海外PRにお困りの方。自社にネイティブや海外PRの担当者がおらず、翻訳ツールを利用したりChat GPTなどのAIツールで英語版のプレスリリースを配信されている方をよく見受けますが、結論から伝えると、残念ながらそのリリースは意味がありません。
そもそも海外に情報を届ける以上、日本と海外のプレスリリースの書き方の違いや文化の違いを理解する必要があります。
この記事では、海外にPRしたいものの自社にネイティブや海外担当者がいない方向けに、英語プレスリリースの作成や配信方法、日本との違いも含めて紹介します。
※本記事はお役立ち資料「北米のプレスリリースの作成・配信方法まとめ」を一部抜粋しています。
北米のプレスリリース情報を知りたい方はぜひダウンロードしてお読みください。
英語プレスリリースの基本
英語版のプレスリリース作成は、国外を対象とした情報の発信に欠かせません。そして、英語版プレスリリースを作成する際のアプローチには、日本のそれと比べて特有の要素が含まれています。まずは基本的な情報から確認していきましょう。
英語版のプレスリリースは何と表現する?
英語版と日本語版のプレスリリースでは、「press release」や「release」という用語の使用に大きな違いはありません。日本と同様に、企業や組織が重要な情報を報道機関や公衆に公式に発表する際の標準的な表現です。
英語版のプレスリリースの基本構造
英語版プレスリリースの構造は、情報を結論から提示し、その後に理由や根拠を追加する形で進めます。この逆ピラミッド形式は、日本のプレスリリースにも見られますが、英語版では特に情報の優先順位と重要性を明確に示すことが求められます。
①The Lead:5W2Hの質問に基づいて情報を整理し、最初に最も重要なポイントを読者に伝える
・Who(誰が)
・When(いつ)
・Where(どこで)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのように)
・How much(いくらで)
②The Body:企業の広報担当者や経営者も入れながら、ニュースの背景にある理由を説明
③The Tail:会社概要や提供しているサービスなどを説明する
※記事の後半に、具体的なプレスリリースの書き方を紹介しています
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北米と日本のプレスリリースの違い
英語版プレスリリース作成の際の大きな違いは、言語だけでなく、文化的なニュアンスや表現の違いに対する理解が求められる点にあります。グローバルなメディアが求める情報の形式や内容、そして期待される情報は、日本国内向けのものとは異なる基準があります。
シェイプウィンでは特に北米向けのPRを強みとしていることから、今回は特に北米と日本のプレスリリースの捉え方の違いについて詳しく解説していきます。
メディアの期待値と反応の違い:1,2時間以内に返答が必須
日本のメディアは、プレスリリースの内容をそのまま記事にする傾向があり、1つの記事に自社の ニュースだけが載るというケースが多いと思います。また、個別の記事に関しては、取材を申し込み、時間をおいて記事にするケースがほとんどです。
一方で北米のメディアでは、プレスリリースは情報の一つとして捉えられ、その記者が取り組んでいる 記事の中に他社の情報と一緒に盛り込むことが多いです。
そのため、フォーマルな形で取材が舞い込むというよりは、メールで返信があり、詳細な質問をされます。1,2時間以内に返答しないと記事中で触れてもらう機会を失うことになります。
ローカルニュースの重要性:その情報が地域社会にどのような影響を与えるか
北米のメディア、特にアメリカとカナダにおいては、ローカルニュースへの注目度が高いです。国内の大手メディアでさえも、地域に根差した話題やニュースに大きな関心を寄せています。
このため、北米市場向けのプレスリリースを作成する際には、その情報が地域社会にどのような影響を与えるか、また地域の人々にとってどのような意味を持つのかを強調することが重要です。ローカルな視点を持った上でアプローチすることは、メディア掲載の可能性を高めるだけでなく、地域社会との関係構築にも寄与します。
言語とトーンの違い:優位性や違いをはっきり示すための形容詞を多く使用
日本と北米のプレスリリースは、言語とトーンの面で大きな違いがあります。日本のプレスリリースは、 般的に事実のみを客観的に記載し、またできるだけ数字を使うなど詳細に書くことが求められ、誇張するような表現はタブーとされています。
一方で、北米向けの英語のプレスリリースでは、多様な文化やバックグラウンドを持ったジャーナリストに対して送付するため、優位性や違いをはっきり示すための形容詞を多く使用します。
フォーマットと構成の違い:情報がたくさん載っているプレスリリースの方が反応率が低い
日本と北米のプレスリリースのフォーマットと構成も異なります。日本のプレスリリースは、伝統的に背景情報や企業の詳細を提供する傾向があり、長い文章で情報を提供することが一般的です。
これは、ニュース担当者がプレスリリースを元に切り貼りしてニュース記事を作成できるように配慮されているからです。
一方で北米のプレスリリースは真逆で、シンプルで直接的なフォーマットを採用し、重要な情報を簡潔に伝えることを重視します。
また、詳細な情報はあえて記載せず、取材や記者からの取材を誘引するように作成されます。情報がたくさん載っているプレスリリースの方が反応率が低いことが分かっています。これは、ジャーナリストができるだけ独自の目線で記事を執筆したいという思いがあるからです。
英語のプレスリリースの構造
それではここまでの英語プレスリリースの情報を踏まえた上で、具体的なプレスリリースの書き方を解説していきます。
まず初めに、英語版のプレスリリースは主に以下の7つの項目から構成されています。
①タイトル(ヘッドライン、サブヘッド)
②デートライン
③リード(オープニング)
④ボディ
⑤ボイラープレート
⑥ソース
⑦コンタクト
タイトル(ヘッドライン、サブヘッド):見出し
タイトル、ヘッドライン、サブヘッドと表現される部分は見出しのことです。英語のプレスリリースのタイトルは、冠詞やbe動詞の省略を省略します。
具体的には、”Announces”や”Launches”のような行動を示す動詞を使用し、事象の現在性を強調します。限られた文字数の中でメッセージをダイレクトに伝え、印象を残すためです。
デートライン:配信日
デートラインとは配信日のことで、プレスリリースが配信された具体的な日付を示します。英語圏では、特にニュースの時宜を得ることが重視されるため、この部分では正確さが求めれらます。
配信日を記載するのは、広報担当者にとっては当たり前のことではありますが、作成日から更新されていなかったり、英語表記に従った表現に直されていなかったなどのミスも多い部分です。
リード(オープニング):リード文
日本と同様に次にリード(オープニング)文が入ります。記者がプレスリリースのタイトルや見出しを見ただけで、概要がある程度把握できるように簡潔に情報をまとめましょう。読者がプレスリリースの重要なポイントを迅速に把握できるようにすることが重要です。
ボディ:本文
ボディは本文にあたる部分です。リードで提示された情報に背景と詳細を加え、読者の関心を維持しながら深い理解に繋げることが求められます。
ボイラープレート:会社概要
ボイラープレートは、会社概要に相当します。日本のプレスリリースと同様に、必要な会社の情報をまとめて記載しましょう。
ソース:配信元
ソースとは、配信元企業・団体名のことを指します。ここでは、~Co., Ltd.、〜Inc.や〜Corp.というように、法人名を略さず正式名称を英語で記載すると良いでしょう。
コンタクト:お問合せ
コントタクトは日本同様、問い合わせ先に当たります。読者やメディアが追加情報を求めるための連絡先を明確に記載します。
英語のプレスリリース作成で使える無料ツール3選
次に、英語のプレスリリース作成で使える無料ツール3選を紹介します。
①チャットGPT
チャットGPTは、テキストベースの対話を生成するAIを活用したツールで、初稿の作成やアイデア出しに役立ちます。自然言語処理技術を用いて、質問に対する答えを生成したり、簡単な文章を作成することができます。
②Google翻訳
Google翻訳は、多言語に対応した翻訳ツールで、テキストの大まかな翻訳に便利です。直接的な翻訳ニーズに対応することができるものの、専門的な表現や微妙なニュアンスの違いは捉えきれない場合があります。
③Grammarly
Grammarlyは、英語の文法やスペル、句読点の誤りを検出し改善提案を行うツールです。プレスリリースの文書をより自然で正確な英語に仕上げるのに役立ちますが、内容の質自体を向上させるためには限界があります。
無料ツールを使用する際の注意点
これらのツールは、英語のプレスリリース作成の補助としては有効ですが、どうしても表現が不自然だったり、海外のメディアや記者が求める情報提供のスタイルや体裁と異なることがあります。
シェイプウィンでは、北米の英語ネイティブスタッフ、市場と文化を熟知した日本人スタッフによる北米向けPRを支援していますので、お気軽にご相談ください。
英語のプレスリリースの配信方法3選
次に、プレスリリース作成後の配信方法について紹介します。それぞれの方法を適切に活用することで、より広い範囲のメディアに情報を届け、企業や製品の国際的な認知度を高めることに繋がります。
①海外のワイヤーサービスを活用
海外のワイヤーサービスを活用することで、プレスリリースを国際的なニュースネットワークに配信し、世界中のメディアに情報を提供することが可能です。これにより、特定の国や地域だけでなく、グローバルな視野を持ったメディア戦略を展開できます。
②日本国内にいる海外メディアの特派員にアプローチする
日本国内にいる海外メディアの特派員に直接アプローチする方法もあります。これは、海外のメディアに特化した情報を提供し、特定の国や地域のニュースとして取り上げてもらうための手法です。特派員との良好な関係構築が、プレスリリースの掲載につながることが多いです。
③海外PRに強い専門会社に依頼する
海外PRに特化した専門会社にプレスリリースの配信を依頼する方法も効果的です。専門会社は、各国のメディア環境や文化的背景を踏まえた上で、最適な配信戦略を提案することが可能です。
また、すでに現地メディアとの繋がりを持っていることが多いため、すぐに結果を出したい場合などには有効な手段と言えるでしょう。
海外に英語版プレスリリースを配信する時の注意点
最後に、海外に英語版プレスリリースを配信する際にやりがちなミスを紹介します。プレスリリースを配信できるのは一度きり。貴重なニュースを無駄にしないように各項目を確認してから配信してください。
①配信国の国情を理解する
海外にプレスリリースを配信する際、まず一番初めに配信国の国情を深く理解することが必要です。
国や地域によって異なる文化、宗教、慣習はもちろん、薬機法や広告法などの法令も異なります。また、その時によって国の情勢や日本との関係性もどうなっているか分かりません。事前に配信国の文化や法律、情勢を踏まえた上で、配信内容を慎重に検討し適切な表現を選ぶことが重要です。
②時差や祝日をチェックしてから配信予約する
海外メディアへの配信を計画する際は、時差や祝日を必ず確認しましょう。特に、祝日に配信してしまうと、メディアの担当者が出社していない可能性があり、配信の効果が薄れることがあります。
適切な配信タイミングを見極め、ターゲット国のビジネスカレンダーに合わせたスケジューリングが求められます。
③海外プレスリリースに重要な4つの基本原則を意識する
特に米国の取材では、情報の扱い方には、以下の4つの基本原則があります。
・On the Record:公開情報として報道される。情報ソースが個人の発言の場合、その所属組織・肩書・氏名が特定できる
・On Background:情報源は匿名で、情報の内容のみ報道される。例えば「政府関係者によると…」のような表現を使用する。
・On Deep Background:情報源の具体的な特定や直接的な発言を記事にはしないが、提供された情報をもとにした背景説明などは記事内で触れることができる
・Off the Record :情報が非公開であり報道されることはない。日本では、「オフレコ」と表現されることが多い。
これらを適切に利用し、配信する情報の扱いを明確にすることが求められます。
まとめ
ここまで解説してきた通り、英語プレスリリースを配信するには、日本との文化やルールの違い、国情を理解した上で作成する必要があります。
海外への配信を目指しているほどの大きなPR案件であれば、しっかりと戦略を練って効果を狙いたいもの。今回の記事は、以下の「北米のプレスリリースの作成・配信方法まとめ」から一部抜粋をして作成しました。より詳細を知りたい方は、ぜひ無料ダウンロードをご活用ください。