マーケティング施策を任されて、「とりあえず広告を配信してみよう」と考えていませんか?
このような施策の多くは失敗してしまいます。
理由は、マーケティングコミュニケーションの戦略が理解できていないからです。何千通りもある企業と顧客のコミュニケーション手法の中から、マーケティングの視点からターゲットにあった手法を適切なタイミングで顧客に届けることが重要です。
この記事では、そもそもマーケティングコミュニケーションにはどのような手法があるのか、効果的なコミュニケーション戦略の立案手法について詳しく紹介します。
マーケティングコミュニケーションの基本概念
マーケティングコミュニケーションは、企業が顧客との間に強固な関係を築き、ブランド認知を高めるために重要です。まず始めに、マーケティングコミュニケーションの定義と目的について詳しく見ていきましょう。
マーケティングコミュニケーションの定義
マーケティングコミュニケーションとは、企業がさまざまな手法を活用し、自社の商品やサービスを顧客に認知させる活動を指します。
具体的な手法には、広告、販売促進、PR、ダイレクトマーケティング、デジタルマーケティング、イベントなどが含まれます。
マーケティングコミュニケーションの目的
マーケティングコミュニケーションの主な目的は、ブランド認知の向上、顧客の購買意欲の喚起、そして最終的には売上の増加を図ることです。
・ブランド認知:まずは名前や商品の詳細について知ってもらう
・顧客との関係構築:商品を知ってもらうだけではなくブランドや企業に対して愛着を持ってもらう
・購買行動の促進:商品・サービスの認知を高め、リピーター獲得につなげる
マーケティングコミュニケーションを効果的に行うことで、単に売り上げを伸ばすだけではなく、企業と顧客との関係を強化し、長期的なブランドロイヤルティを確率することにも繋がります。
今後のマーケティングコミュニケーションのトレンド
デジタル技術の進化に伴い、マーケティングコミュニケーションのトレンドも著しく変化しています。常に最新のトレンドを取り入れることで、競争優位を確保することにつながるでしょう。
次に、マーケティングコミュニケーションの最新のトレンドについて詳しく解説します。
デジタルシフトの加速
デジタル技術の進化に伴い、マーケティングコミュニケーションのデジタルシフトが加速しています。
従来のオフラインマーケティングに加えて、SNS、ウェブサイト、メールマーケティングなどのデジタルチャネルを活用した戦略を強化する必要があります。
また、単にデジタルマーケティングを行うのではなく、デジタルチャネルを通じて情報収集と分析を行うことで、より戦略的なマーケティング施策を立案することにもつながるでしょう。
パーソナライズドマーケティングの重要性
大量生産、大量消費の時代から、現代の消費者は、より自分にカスタマイズされた情報やサービスを求めています。
マーケティングコミュニケーションの一環であるパーソナライズドマーケティングは、顧客データを活用し、個別にカスタマイズされた体験を提供する手法です。例えば、顧客の購買履歴や行動データを分析し、その人に最適な商品やサービスを提案することができます。
これにより、顧客の満足度が向上し、ロイヤルティを高めることが可能になります。
データドリブンマーケティング
データドリブンマーケティングとは、データ分析を基にしたマーケティング戦略のことです。
企業は大量のデータを収集し、これを分析することで、顧客の行動パターンやニーズを把握し、より効果的なコミュニケーションを実現します。例えば、ウェブサイトの訪問データやSNSのエンゲージメントデータを分析することで、どのチャネルが最も効果的かを判断し、リソースを最適に配分することができます。
多様化するPR戦略
従来のPR手法に加え、現代ではデジタルプラットフォームを活用した多様なPR戦略が求められています。
具体的には、ブログ、ポッドキャスト、ウェビナーなどが挙げられます。さまざまなデジタルプラットフォームを通じて情報を発信し、ブランドの信頼性と知名度を向上させることが重要です。
マーケティングコミュニケーションのメリット
次に、マーケティングコミュニケーションに取り組むことでどのような効果が得られるのか、主なメリットについて詳しく紹介します。
ブランド認知
顧客に商品を購入してもらうためには、まずは商品の存在を知ってもらうことが大切です。マーケティングコミュニケーションは、その一歩目であるブランド認知を行うために有効的な手段です。
マーケティングコミュニケーションの手法を通じて、顧客に商品やサービスの詳細を理解してもらい、ブランドの認知度を高めることができます。
デジタル広告やソーシャルメディアを活用することで、ターゲットオーディエンスに広くリーチでき、ブランドの知名度をより広く高めることができます。
ナーチャリング
マーケティングコミュニケーションは、ナーチャリングを行うことにも繋がります。
ナーチャリングとは、見込み顧客(リード)や既存顧客に対して継続的に情報提供をすることで、信頼関係を築き、最終的に購入意欲を高めるプロセスを指します。このプロセスは、特にB2Bマーケティングや高額商品の販売において重要です。
顧客の行動データや購入履歴に基づいて、個別にカスタマイズされた情報を提供することを指します。
企業・商品のファンを作る
マーケティングコミュニケーションを活用することで、直接的に商品の販売促進を行うだけではなく、企業と顧客との関係を強化し、長期的なブランドロイヤルティを確率することにも繋がります。
ブランドロイヤリティが上がることで、一度きりの購入から継続的な購入に繋がり、結果として企業の売り上げ向上にも繋がります。
マーケティングコミュニケーションの種類
マーケティングコミュニケーションは、多様な手法を駆使して顧客との関係を築くことが重要です。
次に、主要なマーケティングコミュニケーションの種類について詳しく解説します。
広告
広告は、企業が特定のメッセージを広く伝えるための手法であり、テレビ、ラジオ、インターネット、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体を通じて実施されます。
広告の種類には、ディスプレイ広告、リスティング広告、バナー広告などがあります。これらの広告手段は、短期間で広範囲に情報を届けることができるため、ブランドの認知度を迅速に向上させる効果があります。
広告の効果を最大化するためには、ターゲットオーディエンスに適したメディアを選択し、魅力的なクリエイティブを作成することが重要です。
販売促進
販売促進は、比較的短期間で売上を向上させるための手法であり、クーポン、セール、試供品、ポイントプログラムなどが含まれます。
これらの手法は、顧客の購入意欲を直接刺激し、購買行動を促すことができます。販売促進活動は、新商品の導入時や競争が激化している時期に特に効果的です。
具体的には、大規模なセールイベントや限定クーポンの配布などがあり、これにより多くの新規顧客を獲得し、既存顧客のロイヤルティを高めることができます。
PR(パブリックリレーションズ)
PR活動は、消費者やステークホルダーとの信頼関係を構築し、企業のイメージや信頼性を向上させるための手法です。
メディアリリース、記者会見、スポンサーシップ、ソーシャルメディアでのキャンペーンなどが一般的な手法です。効果的なPR戦略を実施することで、企業はポジティブなブランドイメージを構築し、消費者やステークホルダーとの信頼関係を強化することができます。
例えば、新商品の発売に合わせてメディアを通じて広報活動を行うことで、消費者の関心を引き、購買意欲を高めることができます。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングは、顧客と直接コミュニケーションを図る手法であり、メール、カタログ、テレマーケティングなどが含まれます。
これらの手法を用いることで、企業は個々の顧客にパーソナライズされたメッセージを届けることができ、顧客との関係を深めることが可能です。例えば、過去の購買履歴を基にした特典付きのメールを送信することで、リピート購入を促進し、顧客ロイヤルティを向上させることができます。
成功事例としては、ターゲットを絞ったキャンペーンが挙げられ、これにより高い反応率とROIを実現しています。
デジタルマーケティング
デジタルマーケティングは、インターネットを活用して行うマーケティング活動であり、SNSマーケティングやコンテンツマーケティングが主な手法です。
SNSマーケティングでは、FacebookやInstagram、Twitterなどのプラットフォームを通じて、ターゲットオーディエンスに直接リーチすることができます。一方、コンテンツマーケティングでは、ブログ記事、動画、インフォグラフィックなどの価値あるコンテンツを提供することで、見込み顧客を引き付け、エンゲージメントを高めることを目指します。
イベント
イベントマーケティングは、顧客と直接対話し、ブランド体験を提供するための手法です。
展示会、セミナー、プロモーションイベントなどが一般的です。イベントの開催により、顧客は企業やブランドを身近に感じ、より深い理解と好意を持つことができます。
成功するイベントの計画には、ターゲットオーディエンスのニーズに応じたコンテンツの提供、適切なタイミングでの実施、そして参加者とのインタラクティブな体験の創出が重要です。
イベントの効果を最大限に引き出すためには、事前のプロモーションと事後のフォローアップも欠かせません。
押さえておきたいマーケティングコミュニケーション戦略の手順
まず、マーケティングコミュニケーション戦略では、明確な目的と目標を設定することが重要です。
1.SMARTゴールの設定
SMARTゴール(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限がある)を設定することで、進捗状況を評価しやすくなります。例えば、「半年以内にSNSフォロワー数を20%増加させる」という目標です。
2.ターゲット市場調査
次にターゲット市場を特定します。ペルソナ作成を通じて、ターゲット顧客のニーズや行動パターンを具体的に描写します。これにより、効果的なメッセージングやチャネル選定が可能となります。
3.マーケティング手法の選択
最後に、何を伝えたいのかメッセージを明確にし、ここまでで立案してきた目的、ペルソナ、メッセージを届けるために適切な手法を選択します。
競合と差をつけるためのコツ
競争が激化する市場環境において、競合と差をつけるためには、戦略的かつ精緻なマーケティングコミュニケーションが不可欠です。次に、明確なターゲット設定から具体的な施策の計画まで、競争力を高めるための具体的なコツを紹介します。
明確なターゲット設定
成功するマーケティング戦略は、明確なターゲット設定を行うことが重要です。
ターゲットオーディエンスのデモグラフィックデータ、行動パターン、興味関心を詳細に分析し、具体的なプロファイルを作成します。
例えば、年齢、性別、所得、職業などのデータを用いてターゲットオーディエンスのプロファイルを作成し、過去の購入履歴やウェブサイトの閲覧履歴を分析してターゲット顧客の行動パターンを把握します。
効果的なポジショニング
市場における自社の立ち位置を明確にし、独自の価値提案(UVP)を行いましょう。
ポジショニングが重要な理由は、顧客が製品を選ぶ際の判断基準となるからです。顧客は、他の選択肢と比較して自社製品がどのように優れているのかを知りたがっています。明確なポジショニングにより、顧客が自社製品を選ぶ理由が明確になります。
ペルソナの活用
ターゲット顧客の典型的な人物像を描くことで、メッセージの精度を高めます。ペルソナを用いることで、顧客のニーズや行動を具体的に理解し、効果的なマーケティング活動を展開します。
顧客がどのような問題を抱えているのか、どのような解決策を求めているのかを詳細に描くことで、ターゲットオーディエンスに響くメッセージを作成できます。
カスタマージャーニーの設計
顧客の購買プロセスを視覚化し、各段階での接触ポイントを計画します。
カスタマージャーニーマップを作成し、顧客がどのように情報を収集し、どのようなタイミングでどのような情報を必要とするのかを理解します。これにより、顧客の購買プロセス全体をサポートし、スムーズな購買体験を提供できます。
KPIの設定と計測
マーケティング施策の効果を測定するためのKPIを設定します。
KPIは、目標達成度を評価するための重要な指標であり、適切なツールを導入してデータを収集・分析します。KPIの設定により、施策の効果を正確に把握し、必要に応じて調整を行うことができます。KPIは、目標達成度を評価するための重要な指標であり、定期的に見直すことが必要です。
実行と検証
計画した施策を実行し、その成果をKPIに基づいて評価します。
リード数、コンバージョン率、ROIなどの指標を用いて、実施した施策のデータを収集し分析します。収集したデータをもとに成果を評価し、成功したポイントと改善が必要なポイントを明確にしましょう。
マーケティングコミュニケーションのデメリット
マーケティングコミュニケーションは企業の成長に大きく貢献しますが、効果的に実施するためにはいくつかのデメリットや課題に注意しておく必要もあります。
次に、マーケティングコミュニケーションの主なデメリットとそれに対する対策を紹介します。
メッセージの一貫性維持
マーケティングコミュニケーションは多岐に渡りますが、複数のチャネルでメッセージの一貫性を保つには、適切な管理が必要です。
メッセージの一貫性を保つことは、ブランドイメージを確立し、顧客の信頼を得るために欠かせません。各チャンネルで統一されたメッセージを伝えるためには、ガイドラインを設定することが重要でしょう。
このガイドラインには、ブランドの価値観、トーン、スタイル、キーメッセージなどが含まれます。全社員がこのガイドラインに従ってコミュニケーションを行うことで、一貫したメッセージを顧客に届けることができます。
予算オーバーの防止
複数のチャネルを伏線的に取り組む必要があるため、人件費やコストが上がってしまう可能性があります。
マーケティング活動において予算オーバーを防ぐためには、予算管理ツールを導入し、常に最新の支出状況を把握することで、計画外のコスト発生を防ぎましょう。
また、一つの会社で全てを網羅することはかなりハードルも高くなります。その場合、マーケティングに詳しい会社に依頼してしまうことも一つの手段です。結果として、費用対効果高く成果を得ることにも繋がります。
マーケティング コミュニケーションの成功事例
最後に、シェイプウィンがマーケティングコミュニケーションを活用している実際の成功事例について紹介します。
フレームワークを使用した成功事例
ゲーミングPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」では、販売促進の企画立案や実施におけるマンネリ化が課題となっていました。
そこで、ターゲットペルソナを再設計し、各フェーズ(認知、興味関心、来店、比較検討、購入)での顧客の行動の詳細を分析を行いました。マーケティングチャネルを選ぶ以前に、しっかりと顧客の購買プロセスを分析し、時間軸に合わせたマーケティングコミュニケーションを行うことが重要だからです。
その結果、販促企画の質と量が大幅に向上し、内製化のスピードもアップし、新たな顧客層へのアプローチにも繋がりました。
マーケティングにおいて、手法を選ぶ以前にしっかりと目的やペルソナを立案すること、カスタマージャーニーにあったマーケティングコミュニケーションを行うことが重要だということがわかる事例です。
PC専門店の販促企画を成功させた考え方『カスタマージャーニーマップ』の存在
マーケ部隊を立ち上げた成功事例
スマレジでは、広報やマーケティングの知識が不足し、製品の認知度が低いという課題に直面していました。そこで、広報PRとマーケティングを総合的に見直し、全体の戦略を再構築しました。
年間スケジューリングの見直しや戦略的なアプローチを導入。プレスリリースの添削を通じて、客観的かつ効果的なメッセージ作成を学びました。
その結果、テレビ東京「WBS」での特集を含む多くのメディア露出や、Webマーケティング施策によるユーザーの大幅獲得に繋がりました。PRとマーケティングを総合的に活用させたことによる影響がわかる事例です。
タブレットPOS『スマレジ』のマーケ・広報チームを3年間で構築
デジタルとアナログの手法を使った成功事例
フランス全国酪農経済センター『CNIEL』は、社会が持つフランスバター=「高価」というイメージが課題となっていました。そこで、デジタルPRとオフライン手法のポップアップストアを組み合わせたPRを実施しました。
デジタルPRではSNSとオンラインメディアを活用し、オフラインのポップアップストアでは有名パティシエの鎧塚俊彦氏を起用。デジタルとアナログの手法を組み合わせることで、広範なターゲットに効果的にリーチすることに繋がりました。
デジタルとアナログ、どちらのマーケティング手法がいいという極端な選択ではなく、目的に合った手段がどちらなのか、マーケティングの視点から適切な手法を選ぶことが重要だとわかる事例です。
フランス産バターのメディア・インフルエンサーPRとポップアップストア開催
※Slingshotと共同で実施
オウンドメディア・SEOの成功事例
日本能率協会は、従来の手帳のイメージが強く、展示会主催者としての新たなブランド認知を行うことが課題となっていました。
そこで、従来行っていた新聞広告の活用から、SEOやコンテンツマーケティングなどのデジタルPRを実施。ビッグキーワード「展示会」での上位表示を狙い、各展示会の出展者インタビュー記事を多数作成しました。
結果として「展示会」のビッグキーワードで検索2位を獲得、サイトのトラフィックが342%増加や新規ユーザーの取り込みに成功しました。また、展示会への来場者や出展者の増加にも繋がり、ブランド認知の向上と全体的なビジネスの成長に繋がりました。
認知度の向上だけではなく、来場者の増加につなげるための施策、2つの視点からマーケティングコミュニケーションを行ったことで、全体としての成長につながった事例です。
まとめ:最終的には顧客目線に立ったアナログな視点が肝
マーケティングコミュニケーションの手法は無数に存在します。
その中から、適切な手法を適切なタイミングで組み合わせて戦略を構築することが重要です。どのようなマーケティング手法があるのかは前提知識として、その後、どのように選び組み立てるかが成功の鍵となります。
また、現代においてデジタル分野の活用はより注目されていますが、最終的には人と人とのコミュニケーションを大切にすることが求められます。デジタルPRを選んだとしても、最終的に「顧客が何を求めているのか」というアナログの視点を持ち、顧客目線に立つことが大切です。
しかし、これらのマーケティング手法の選択や組み合わせ方は、AIが進化している現代においても容易ではありません。なぜなら、先述したように、最終的には顧客目線に立ったアナログな視点が肝となるからです。
そのため、マーケティングで確実に成果を出したい場合は、豊富な経験・実績を持っているマーケティング会社と協力することも賢い手段です。
シェイプウィンでは、国内・海外のスタートアップ、中堅企業や官公庁など多様な企業課題をパブリックリレーションズ戦略をベースに、PR・SNS・SEOの3つのチャネルを融合したコミュニケーション戦略を組み立て支援しています。お気軽にお問い合わせください。