プレスリリースがどれだけ価値があっても、メディアに見てもらえなければ意味がありません。
近年デジタル化が進み、環境への配慮からも、プレスリリースをFAXではなくメール配信を好むメディアも増えてきました。しかし、メディアも日々数百件のメールを受信しており、あなたのプレスリリースを目に止めてもらうことは格段に難しくなっています。
そのため、プレスリリースの書き方と同様に、プレスリリース配信時のメールの作り方や配信方法は、掲載の可能性を大きく変える非常に重要ポイントです。
この記事では、メールを通じてプレスリリースを掲載につなげるためのテクニックを解説します。テンプレートをもとに、メールの件名から宛名、本文の書き方に至るまで紹介します。
本記事は、シェイプウィンの広報サロン会員限定ページの一部を抜粋しています。
メール配信時のテクニックが掲載率に直結する理由
まず初めに、プレスリリースのメール配信がなぜ重要なのか、社会背景やデータをもとに解説します。
メールでプレスリリースを受け取りたい記者が大半
デジタル化の進展とともに、メールを通じたプレスリリースの受信を求めるメディアが増えています。
共同通信PRワイヤーの調査(※)によると、2002年に64%だったメールでのプレスリリース受信希望者が、2018年には95%に増加しています。
この数値からも、メールでプレスリリースを配信することは必須の対応だと考えられます。一方で、メディアが受信するメール数も格段に増えていると予測できることから、どのようにメールを配信するのか、他者と差をつけるためのテクニックを学ぶことの重要性も高まっています。(※)https://kyodonewsprwire.jp/corp/shioj/1032/
プレスリリースをメディアごとにカスタマイズする必要がある
プレスリリースの内容は一律に報道機関に向けて発表されるものですが、各メディアが持つ視点や関心事は異なります。
プレスリリースを送る際には、そのメディアが最も関心を持ちそうな角度からアプローチすることが効果的です。しかし、プレスリリースは一度しか配信できず異なるプレスリリースを配信することはできません。
そのため、プレスリリースの届け方一つであるメールの配信方法をメディアごとにカスタマイズし、メディアの興味やニーズに合わせた情報提供を行うことが、掲載確率を高めるための重要なポイントと言えるでしょう。マーケティングの観点から、メール配信のテクニックを学ぶ推薦図書3冊からも多くのテクニックを学べます。
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こんなメール配信していませんか?NG例4選
ついついやりがちなプレスリリースのメール配信時のNG例をまとめました。
常識だと思っていたものの、意外と記者にとっては嬉しくないメールだったということも多いです。プレスリリースをメールで配信する際には、受け手の記者や編集者がどれだけスムーズに情報を得られるかを意識しましょう。
プレスリリースをPDFで添付している
プレスリリースをそのままPDFで添付している広報担当者は非常に多いです。
しかしシェイプウィンで行った調査では、PDF添付の開封率は約3%と非常に低い数値でした。メールを開いた後にまたPDFを開くといった作業はメディアにとっても負担で、よっぽどのことがない限り開かれていないと考えた方がいいかもしれません。
メールの差出人が会社名のみ
プレスリリースを送る際、「〇〇株式会社 広報担当」といったように、会社名のみ記載していませんか?
メールでは顔が見えない分、記者にとっても直接プレスリリースを受け取るよりも情報に距離を感じるもの。また、「一斉送信をしているんだろうな」と感じられやすく、開封してもらえる確率が下がります。広報担当者の個人名まで明記することを心がけましょう。
NG例:
株式会社〇〇、広報部
↓
修正例:
株式会社〇〇、〇〇(個人名)
件名の冒頭が会社名
メールの件名は、プレスリリースのタイトルと同じように一番重要なポイントです。
限られた文字数の中で会社名を冒頭に置くことは、非常に勿体無い失敗です。実際にシェイプウィンで行った調査でも、件名の冒頭を会社名にした場合の開封率は10%でした。
具体的な情報やニュースの内容を先に述べ、関心を引くよう工夫することが開封率を高める鍵です。
不特定多数にばら撒いていると感じる本文
プレスリリースが一般的な宣伝メールのように感じられると、個々の記者やメディアも「宣伝か」と感じてしまい開封する可能性は格段に下がります。
企業の宣伝メルマガのように、不特定多数に向けた書き方にせず、個人に送っているメールだと感じてもらえる書き方を心がけてみてください。
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それではここから、プレスリリースのメールの作り方を6つのステップから紹介します。
①件名
②宛名
③リード文(ニュースのコア部分)
④本文(ニュースのキーポイント)
⑤補足資料
⑥追加オファー
⑦プレスリリース本文
①件名:思わず開きたくなるワードを使う
件名はプレスリリースの「顔」とも言えます。毎日数百件メールを受信しているメディアが、思わず「なんだろう」と思うような、気を引く件名を作りましょう。
例えば、冒頭に旬のワードが読み取れるキーワードや興味を引くフレーズを配置し、受け手が興味を持つよう工夫しましょう。自分自身にテストメールを送り、どの件名が目を引くか試すのが効果的です。」
しかし、貴社の誤解を招く言葉や誇張表現や、「即時解禁」など、報道規制の意図を感じさせるような文言は逆効果を招きますので、注意が必要です。
NG例:
・【〇〇会社/プレスリリース】新サービスを来月より販売開始
・【即時解禁】新商品発表会開催
・【News Release】当社最新の調査結果を発表
・即時解禁!プレスリリース送付
②宛名:カスタマイズされている表現を使う
宛名はできるだけ記者の名前を使用し、一括送信をしているという印象を与えることを避けましょう。個別の名前を知らない場合は、メディア媒体名と部署名を記載するだけでも効果的です。
NG例:
報道関係社各位
〇〇新聞社様
③リード文:記事のタイトルとなるキーワード
リード文は件名に次ぐ重要な要素で、読者が内容を読み進めるかどうかの決め手となります。
具体的なニュースの概要を端的に記述し、何が、どこで、いつ起こるのかを簡潔にリード文だけで明確に伝えましょう。
NG例:
2024年3月21日
〇〇株式会社
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇〇株式会社主催セミナーのご案内
最新の〇〇について初公開
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
株式会社〇〇(東京都渋谷区)は、……
④本文:ニュースのキーポイントを数字やデータで説明
本文では具体的な数字やデータを活用し、プレスリリースの鍵であるポイントを簡潔にまとめましょう。
実際に自身がメディアだった場合にどのように報道できるのかを想像しながら、ニュースバリューを意識し事実に基づき説明すると効果的です。また、このフローでは特にメディアの特性を意識し、それぞれのメディアに合わせた書き方にカスタマイズすることが重要です。
⑤補足資料:比較資料などプレスリリースに書けない内容
補足資料として、プレスリリース本文では網羅できなかったデータや、第三者の研究結果などを記載します。
例えば、関連業界の平均値や自社製品の比較表、製品テストの結果をグラフ化した資料を添付することで、事実に基づいた説得力のある情報となります。
プレスリリースは会社からのオフィシャルな発表資料なので、他社との比較などを記載することは難しいですが、メールであれば記載可能です。1社の情報ではニュースインパクトが足りずに掲載が難しい場合も、他者事例を添付し業界動向を伝える内容としてアプローチした場合、掲載される可能性があります。
⑥追加オファー:別の切り口からも掲載を提案する
記者が興味を持ってくれても、すでに同様の案件で取材が進んでいたり、タイミング的に掲載することが難しいといった場合も大いにあり得ます。
そのような時に、代案として別の切り口からの取り上げ方を提案する追加オファーをすることが有効的です。例えば新商品のリリースに関する内容であれば、その後の消費者の声や売上の効果を加えた事後取材の提案をしたり、類似する製品発表イベントに招待することで、時期をずらした掲載にも繋がります。
⑦プレスリリースの添付:PDFではなくテキストで全文を添付
最後に、プレスリリースの全文を添付します。冒頭の章でも説明した通り、PDF形式ではなくテキスト形式で添付しましょう。
テキスト形式で添付するメリットとして、メールのフィルタリングを避けやすいこと、またメールを受け取った記者がすぐにプレスリリースを読んだり、転送することができることが挙げられます。
プレスリリースをメールで送るときの注意点
プレスリリースの配信代行サービスを利用している場合は、システムが対応してくれていますが、自身でメール送信をする際にはいくつか注意すべき点があります。
一度配信してしまうと取り消すことができませんので、配信前に以下の項目に注意しましょう。
情報に間違いがないかを必ず確認する
基本的なことですが、誤った情報を公開することは企業の信用低下につながります。
プレスリリースの内容はもちろんのこと、メール本文の内容に誤りがないか必ず事前に確認しましょう。また内容によっては法務のチェックを経て、表現に問題がないかも慎重に検討することが重要です。
【チェックリスト例】
・開きたくなる工夫がメール件名に施されているか
・ファイルの添付漏れはないか(プレスリリースをPDFなどで送付する場合)
・本文に添付ファイル開封やURLのクリックを促す言葉があるか
・情報解禁日時が記載されているか
・連絡先が明記されているか
一斉送信する場合は「BCC」で送る
個別でのメール送信が推奨されますが、一斉送信をする際にはプライバシーの観点からBCCを使用しましょう。
またその際は、「一斉送信のためBCCを使用しています」といった説明をメールに含めることで、受信者に対して丁寧な印象を与えることができます。
過度な装飾は使わないようにする
過度な装飾やカラフルな文字、メールマガジンのような装飾線は不要です。
このようなメールは宣伝の印象を与えてしまいます。また、記者は事実をベースに論理的にニュース価値を判断するので、そのような過度な装飾や意味を持ちません。
【NG例】
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容量が重い画像はデータ化する
メールでプレスリリースを送信する際、添付する画像のファイルサイズは特に注意が必要です。
大きな画像ファイルは開封するのに時間がかかり、受信者がメールを開かずに削除してしまうこともあります。画像はウェブにアップロードしてリンクをメールに挿入する方法が良いでしょう。
送付するタイミングに気を付ける
メールの送信は、記者の目に留めてもらいやすい曜日や時間帯に送りましょう。
一般的に、週の初めや週末は避け、週の中盤の午前中が最も効果的です。この時間帯は、記者が新しいニュースを求めている可能性が高く、メールが埋もれにくいためです。さらに、地域の時間帯やターゲットメディアの締め切りも考慮することが重要です。
問い合わせ先は日中繋がる連絡先を記載する
メールの最後には、必ず日中繋がりやすい連絡先を記載しましょう。
また、一つの連絡先だけではなく担当者の名前と直通電話番号を含む二人体制で記載することで、迅速な対応が可能となります。
プレスリリースのメール送信と合わせてよくある質問
最後に、プレスリリースの配信と合わせてよくある質問を紹介します。
プレスリリースの宛名はどう書けばいいですか?
※個別名がわかっている場合、担当部署しかわからない場合の書き方を具体例とともに紹介する
プレスリリースの送信方法は?
プレスリリースを送信する方法は、FAX、メールが一般的で、記者クラブに行って手渡しをしたり、郵送で配信する方法もあります。
最近では、オンラインのプレスリリース配信サービスを利用して、効率的に多くのメディアに一斉に情報を送る方法も有効的でしょう。
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まとめ:メールの活用で掲載率は格段に上がる
プレスリリースは、ただ情報を発信するだけでなく、それをどのように、いつ、どこに配信するかが非常に重要です。
プレスリリースの作成には多くの時間と労力がかかるため、ついつい配信は一斉送信や配信システムサービスに頼ってしまいがちですが、そもそもメディアにプレスリリースを読んでもらえなければ、プレスリリースを作成した意味もなくなってしまいます。
プレスリリースの配信は、「メールマーケティング」とも言われています。今回はシェイプウィンの広報サロン会員限定ページの一部を紹介しましたが、PRTIMESや@Pressなどのワイヤーサービスをさらに効果的に使用するための配信ノウハウなど、より詳細も知りたい方はぜひお問合せください。