現代のビジネスでは欠かせない存在となったSNS。多くの企業がオフィシャルアカウントを運営していますが、どのようにその効果を測定していますか?
SNS上には膨大な量のデータを得ることができます。SNSの運営を通じて成功するためには、SNSの投稿を分析し、マーケティングやプロモーションに活用するソーシャル分析は現在の企業にとって必須といえるでしょう。
今回の記事では、SNSの分析と活用方法、マーケティングとの連携方法について解説します。また、おすすめのSNS分析ツールもプラットフォームごとに比較していきますので、自社の目的にあった分析方法を見つけましょう。
SNS分析とは
SNS分析は、ソーシャルメディアプラットフォーム上で発信されるコンテンツのデータを解析し、その情報をビジネス戦略の改善に活用するプロセスです。
SNS分析を通じて、企業は顧客のニーズや市場の動向を把握し、プロモーションや顧客満足度の向上策を練るための情報を得ることができます。
SNS分析が注目される理由
SNS分析は、現代のマーケティング戦略において必須の施策ツールとなっています。
SNSの活用は、企業が市場のトレンドを捉えて消費者との良好な関係を築く上で、その価値は計り知れません。
マーケティングに活用できる
SNS分析を活用することで、企業はどのようなコンテンツがターゲットオーディエンスに響くかを理解できます。
例えば、特定のキャンペーンが予想以上に良い反応を得ている場合や、逆に期待ほどのパフォーマンスを示さない場合、その原因を詳細に分析することが可能です。
また、マーケティングをする上でどのようなコンテンツ、キャッチコピーが顧客に響くのかを検討するのに時間がかかりますが、SNSを通じてテストを行いその結果を分析することで、プロモーションに活かすことができます。
関連記事:SNSマーケティングとは?事例から学ぶSNSマーケティングの始め方
トレンドの変化がわかる
SNS分析を通じて、市場や業界内のトレンドの変化をリアルタイムで把握することが可能です。
例えば、シェイプウィンではオンライン英会話サービスのノバキッドのSNS戦略を支援した際、コロナ前からオンライン学習への関心が高まっていることをSNS分析を通じてキャッチアップしていたため、オンラインコンテンツを中心に訴求しました。
しかしコロナ禍を経て、現在ではリアルな環境を傾向にシフトしている消費者の動向を見極め、訴求方法をシフトし高いエンゲージメントを得ることができました。
このように、SNSの分析はトレンド変化をキャッチアップすることに非常に有効で、プロモーション戦略に役立てることができます。
自社にポジティブなユーザーを巻き込んでいける
SNS分析の一つの手法であるソーシャルリスニングを活用することで、自社製品やサービスに対してポジティブな意見を持つユーザーを特定し、企業のプロモーション活動に積極的に巻き込むことが可能です。
例えば、自社の不祥事やネガティブな意見が発生した際にも、SNSを通じて自社にとってポジティブなユーザーが存在することで、他の消費者に対しても好影響を及ぼし、ブランドイメージを向上させる効果があります。
積極的なファンを利用したマーケティングは、自然な形で製品の魅力を伝えるのに非常に効果的と言えるでしょう。
リスク回避ができる
SNSの分析を行うことにより、企業は潜在的なリスクを事前に識別し、それに対応することができます。
例えば、製品に関する否定的なフィードバックが早期に検出された場合、速やかに問題に対処し、更なる悪影響を防ぐことができます。
また、分析を通じて適切な時期に撤退や戦略の転換を決断するタイミングを知ることも、資源の最適化とリスクの最小化に貢献します。
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SNS分析の具体的な方法
では実際にどのようなSNS分析方法があるのか、1つずつ解説していきます。
分析方法の種類だけではなく、それぞれの目的や効果を抑えることで、自社にどのようなメリットを与えるのか理解していきましょう。
ブランドイメージの調査
ブランドイメージの調査は、消費者が持つブランドに対する認識や感情を分析するプロセスです。
ブランドイメージの調査には、ソーシャルメディア上での言及、感情分析、関連ワードの分析などが含まれます。ブランドイメージの調査を通じて、企業は市場でのブランド位置づけ、改善点、強化点を把握し、戦略的なブランドマネジメントを行うことができます。
また、消費者の期待に応える製品改良や、ターゲット市場のさらなる開拓が可能となります。
競合分析
競合分析は、市場内の位置づけと競合他社との比較を明確にします。
競合分析は、競合の製品、価格、マーケティング戦略を評価し、自社の戦略を相対的に評価することが含まれ、市場のギャップを特定し、競争優位性を築くための機会を見つけ出すことができます。
市場動向やトレンドの調査
競合分析は、市場における競合他社との比較を通じて自社のポジションを理解するための分析方法です。
製品、価格、マーケティング戦略などのデータを収集し、強みと弱みを識別します。この情報を基に、戦略的な意思決定を支援し、市場での競争優位を築くための施策を講じることができます。
特に新製品の開発や市場進出の計画には不可欠なプロセスです。
プロモーションの効果測定
市場動向やトレンドの調査は、将来の消費者や市場の需要、業界の流行を把握するために行われます。
この分析は、キーワードトレンドの追跡、市場調査レポートの分析、消費者行動の調査に基づいています。これにより、企業は市場の動向を先読みし、製品開発やマーケティング戦略を適切に調整することができ、競争力のあるポジションを保つことに繋がります。
リスクモニタリング
リスクモニタリングは、SNS上の不利益な言及や緊急事態を早期に発見し、迅速に対応することを目的とした分析です。
このプロセスは、オンライン上のネガティブなフィードバックの追跡、リアルタイムの危機管理、企業評判の保護に貢献します。効果的なリスクモニタリングは、ブランドイメージの維持と悪化防止に不可欠です。
反響分析(新商品・プロモーションの効果測定)
反響分析は、新商品やプロモーションの市場で状況を測定するために行われます。
これにより、企業は製品の市場適合性、消費者からのフィードバック、キャンペーンの成果を評価できます。分析結果は、製品の改良、マーケティング戦略の調整、さらなる販売促進活動の計画に直接活用されることが多いです。
テキストマイニング
テキストマイニングは、非構造化テキストデータから有用な情報を抽出し、定量的な分析に変換するプロセスです。
テキストマイニングには、言及の頻度、感情分析、トピック検出などが行われます。企業はこれを利用して、顧客の意見や市場のトレンドを詳細に理解し、製品開発や顧客対応戦略の改善に役立てることができます。
おすすめのSNS分析ツールの種類・比較
SNS分析において、ツールを活用することは非常に重要です。
SNS分析ツールを通じてソーシャルメディアのデータを集め、分析することで、ブランドのオンラインプレゼンスを強化し、消費者との関係を改善するのに役立ちます。ここから、ソーシャルメディアプラットフォームに最適なツールを紹介していきます。
●Instagramアカウント運用向け
Instagramのエンゲージメント分析に特化したツールでは、「SINIS」や「Aista」が注目されています。
これらのツールは、ハッシュタグのパフォーマンスやストーリーズの視聴データなどを詳細に分析し、マーケティング効果を最大化する機能を提供します。「SINIS」は50,000以上のアカウントに採用されており、競合分析やハッシュタグ効果の詳細な調査、初期エンゲージメントの測定などが可能です。
また、「Aista」は、ビジュアルデータの深い分析を特徴とし、ストーリーズやビデオのパフォーマンス追跡に特化しています。
・SINIS
Instagram運用の成果を可視化する、業界最大手クラスの分析ツールです。
50,000アカウント以上の導入実績があり、複数アカウントの一括管理にも対応しているので、社内で運用している複数アカウントの実態把握や分析、全社的な改善施策の実施に役立ちます。
また、最大10アカウントまでの競合他社データを分析し、自社の状態と比較できるのも本ツールの強みです。ハッシュタグを「いいね数」や「エンゲージメント率」順に並び替えて効果的なハッシュタグを洗い出したり、そのほか、メンション投稿の収集、初速分析を行えるなど、Instagram運用ツールならではの機能が多数搭載されています。同社ではX(Twitter)の分析ツール「SINIS for X」も提供しています。
●facebookアカウント運用向け
「Social Insight」は、Facebookを含む複数のSNSプラットフォームでのデータを統合的に分析するツールです。
このツールは、ソーシャルリスニングや競合分析、キャンペーンの効果測定を一元的に管理することができ、広範囲なデータアクセスを提供します。日本で最も広く使われているこのツールは、投稿スケジューリングや自動化されたマーケティング活動支援、インフルエンサー分析など、高度な機能を備えています。
・Social Insight
Social Insightは多様なSNSに対応した分析・運用ツールで、Instagram、Facebook、X(Twitter)をはじめとする複数のプラットフォームでのクチコミデータを収集し分析します。
テキストマイニングとデータの視覚化に強く、ソーシャルリスニングを通じてユーザー感情の分析や市場動向の捉え方を提供します。さらに、SNSキャンペーンの効果測定やインフルエンサー調査など、SNSマーケティング全般にわたる機能が集約されており、ITメディア企業からも高く評価されています。
●X(Twitter)アカウント運用向け
X(Twitter)用の分析ツールとして「SocialDog」がよく使われています。
SocialDogは、エンゲージメント分析、フォロワー行動の詳細な調査、および投稿スケジューリングなどの機能を提供し、効率的なアカウント管理を支援します。
X(Twitter)特有のコミュニケーションスタイルに適応するため、投稿のタイミングや内容の最適化が可能であり、特に大規模なアカウント運用に適しています。また、ユーザー層の解析や競合の動向を把握するための詳細なレポートも提供しています。
SocialDogはX(Twitter)、Instagram、Facebookに対応したアカウント運用支援ツールで、100万以上のアカウント管理実績があります。
このツールは特に自動化機能が豊富で、予約投稿やRSS自動投稿などが可能です。また、フォロワーの属性や行動パターンを分析することで、ユーザーエンゲージメントの最適化に貢献します。企業のSNS運用に役立つ多くの機能を備え、初心者からプロまで幅広く対応するユーザーフレンドリーな設計が特徴です。
●クチコミ分析向けツール
クチコミ分析向けツールは、ソーシャルメディア上のユーザー生成コンテンツを収集します。
クチコミ分析向けツールには「見える化エンジン」「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」「Quid Monitor」などが挙げられます。
・BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長
BuzzSpreaderはX(Twitter)専用のソーシャルリスニングツールで、全ツイートの分析が可能です。
13カ月間の広範なデータ検索や、最大10キーワードの同時検索機能を持ち、リアルタイム分析による速報性が特徴です。トレンド分析やユーザー属性分析など、詳細な分析オプションを提供し、分析結果を即座にダッシュボードで確認することができます。
また、他のプラットフォームと比較しても広範囲なクチコミデータを対象にすることができ、特に大規模なデータ収集に適しています。
SNS分析ツールを選ぶポイント
適切なSNS分析ツールを選ぶことで、マーケティング効果を大幅に向上させることができます。次に、どのようにして最も適した分析ツールを選べば良いのか、重要な選定ポイントを詳細に解説します。
分析手法の充実度
SNS分析ツールがどこまで分析可能なのかについて認識しておくことが重要です。
例えば、単にキーワードの頻度を追跡するだけでなく、そのキーワードがどのような文脈で使われているのか、感情分析(ポジティブかネガティブか)を提供するかなど、よりた踏み込んだ分析機能が備わっているかまでチェックしましょう。
また、業界トレンドや消費者行動の変化を捉えるためには、時間軸に沿った分析ができるツールが有効です。
複数アカウント管理への対応
特に大企業や複数ブランドを持つ企業では、複数のSNSアカウントを所持していることも多いのではないでしょうか。
そのような場合、複数のアカウントの分析データをまとめるだけでも多くの時間がかかってしまいます。そのため、そのような場合は複数アカウントを一元管理できるツールを選ぶことが望ましいです。
もちろん機能として、投稿スケジュールの管理、エンゲージメントデータの集約、そしてアカウント間での比較分など、基本的な機能が含まれていると良いです。
運用方針との適合性
各企業のSNS戦略は異なるため、分析ツール選びも自社の運用方針に合わせる必要があります。
例えば、ブランドの認知度向上を主目的とする企業は、エンゲージメントやリーチの追跡に長けたツールが適しています。一方で、顧客サポートを強化したい企業は、顧客の声をリアルタイムでキャッチし、対応できる機能が組み込まれたツールが必要です。
自社の具体的な目標と戦略に基づいて最適なツールを選ぶことが、SNSマーケティングの成功には不可欠と言えるでしょう。
SNS分析のポイント
SNS分析をする際、ちょっとしたポイントを抑えることで、SNS分析の効果が大きく変わります。次に、SNS分析のポイントについて解説していきます。
媒体ごとの特性を理解し、効果的に使い分ける
SNSの利用において、媒体ごとの特性を理解し効果的に使い分けることは非常に重要です。各プラットフォームは異なる機能とユーザー層を持ち、それぞれの特性に合わせたコンテンツ戦略が求められます。
X(Twitter)
・リアルタイムでの情報収集が可能
・リツイート機能により情報の拡散が容易
・匿名性が比較的高く、消費者の率直な意見を集めやすい
Instagram
・画像、動画を中心とした視覚的コンテンツに特化
・ハッシュタグを利用してトレンドを迅速にキャッチ
・視覚的なデータから消費者の嗜好を分析可能
Facebook
・主に30~50代のビジネスパーソンが利用
・実名制で高い情報の信頼性
・詳細なユーザーデモグラフィックを基にしたターゲット広告が可能
LinkedIn
・ビジネス関連のプロフェッショナルが多く集まるプラットフォーム
・実名登録が基本で、情報の正確性が高い
・経営層や専門職とのネットワーキングに最適
TikTok
・短い動画コンテンツが中心で、若年層のエンゲージメントが高い
・アカウント不要でのコンテンツ閲覧が可能
・主に10代から20代に大きな影響力を持つ
SNS分析ツールを活用する
SNS分析ツールは、アカウント運用・分析ツールとソーシャルリスニング(口コミ分析)ツールの2つに大別されます。
・アカウント運用・分析ツール
プロフィールのパフォーマンスを追跡し、エンゲージメントやリーチなどの指標を提供。複数アカウントの一元管理や投稿スケジュールの最適化が可能
・ソーシャルリスニングツール
ウェブ全体からの言及をリアルタイムで収集し、ブランドや製品に対する公衆の感情を分析。危機管理や市場トレンドの発見、競合分析に役立つ
SNS分析ツールはプラットフォームの特性を捉え、効率的にデータを収集・分析する機能を持っており、テキスト重視のプラットフォームでは言語分析ツールが、ビジュアル重視のプラットフォームでは画像分析ツールが有効です。
このように、SNSの特性を把握し適切に活用することで、ブランドの視認性を高め、ターゲットオーディエンスとの関係構築を強化し、最終的にはマーケティング活動の成果を最大化することに繋がるでしょう。
よくある質問
SNS競合分析で分析すべき項目は?
SNS競合分析では、フォロワー数やエンゲージメント率、主要ハッシュタグ、コンテンツの種類、投稿頻度などを調べます。これにより競合の影響力や戦略の傾向を把握し、自社のSNS戦略を適切に調整できます。
CCX Socialはなぜ無料なのか?
CCX Socialに限らず、無料のSNS分析ツールの多くは、ユーザーデータを収集し広告ターゲティングに利用することで収益を得ていることがほとんどです。
基本機能は無料で、より高度な機能は有料オプションとして提供されています。これにより、広範なユーザーベースを獲得しています。
まとめ:AIの進化に伴い、SNSの運用も複雑化
AIの進化に伴い、SNSの機能や効果も日々大きくなっている中で、適切にSNS分析を行うことは必須と言えるでしょう。しかし一方で、だからこそSNSの運用が複雑化していることも事実です。
多様なプラットフォームや日々変化するアルゴリズム、多岐にわたるユーザーへのアプローチなど、これらを企業が自力で全てを把握し運営することは非常に難しいと言えるでしょう。
特に中小企業にとって、これら全てに対応するためには、専門知識と経験が不可欠です。シェイプウィンは、そうした企業のニーズに応じた包括的なサポートを提供し、SNSの効果的な運用だけでなく、広範囲にわたるマーケティング戦略のサポートも行います。
また、戦略に沿った投稿やキャンペーンはもちろん、最適なインフルエンサーの提案もワンストップで行えますので、まずは相談からお気軽にお問合せください。