多くの企業がSNSで成功を収めている理由はなんでしょうか?
その理由は、単にコンテンツを提供しているだけではなく、SNSをマーケティングの視点から活用していることです。SNSとマーケティングの関係性についてご存じですか?
今回の記事では、企業アカウントを任されたPR・広報担当者の方に向けて、SNSの運用方法やSNSを活用するメリット、戦略的なSNSマーケティングの手法を解説します。
初めに知っておきたい!SNSマーケティングとは
SNSマーケティングは、SNSを通じユーザーとコミュニケーションを取れる手法です。
SNSマーケティングは、ユーザーが積極的に検索する従来の広告手法と比べて、より高い拡散力を持ち、多様な層にリーチすることが可能です。
SNSマーケティングと自然検索(SEO)の違い
SNSマーケティングと自然検索(SEO)の違いは、ユーザーへのアプローチ方法にあります。
SEOはキーワードに基づいた内容で検索エンジン上の上位表示を目指し、ユーザーが積極的に情報を探求する際にオーガニック流入を増やします。
一方SNSマーケティングでは、トレンドや話題性のあるコンテンツを配信し、ユーザーが自然とコンテンツに触れる形でエンゲージメントを促進します。この方法では、ユーザーが情報を積極的に求めなくても、興味や好みに基づきコンテンツが提供されるため、より広範なリーチが可能です。
SNSマーケティングと広告の違い
SNSマーケティングと従来の広告との間には、コストと戦略の違いがあります。
従来の広告は出稿料が発生し、直接的なコンバージョンを目標としてCPA(コストパーアクション)の最適化が重要です。これに対して、SNSマーケティングでは、初期コストが低く抑えられることが多く、コンテンツの魅力によって自然な形でフォロワーを増やし、長期的な顧客関係を構築します。
SNSでは、未知のユーザーに対してもブランドを認知してもらい、定期的な投稿による関係性の構築を通じて、顧客のロイヤリティを育てることが可能です。このプロセスは、継続的なコミュニケーションと共感の創出に重点を置いています。
SNSマーケティングの重要性が高まっている理由
SNSマーケティングの導入は、企業が現代のデジタル社会において競争力を保持するために不可欠です。ここでは、SNSマーケティングの重要性が高まっている理由について詳しく解説していきます。
SNS利用率の向上
近年、SNSの普及が著しく、総務省の2019年の調査によれば、全世代の約7割の人がSNSを利用しています。
この高い利用率は、各年齢層にわたってSNSが日常生活に根ざしている証拠であり、マーケティング戦略においてSNSを無視することはできない状況です。企業は、広告やプロモーション活動にSNSを積極的に活用することで、多様な消費者層に効率的にリーチし、エンゲージメントを高めることができると言えるでしょう。
SNS検索の普及
近年では、特に若年層の間でSNSを通じた情報収集が一般化しています。
従来は何かを知りたい場合に検索エンジンが主に使用されていましたが、20代を中心にSNSでの検索が併用されるようになり、情報収集から購買に至るプロセスにおいてSNSの影響力が増しています。
この変化は、マーケティング戦略においてもSNSを利用した販促活動がより重要になる理由であり、企業にとっては新たな顧客獲得のチャンネルとしてSNSが不可欠と言えます。
マーケティング手法の変化
SNS上でのユーザー行動は従来のマーケティング手法と大きく異なります。
ユーザー生成コンテンツ(UGC)が重要な役割を果たし、ファンや顧客による自然発生的な企業に関する投稿や口コミが購入決定に大きく影響します。このため、企業はただ商品やサービスを宣伝するだけでなく、ユーザーが共感し、共有したくなるようなコンテンツを提供することが重要です。
好感の持てる認知を最大化することで、ブランドのポジティブなイメージが形成され、結果として顧客ロイヤルティの向上につながります。SNSマーケティングでは、このようなエンゲージメントの質を高めることが、従来のマーケティング戦略にはない、新たな分野と言えます。
SNSマーケティングの効果・メリット
次に、SNSマーケティングがもたらす多面的なメリットを、ブランディング、顧客関係、コスト効率の観点から解説します。
ブランディング・認知度向上
SNSマーケティングは、企業やブランドが広い範囲で認知されるための強力なツールです。
投稿が「いいね」を獲得することで、そのユーザーのフォロワーにも自然と露出し、ブランドのメッセージやイメージが効果的に拡散されます。このような共感を呼ぶコンテンツは、企業の世界観や価値観をユーザーに伝え、ブランドの認知度向上に直接的に寄与します。
さらに、SNS上でのビジュアルや言葉によるコミュニケーションは、消費者に深い印象を残すことができるため、ブランディング効果は非常に高いと言えます。
顧客と密なコミュニケーションが取れ、顧客ロイヤルティ向上に繋がる
SNSを利用することで、企業は顧客との間に直接的かつ持続的なコミュニケーションチャネルを確立できます。
顧客からのフィードバックや質問にリアルタイムで応答することで、信頼関係が築かれ、顧客ロイヤルティが向上します。これは、顧客が企業に親しみや愛着を感じるようになることから、長期的な関係の構築に寄与し、顧客の継続的な支持を確保する基盤となります。
人材確保・コスト削減にも繋がる
SNSマーケティングは、他のマーケティング手法に比べてコスト効率が良く、多くの場合、広告にかかるコストを削減できます。
特に小規模企業やスタートアップにとっては、低予算で広告施策を行い、多くのターゲット顧客にブランドを知ってもらう手段として非常に有効です。
また、魅力的なSNSのプレゼンスは、才能ある人材を引きつける一因ともなり、採用活動においてもプラスの影響をもたらします。このように、SNSマーケティングは多くのメリットを企業にもたらすことが可能です。
SNSマーケティングの手法
SNSマーケティングはさまざまな手法で活用することが可能です。そして、各手法は異なる目的と効果を持っています。ここでは、SNSマーケティングの主な手法を解説します。
定期的な情報発信
企業がSNSを活用する基本的な手法の一つは、コンテンツスケジュールを立てて自社の情報を定期的に発信することです。
定期的な情報発信により、フォロワーは最新の情報を継続的に受け取り、ブランドへの関心を持続させることができます。定期的な投稿は、企業が活動している証でもあり、エンゲージメントを高めるための土壌を作ります。
キャンペーン企画
SNSはユーザー参加型のキャンペーンを実施するのに最適なプラットフォームです。
例えば、オリジナルのハッシュタグを用いた投稿の促進、フォロー・リツイートを条件としたプレゼント企画、商品を使用した写真や動画を投稿してもらうコンテスト形式のキャンペーンなどがあります。
これらのキャンペーンは、ブランドの可視性を高めるだけでなく、フォロワー獲得、UGCの増加、キャンペーン情報の拡散、店舗やイベントへの来訪促進など、多岐にわたる利益をもたらします。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、公開されているユーザーの意見や感情を監視し、企業が顧客の声を直接聞くことができる手法です。
これにより、アンケートでは捉えにくい細かな要望や不満点を発見し、商品開発やサービス改善に活かすことが可能になります。また、市場のトレンドを追跡し、競合との比較分析にも利用できます。
SNS広告
SNS広告は、ターゲットとするユーザー層に合わせて高度にカスタマイズできるため、特に効果的です。
ユーザー登録時の情報や利用傾向に基づいた詳細なターゲティングにより、一般的な投稿と馴染む形で配信される広告は、視認性が高く、クリックスルーレートの向上を期待できます。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーを活用したマーケティングは、特定のターゲット層に直接訴えかけることができる強力な手法です。
適切なインフルエンサーとのコラボレーションは、そのインフルエンサーが持つフォロワーの信頼と影響力を利用して、ブランドの認知度を一気に高め、具体的な購買行動につなげることが期待されます。
SNSマーケティングの始め方
SNSマーケティングを効果的に行うためには、適切な計画と戦略が不可欠です。まずは以下の3つのステップでSNSマーケティングを始めてみましょう。
①SNSマーケティングの目的を決める
成功するSNSマーケティング戦略の基礎は、明確な目的設定から始まります。
「何のためにSNSマーケティングを行うのか」をはっきりさせることが重要です。これには、KGI(最終的に達成したい具体的な成果)とKPI(KGIに到達するための途中経過として測定する指標)の設定が含まれます。
例えば、ブランド認知度の向上、リード獲得の数、またはセールスの増加などがKGIに、それに至るためのウェブサイトへの流入量やフォロワー数の増加がKPIになります。
②目的にあったソーシャルメディアを選ぶ
次に、自社のブランドや商品、サービスに最も適したソーシャルメディアプラットフォームを選択します。ターゲットとなるユーザー層がどのSNSを主に使用しているかに基づいて選ぶことが重要です。
例えば、若年層にリーチしたい場合はInstagramやTikTokが適しており、ビジネス関連のコンテンツであればLinkedInが適している場合があります。
③戦略を立てPDCAサイクルを回す
戦略策定後、計画を具体的な行動に移し、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を活用して効果を測定し、必要に応じて修正を加えます。
Planでは戦略を立て、Doで実行し、Checkで成果を評価し、Actで次のサイクルに向けた改善を行います。この繰り返しを通じて、SNSマーケティングの効果を最大化し、戦略の洗練を図っていきます。
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代表的なソーシャルメディア
次に、代表的なソーシャルメディアプラットフォームを紹介します。
それぞれの特徴を理解し、自社のターゲット層がどのプラットフォームを利用しているかに基づいて選択することが重要です。
Facebookは幅広い年齢層に利用されていますが、特に30代以上のユーザーが多く、家族や友人とのつながりを重視する傾向にあります。ブランドの認知度向上やコミュニティ形成に適しており、長いテキスト、画像、ビデオコンテンツが効果的です。
LinkedInはビジネス関連のコンテンツに特化したプラットフォームで、職業情報を共有し、ネットワーキングを行うプロフェッショナルが多く利用しています。特にB2B企業にとって有益で、業界のリーダーや専門家とのつながりを築くのに最適です。
TikTok
TikTokは若年層に非常に人気があり、創造的でエンターテインメント性の高い短いビデオコンテンツが主流です。特に若い顧客層にアプローチするのに適しています。
X(旧Twitter)
速報性と情報の拡散力に優れるX(旧Twitter)は、多様な年齢層にわたるユーザーが利用しており、リアルタイムでのコミュニケーションやトレンドへの参加が可能です。ニュースの共有や意見交換に最適です。
Instagramは特に若年層から中年層にかけて人気があり、ビジュアルコンテンツ(写真や短動画)を中心に使用されます。ブランドのビジュアルアイデンティティや商品の魅力を強調するのに適しています。
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YouTube
YouTubeは全年齐が利用するビデオシェアリングプラットフォームで、教育的な内容からエンターテインメント、製品レビューまで、長めのビデオコンテンツに最適です。ブランドが深い物語性や詳細な情報を共有するのに利用されます。
LINE
LINEは特に日本で人気があり、若者から高齢者まで広い層に利用されています。友人や家族とのプライベートなコミュニケーションだけでなく、企業が顧客と直接コミュニケーションを取るための公式アカウントも提供されています。
各プラットフォームの特性を理解し、自社のマーケティング戦略にどのように組み込むかを慎重に選択することが、効果的なSNSマーケティングの鍵となります。
SNSマーケティングの注意点・デメリット
SNSマーケティングを活用する際には多くのメリットがありますが、それに伴うリスクやデメリットも十分に理解し、対策を講じることが必要です。
炎上のリスクがある
SNSの使用には炎上のリスクが伴います。
企業が不適切な内容を投稿したり、社会的なモラルに反する発言をすると、強い非難を可能性があります。例えば、他の企業や製品を批判するような投稿や誤解を招く表現は、炎上を招きやすいです。
このリスクを避けるためには、公開前に複数のスタッフで内容をチェックする多角的なチェック体制を整えることが推奨されます。また危機管理広報の知識を事前に勉強していることも重要です。
リテラシー・専門知識が求められる
SNSマーケティングを効果的に行うには、専門的な知識とリテラシーが必要です。
これには、プラットフォームごとの特性理解、適切なマナー、情報セキュリティ意識などが含まれます。適切な知識を持つ担当者が不足している場合、誤った情報の扱いや不適切なコミュニケーションによって企業のイメージが損なわれることもあります。したがって、教育と研修を定期的に行い、担当者のスキルアップを図ることが大切です。
時間と労力がかかる
SNSマーケティングは即効性があるわけではなく、成果を実感するまでには時間がかかることがあります。
効果的な結果を出すためには、長期間にわたるコミットメントと持続的な努力が必要です。また、適切な管理ツールの選定や人的リソースの確保、継続的なコンテンツ制作といったコストも考慮する必要があります。
SNSマーケティングの計画段階でこれらのコストを見積もり、リソースを適切に割り当てることが成功の鍵と言えるでしょう。
SNSマーケティングの成功事例
SNSマーケティングは多くの企業に大きな影響をもたらしています。
ここでは、単なるSNS活用ではなく、SNSマーケティングを活用して成果を得られた事例を紹介します。
動画CMの活用:240件以上のメディア露出に成功!
子ども向けオンライン英会話スクール「ノバキット」は、通学型グループレッスンの英会話教室が一般的な日本市場において、子ども向けのオンライン英会話というサービスの市場認知が必要でした。また、大手から個人まで数千もの英会話教室が点在するレッドオーシャンの中で、競合に打ち勝つポジショニングや、顧客から信用を築く活動も重要でした。
そこでシェイプウィンでは、Instagramのアカウント運用やインフルエンサー投稿をマーケティングの視点から連動させ、インスタグラムのフォロワー数を4,700人まで増加。また、TVerにて動画CMを行った結果、240以上のメディア露出に繋がりました。
SNSは単なるプラットフォームではなく、メディアアプローチの観点も持つことで、メディア露出にも繋げることができることがわかる事例です。
3つのプラットフォームを戦略活用:2.9Mのインプレッション・800Kリーチ獲得!
日本の消費者に向けてスペイン牛の魅力を発信するワンダフルビーフ2.0とのプロジェクトでは、単に牛肉の宣伝をするだけでなく、ヨーロッパ生産モデルという「宣伝」記事も発信する必要もあり、エンゲージメントの高いオーディエンスを構築するのが難しい状況でした。
そこでシェイプウィンでは、3つのソーシャルメディア(Instagram、Facebook、YouTube)のKPIを設定。アカウントを『ジャパンフレンドリー』にすることに取り組み、Instagramのアカウントで定期的な『フォロワーキャンペーン』を実施しました。また、『仕事や家事で忙しい人のための簡単・時短レシピ』をテーマとする家庭料理の研究家・インフルエンサーとコラボする施策を行いました。
結果として、日本市場にローカライズした投稿により2.9Mのインプレッションという高いエンゲージメントを獲得し、インフルエンサーのフィードと世界観がマッチしていたことにより800Kリーチという高いエンゲージメントを獲得。
複数のプラットフォームを連動させたキャンペーン施策と、ターゲットにカスタマイズしたコンテンツ運営見直しが、大きなエンゲージメントを生み出すことがわかる事例です。
イベントとSNSの連携:イベントのレポートレシピなどがSNSで拡散!
日本市場におけるフランス産のバターやチーズといった乳製品のPRを実施するCNIELは、フランスの乳製品は輸入関税のために高価であるというイメージから、PRに課題を抱えていました。
そこでシェイプウィンでは、フランス産バターを使ったスイーツを八芳園やフランスパティシエとして有名な鎧塚俊彦氏とコラボし、限定メニューを開発しプロモーションを実施。1週間のポップアップストアイベントの開催期間中には、インフルエンサーを対象としたイベントも複数実施しました。
結果として、スイーツやアフターヌーンティーに関するインフルエンサーにレシピや会場でのイベントレポートなどの投稿が行われ、リーチ数だけでなく高いエンゲージメントも獲得することができました。
イベントを開催するのではなく、イベントとの相性を考慮したインフルエンサーの選定や期間限定イベントを行うことにより、イベントの効果を最大化できることがわかる事例です。
(※)lingshotとのコラボ企画
よくある質問
SNSマーケターはどんな仕事をしていますか?
SNSマーケターの主な仕事は、ソーシャルメディアプラットフォームを使用して企業のブランド、製品、またはサービスを宣伝することです。
具体的には、ターゲットオーディエンスに合わせたコンテンツの作成・配信、キャンペーンの企画・実行、フォロワーとのコミュニケーション、データ分析を通じた戦略の最適化などが含まれます。また、SNSのトレンドに敏感であり、新しいソーシャルメディアツールや機能を迅速に理解し活用する能力も求められます。
まとめ:SNSにもマーケティングの視点が重要
SNSマーケティングは現代のデジタルマーケティング戦略において欠かせない要素であり、ブランド認知度を向上や顧客ロイヤルティ向上は、結果として商品の売り上げ向上や優秀な人材確保などさまざまな効果を生み出しています。
しかし、SNSを活用して企業にとっての成功を生み出すには、単にSNSのプラットフォームやマーケティングのやり方を知っているだけではなく、全ての要素をマーケティングの視点から繋げるSNSマーケティングのスキルが重要です。
独自のアプローチでブランド認知を高め、効率的な顧客獲得を目指す場合、プロの支援を利用することも一つの手段です。
シェイプウィンでは、コンテンツ制作前に、マーケティング観点から分析を行い、SNSの位置づけや経営戦略と連携した戦略立案、KPIの設定まで行った上で、コンテンツの制作を開始します。ぜひお気軽にお問合せください。