前回は広報PR担当者のよくある悩みとしてプレスリリースに関して解決のためのヒントを述べました。
前回記事:広報担当者の悩みと解決のヒントまとめ〜プレスリリース編〜
今回はメディアの方とのコミュニケーションである「メディアリレーション」と社内のコミュニケーションについて多くある悩みと解決のためのヒントをお伝えします。
メディアリレーション・キャラバンについて
メディアのアポイントが取れない
企業の広報担当者から本当によく聞く悩みです。弊社のスタッフは、コネクションのないメディアでも簡単にアポを取ってしまうので、お客様からよく驚かれます。
アポイントはテクニックではありません。アポが取れない方の多くが「お願い」をしています。「このニュースの記事化をお願いできますでしょうか?」「おもしろいニュースなので、ぜひ記事化をお願いします」。これらの広報担当者からの「お願い」をメディアが無料でかなえるメリットはどこにもありません。多くの場合、「資料を送ってください。検討します。」と言われて終わりでしょう。
私たちがメディアのアポを取れるのは、「お願い」をしないからです。「相談」のスタンスがポイントです。記者の仕事は「バズる記事(読者に役立つ記事)」を書くことです。私たちは「こんな内容の記事が貴メディアで読めたらおもしろいとと思うのですが、何が足りないのか相談させてください」と相談するスタンスでアポを取っています。
クライアントの商材も含め、あくまで情報屋さんとして何を情報収集すればよいかをメディアに聞きに行くというスタンスのため、忙しい中でも時間を取ってくれます。広報担当者は、自社の商品・サービスを記事にしてもらう事を考えるのではなく、そのメディアでどんな記事があったらおもしろいかを読者目線で考えて伝えることでメディアとの話しも弾むはずです。まずは「相談」を心がけてアポイントの相談をしてみてください。
どんなメディアがあるのかわからない
プレスリリース配信サービスが普及して、100以上のメディアにプレスリリースを一斉配信することが簡単にできるようになりました。プレスリリースの配信先には聞いたこともないメディアが多く含まれているのではないでしょうか。配信先のメディアを知らずに送っているというのは「迷惑メール」と同じです。
広報の仕事を始めるときに一番最初にやるべきことはメディアを知ることです。テレビの番組名や新聞社、雑誌社、オンラインメディアなど数千もあります。そのメディアの中から自社に関わるメディアをすべてピックアップします。自社商品の業種を報じるメディアや自社商品の顧客の業種を報じるメディアなど様々な切り口から関連性を探ります。
テレビは番組名だけでなくWBSの「トレたま」、ZIPの「ハテナビ」などのコーナーの内容まで把握、雑誌や新聞は過去の特集や連載、コラムを把握することが大切です。数あるメディアの中から自社に一番関わるのは「この媒体の個のコーナー」というようにターゲットメディアを絞ることができればPR戦略も立てやすくなります。。
テレビや全国紙、メジャーな雑誌をターゲット媒体にする広報担当者が多いのです。しかし、おろそかにしてはいけないのは、専門紙・専門誌です。業界の深い情報が掲載されているため、一般メディアへの波及元となります。メディアを知るためには、自社のターゲットメディアをリスト化したメディアリスト作りが遠回りであり近道なのでぜひトライしてみてください。
広報と社内とのコミュニケーションについて
広報が社内から評価されない
「うちの会社は広報がわかってない」と社内から評価されないと嘆いている広報担当者をよく見かけます。広報のゴールを見直す必要があります。広報PRの成果をメディアの掲載数や広告換算価値、売上への影響力で評価すると「WEBマーケティングの方が費用対効果がよい」という結論に陥ってしまいます。結果として広報PRは何のためにやっているのかという議論に発展します。
PRは「パブリック・リレーションズ」の略であり、社会と企業の関係作りの活動です。社会へメッセージを発信すると共に社会からのメッセージを受け取ることがPR活動の趣旨です。自社商品・自社のメディア露出をゴールにするのではなく、メディアとの関係値をどれだけ高められたかを指標にすることで社会と繋がる広報担当者の評価は上がります。
例えば、取り上げてもらえないときになぜ取り上げてもらえなかったのかはっきりとした理由が聞ける広報担当者は少ないです。理由が聞ける関係のメディア担当者の数が多いほど、次のPR施策や製品開発の方向性を決めるためのフォードバックを多く得られます。社会の意見を獲得できる広報担当者は社内から重宝される存在となるでしょう。
まとめ
新しく広報を始められる方やすでに広報をされている方が共通に感じていらっしゃる悩みを中心にまとめました。改めて、広報に対する考え方を見直してみることで自社とメディアと社会の三方によいPRコミュニケーションを実現できるのではないかと思います。