級感と上質なブランドイメージを伝えるために、東京の高級住宅地である白金台にポップアップストアをオープン。会場の選定においても、フランスのエレガンスと洗練された雰囲気を強調する演出が施され、ブランディングに貢献しました。
店内ではバターを使ったメニューの試食や、料理教室といった体験型のイベントも行われ、来場者にバターの魅力を直接伝えることができました。結果として、SNSでの話題性とメディアでの露出を獲得し、ブランドの認知拡大に大きく貢献しました。
ブランドのイメージと合致した会場選定と、SNSの活用、そして参加者が商品を体験しながら楽しめる演出の工夫がイベントの成功につながりました。
スペイン産牛肉のSNS運用とインフルエンサー投稿
シェイプウィンでは、グローバルコンサルティング会社のOPERAと共同で、欧州連合とプロヴァクーノ(スペイン牛の専門職間連携団体)が3年間にわたって実施するワンダフルビーフ2.0キャンペーンのデジタルマーケティングとビジネスマッチングを支援しています。
この事例では、SNSを活用した広報活動が成功の鍵を握りました。スペインの魅力を伝えるため、イベントのコンテンツをSNSで積極的に発信し、参加者にもSNSを通じて情報を拡散するよう促進。
さらに、インフルエンサーや現地で活動する著名人をイベントに招待することで、インフルエンサーのフォロワーに情報がリーチし、オンライン上で大きな話題となりました。
ターゲットに合わせたSNS戦略の徹底活用と、インフルエンサーによる情報拡散など、リアルイベントとオンラインプロモーションを連動させたことで、効果的にスペインの魅力とブランドメッセージを広げることに成功しました。
日本初のサブスク団体設立の記者発表会
シェイプウィンがPRの支援をしている日本サブスクリプションビジネス振興会では、設立発表時における広報PR施策として、メディア発表会(プレス発表会、記者発表会)というメディアを招集して一堂に発表するPR手法を行いました。
通常の発表会はメディア向けと一般向けで別々に行うことが多いなか、入会希望の会社とメディアが同じ場に座るように設計。
40名以上のメディアが一堂にして発表会を取材している様子(特にフォトセッションでの積極的な写真撮影など)を一般の来場者が見たことで、この発表会に参加したことに対する満足や話題性を感じさせることにつながりました。
一方メディアも、一般来場者が100名以上いた様子を見て、サブスクリプションに関する取材やネタ探しは日本サブスクリプションビジネス振興会に相談しようという空気ができ、多くの掲載に繋がりました。
このイベントは、入会希望の会社とメディアが一度に集まるユニークなPRイベントとして企画したことで、双方に相乗効果を生み出すことにつながりました。
まとめ:目的やターゲットによって、見せ方や演出をカスタマイズする
PRイベントは、企業のブランドメッセージを効果的に伝える絶好の場です。しかし、イベントを成功させるためには目的に応じた見せ方、そしてストーリー作りが非常に重要です。
新商品発表と株主総会では、伝えたいメッセージやターゲットが異なるため、メッセージの内容やトーンも変わります。このように、イベントの目的やターゲットによって、効果的な見せ方や演出をローカライズすることが、PRイベント成功のカギです。
たとえば、若者向けの新商品発表ならばSNSを最大限活用し、オンライン拡散を狙うことが重要です。一方、企業のインナーイベントでは、ビジョンや方針を共有するために、参加者全員が共感できるメッセージングが求められます。しかし、それらすべてを適切に調整することは、予算や工数を考えると現実的ではありません。
シェイプウィンでは、企業の目的に合わせてカスタマイズされたPR戦略を提供します。また、PRの観点のみならずSNSやSEOを含む包括的なマーケティングサポートを行っています。
目的に合わせて効果的なPRイベントを開催したいとお考えの際は、まずはお気軽にお問い合わせください。