訪日インバウンドが復活の兆しを見せる中、多くの自治体や企業が海外プロモーションを狙っています。海外からの需要が高いのはチャンスと言える一方で、その分競合他社も同様にプロモーション活動に注力しているでしょう。
海外向けのプロモーションで成功させるためには、プロモーションのローカライズ、現地ニーズの調査、メディアの活用、海外展示会への出展などさまざまな手法を総合的に取り組む必要があります。
そこで今回の記事では、海外進出を目指す企業や外国人訪問客に向けてプロモーションを行いたい方に向けて、海外向けのPR手法や実際のプロモーション成功事例を紹介します。
※本記事では、北米圏(アメリカ、カナダ)に特化して解説します。
海外向けプロモーションが、なぜ今注目されているのか?
海外向けプロモーションが今注目されている理由は、グローバル市場の成長とデジタル技術の進化が挙げられます。
まず初めに、海外プロモーションとは何か、そして海外プロモーションが注目されている理由と背景について詳しく説明します。
海外プロモーションとは
海外プロモーションとは、観光スポットや商品、サービスをPRし、訪日外国人観光客や海外の顧客に地域やブランドを知ってもらう活動です。
これにより、海外市場での集客を図り、売上の増加を目指します。具体的には、SNS広告、検索エンジン広告、インフルエンサーマーケティングなどの手法が用いられます。これらの手法を効果的に組み合わせることで、ターゲットに対して認知度を高めることができます。
海外向けプロモーションが普及している理由
海外向けプロモーションが普及している主な理由として、デジタル技術の進化とグローバル市場の成長が挙げられます。
デジタル技術の進化により、企業は低コストで広範囲にリーチすることが可能となりました。例えば、SNS広告を活用すれば、特定の興味・関心を持つユーザーに対してピンポイントで広告を配信でき、効果的な集客が期待できます。
また、リアルタイムで効果を測定し、広告の改善を迅速に行うことができるため、費用対効果が高いです。
さらに、グローバル市場の成長に伴い、企業は国内市場の限界を超えた新たなビジネスチャンスを求めています。特に観光業や地域産業にとっては、海外からの訪問者を増やすことが地域経済の活性化に繋がります。
企業は海外プロモーションを活用することで、費用対効果の高いプロモーションを実現し、国内市場の限界を超えて新たなビジネスチャンスを創出することができます。
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海外向けプロモーションの目的・メリット
海外向けプロモーションの目的は多岐にわたりますが、特に他社との差別化、認知度の向上などが挙げられるでしょう。
これらの目的を達成するためには、効果的なプロモーション戦略が不可欠です。それぞれの目的について、詳しく解説していきます。
他社との差別化をするため
海外向けプロモーションを効果的に行うことで、競合他社との差別化に繋がります。
海外からも人気のある企業としてブランディングを行うことができれば、既存顧客からの信頼やロイヤリティの向上にも繋がるでしょう。また、他者との差別化を通じて、自社のポジショニング獲得や売り上げ向上にも繋がります。
認知度の向上を図るため
海外向けプロモーションを企業や製品の認知度向上に向けて行うことも一つの目的として挙げられます。
特に新規市場への進出を考える企業にとって、プロモーション活動はブランド確立のために必須です。例えば、SNS広告や海外で影響力のあるインフルエンサーマーケティングを活用することで、広範なターゲットオーディエンスにリーチしやすくなります。
また、検索エンジン広告を通じて、特定のキーワードでの検索結果に自社の製品やサービスを表示させることで、潜在顧客にアプローチする機会を増やすことができます。
海外からの需要を活かすため
日本の観光地や製品に対する関心が高まり、訪日外国人観光客や海外顧客の増加が見られます。
観光業界では、インバウンド需要が高まっており、これに対応するためのプロモーション活動が注目されています。こうした社会変化に対し、日本企業は海外からの需要に応え、売上を拡大することが自治体や企業の一つチャンスとして取り上げられています。
海外プロモーションにおけるオンライン手法
国外に向けてプロモーションをする際に、オンライン手法を活用することは必須と言えるでしょう。
ここからは、海外プロモーションにおける具体的なオンライン手法について詳しく説明します。
海外向けWebサイト
海外向けWebサイトは、現地市場での効果的な集客に不可欠です。
特に注意すべき点として、日本のWebサイトを翻訳するだけでは不十分で、現地の文化や習慣に合わせてデザインや内容をローカライズすることが重要です。
例えば、アメリカ向けのWebサイトでは、現地で馴染みのあるデザインや色使いを採用し、ユーザーフレンドリーなナビゲーションを提供することで、訪問者の満足度を高めることができます。
さらに、SEO対策も重要です。現地の検索エンジンで上位表示されるように、現地の言語で適切なキーワードを選定し、コンテンツを最適化する必要があります。また、Google My Businessなどのローカル検索エンジンやディレクトリへの登録も効果的です。
SNS・インフルエンサー
インフルエンサーマーケティングは、SNSを活用したプロモーション手法の一つです。
海外で大きな影響力を持つインフルエンサーに製品やサービスを紹介してもらうことで、口コミを通じた集客を図ります。
インフルエンサーが自らのフォロワーに対してプロモーションを行うことで、ターゲットオーディエンスに対する信頼性や親近感が増し、効果的なプロモーションが可能となります。
特に旅行業界では、人気の旅行インフルエンサーに地域の魅力を紹介してもらうことで、訪問者数の増加が期待できるでしょう。インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、適切なインフルエンサーを選び、明確なプロモーション戦略を立てることが重要です。
ソーシャルメディア・WEB広告
ソーシャルメディア広告とWEB広告は、ターゲットオーディエンスに直接リーチできる効率的な手法です。
これらの広告は、特定の地域や興味を持つユーザーに対してピンポイントで配信できるため、無駄なコストを削減しながら高い効果を期待できます。
このように、ソーシャルメディア広告とWEB広告を適切に組み合わせて活用することで、海外向けプロモーションの効果を最大化することができます。ターゲットオーディエンスに対するリーチを強化し、ブランド認知度や売上を向上させるために、これらの手法をうまく活用することが重要です。
海外プロモーションにおけるオフライン手法
オンラインが普及している現代においても、オフライン手法を活用することは必須と言えます。
オフライン手法では、現地での直接的な接触を通じて強い印象を与えることができるため、海外プロモーションにおいて非常に有効です。ここでは、具体的なオフライン手法について説明します。
展示会・見本市への出展
展示会や見本市への出展は、海外市場でのプロモーションにおいて非常に効果的です。
これらのイベントに参加することで、現地のバイヤーや業界関係者に直接アピールできるだけでなく、最新の市場動向や競合の動きを把握することができます。
展示会では、ブースデザインや展示方法を工夫し、訪問者に強い印象を与えることが重要です。
マスメディア・屋外広告
マスメディア広告や屋外広告は、視覚的に訴求力のある手法で、多くの人々にリーチすることができます。
ビルボードや交通広告(バス、地下鉄、電車など)は、視認性が高く、ブランド認知度の向上に効果的です。自社のターゲットに合わせることが最も重要ですが、例えば、有名な観光地に広告を出すことで、世界中から集まる観光客やビジネスマンに強力な印象を与えることができます。
また、現地のテレビやラジオ、新聞などのマスメディアを利用することで、幅広いオーディエンスにリーチし、ブランドメッセージを効果的に伝えることができます。
イベント・プロモーション活動
現地でのイベントやプロモーション活動を実施することで、ターゲット層との直接的な接触を図ることができます。
例えば、製品のデモンストレーションや試食会、サンプリングを行うことで、実際に製品を体験してもらい、興味を持ってもらうことができます。特に新しい市場や文化に対する理解を深めるために、現地のイベントに参加することは非常に有効です。
海外プロモーションを成功させるポイント
海外プロモーションを成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
特に、ローカライズ、メディアの多様な活用、オンラインとオフラインの融合、事後プロモーションの一貫した実施、そして現地文化の理解が成功の鍵となります。これらのポイントを詳しく見ていきましょう。
1 .ローカライズ
日本と海外ではプロモーションの捉えられ方が異なるため、宣伝する地域に適した施策を行うことが重要です。
ローカライズとは、現地の言語や文化に合わせてプロモーション内容を調整することです。例えば、英語圏向けの広告では、単に翻訳を使用するのではなく、英語ネイティブのコピーライターを起用し、現地の文化や流行を取り入れたメッセージを発信します。
これにより、ターゲットオーディエンスに対して親近感を持たせ、効果的なプロモーションが可能になります。
2.メディア活用
効果的な海外プロモーションには、複数のメディアを活用することが欠かせません。
例えば、Webサイト・SNS・動画配信などのインターネット媒体を利用することで、オンラインでの広範囲なリーチが可能となります。また、テレビ・雑誌などのマスメディア媒体を活用することで、信頼性と知名度を高めることができます。
さらに、現地の新聞、テレビ、雑誌などのマスメディア媒体を活用することで、信頼性と知名度を高めることができます。これらの媒体は、地元の文化や消費者の生活習慣に深く根ざしており、ターゲットオーディエンスに対して強力な影響力を持ちます。
3.オンラインとオフラインの融合
例えば、オフラインのプロモーションとして現地で開催された展示会でのイベント内容をリアルタイムでSNSやウェブサイトに投稿し、広範なオーディエンスに対して情報を共有することで、プロモーションの幅を広げることができます。
また、展示会で得たコンタクトを元にSNSでのフォローアップを行うことで、長期的な関係構築が期待できるでしょう。
4.事後プロモーションまで一貫して行う
多くの企業や自治体が事前の呼び込みにフォーカスしたプロモーション活動を行っていますが、実は事前のプロモーション、途中のプロモーション、後のプロモーションを分けて丁寧にアプローチしていくことが重要です。
例えば日本の観光業の場合、現地に訪れて体験してもらうだけでなく、アフターツーリズム(気に入ったので越境ECしてもらう)までを一貫して行うことで、顧客のリピート利用や口コミ効果を狙えます。
そのほかにも、現地イベントに参加した顧客に対して、その後も定期的にニュースレターやSNSでの情報発信を行い、継続的な関係を維持します。これにより、顧客のロイヤリティを高め、長期的な収益を確保できます。
5.現地の文化を知る
そして最後に最も重要となるのが、現地の文化を深く理解することです。
ここまでさまざまな手法を説明してきましたが、その内容は全て、現地の習慣や価値観を尊重し、それに合わせたプロモーション活動を行うことが求められます。
例えば、日本国内では良いとされていることも、海外では特定の色や数字が縁起が悪いとされることがあります。そのような現地の文化や微妙なニュアンスを理解していなかった場合、PR活動が企業のブランドを傷つけることにも繋がります。
このような文化の違いやちょっとしたニュアンスまで理解することは非常に難しいので、現地視点を持っていたり海外向けのプロモーションに詳しい会社と協力することも有効な手段です。
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海外プロモーションで成功した実際の事例
最後に、実際に海外プロモーションで成功している事例を紹介します。
山口県
山口県は、観光スポットの元乃隅神社と角島大橋を中心に、効果的な海外プロモーションを展開しました。具体的には、山口県は「Yamaguchi Inbound Project」としてSNSを活用し、InstagramやFacebookで魅力的な写真や動画を定期的に投稿しました。これにより、外国人観光客からの注目を集めることに成功しました。
また、事前の呼び込みだけではなく、キャッシュレス決済の導入や観光案内所での英語対応スタッフの配置など、外国人観光客が利用しやすいインフラも整備しています。このような取り組みにより、訪日外国人観光客数は大幅に増加し、地域経済の活性化にもつながりました。
香川県
香川県は、特に訪問しやすい韓国、中国、台湾、香港といったアジア圏の国に対して積極的なプロモーション活動を行っています。
また、公式ウェブサイト内に多言語でソーシャルメディアをピックアップしたリストページを作成し、ターゲットとなる訪問外国人が情報をキャッチアップしやすい仕組みづくりをしています。
このように、海外向けのプロモーションには、オンラインとオフラインを併用すること、そして訪問してもらうためのプロモーションだけではなく、現地での対応や帰国後のアプローチも含めて、ソーシャルメディア、SEOなどさまざまな手法を一貫して活用することが重要です。
よくある質問
国際プロモーションとは何ですか?
国際プロモーションとは、企業や団体が自国以外の海外市場で製品やサービスを宣伝する活動を指します。
このプロモーション活動は、特定の地域や国の消費者や企業に向けて行われ、ブランド認知度の向上や販売促進を目的としています。国際プロモーションは、現地の文化や市場特性に合わせた戦略が必要であり、適切なローカライズが成功の鍵となります。
具体的には、SNS広告、現地メディアへの広告出稿、展示会出展などが一般的な手法です。
プロモーションとマーケティングの違いは?
プロモーションとマーケティングは似たような概念ですが、その役割と範囲に違いがあります。
マーケティングは、製品やサービスの市場分析、戦略策定、価格設定、流通、販売促進などを含む広範な活動を指します。
一方、プロモーションは、そのマーケティング活動の一部であり、具体的には広告、販売促進、パブリックリレーションズ、ダイレクトマーケティングなどの手段を使って製品やサービスを顧客に訴求することを指します。
マーケティングは全体戦略であり、プロモーションはその中の戦略的な部分と言えます。
プロモーションとPRの違いは何ですか?
プロモーションとPR(パブリックリレーションズ)は、どちらも製品やサービスの認知度を高めるための手法ですが、PRは長期的な信頼関係の構築を目指すのに対し、プロモーションは短期的な売上の向上を目指します。
プロモーションは、主に販売を促進するための活動であり、広告やセールスプロモーション、イベントなどを通じて直接的に消費者に働きかけます。
一方、PRは企業やブランドのイメージや信頼性を高めるための活動で、メディアリレーションズ、プレスリリース、イベントの開催などを通じて、間接的に消費者やステークホルダーに働きかけます。
広報とプロモーションの違いは?
広報とプロモーションも、それぞれ異なる目的と手法を持つ活動です。
広報は、企業や組織のブランドイメージや信頼性を高めるために、メディアや一般の人々との良好な関係を築くことを目的としています。広報活動には、プレスリリースの発表、メディアとのインタビュー、企業イベントの開催などが含まれます。
一方、プロモーションは、特定の製品やサービスの販売促進を目的としており、広告やセールスプロモーション、キャンペーンなどを通じて消費者に直接訴求します。広報は長期的なブランド戦略の一環であり、プロモーションは短期的な販売戦略の一部と位置付けられます。
まとめ:事後プロモーションも含め、一貫して自社で取り組めますか?
海外プロモーションを成功させるためには、ターゲット地域の文化、言語、市場のニーズを深く理解することが必要です。しかし、これらすべてを自社でカバーするには、膨大なリソースと専門知識が求められます。
特に、オンライン手法とオフライン手法を効果的に組み合わせ、現地市場での認知度向上を図ることは非常に難しいと言えるでしょう。
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