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レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

レピュテーションマネジメント

日々、メディアを通じて様々な見解や評判、口コミが飛び交っています。企業においても、一つの小さなネガティブな情報が瞬く間に広がり、これまで何年もかけて築き上げた企業への信頼を一瞬で崩壊させる可能性があります。

そしてそのような情報が溢れる現代社会において、評判や企業イメージは一晩にして築かれるものではありません。日頃から、戦略的に企業の評判管理やマネジメントを行う「レピュテーションマネジメント」のスキルが必須となっています。

この記事では、PR専門会社の目線から、企業イメージや評判を適切に管理・マネジメントを実施するための手法を解説します。

記事の最後には、実際にレピュテーションマネジメントが上手くいかずに失敗した事例も紹介していますので、この記事を通じてレピュテーションマネジメントへの理解を深め、自社のPR活動に活かしていきましょう。

レピュテーションマネジメントとは

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

レピュテーションマネジメントは、企業や個人の評判(reputation)を積極的に管理(management)し、ポジティブなイメージを構築・維持するための活動です。

この取り組みは、世評を適切に形成し良い企業イメージを維持することを目指します。また、レピュテーションマネジメントの役割として、不祥事やネガティブな情報が流れた際のダメージコントロールも含まれており、危機管理の一環としても非常に重要です。

それでは初めに、レピュテーションマネジメントの基本について学びましょう。

ブランドとレピュテーションの違い

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

ブランドとレピュテーションは、しばしば混同されがちですが、それぞれ異なる概念を指します。以下にその主な違いを説明します。

ブランド

<概要>
ブランドは、企業や製品が持つ一連のイメージやアイデンティティです。これにはロゴ、デザイン、使用される色、マーケティングのメッセージなど、企業が意図的に構築し管理する要素が含まれます。

<目的>
ブランドの目的は、製品やサービスに独自の個性を持たせ、消費者の心に印象を残し、識別しやすくすることです。これにより、市場での競争力を高め、顧客の忠誠心を築きます。

<コントロール>
企業は自社のブランドに対するコントロールを比較的強く持ち、ブランド戦略を通じて積極的に形成し、調整することができます。

関連記事:【書評】『ストーリーで伝えるブランド〜シグネチャーストーリーが人々を惹きつける』

レピュテーション

<定義>
レピュテーション(評判)は、社会が企業や製品に対して持つ認識や信頼の度合いです。これには顧客の経験、メディアの報道、口コミなど、外部からの影響が大きく反映されます。

<目的>
レピュテーションの目的は、企業や製品の信頼性と尊敬を獲得し、長期的な関係を顧客やステークホルダーと築くことです。良好な評判は、顧客のロイヤルティや新しい顧客の獲得に直結します。

<コントロール>
企業は自社の評判に対して直接的なコントロールを持つわけではなく、顧客の経験や公衆の認識に基づいて形成されます。ただし、レピュテーションマネジメント戦略を通じて、間接的に影響を与えることは可能です。

まとめると、ブランドは企業が積極的に構築し管理する自己表現の一形態であり、レピュテーションは外部の認識や評価によって形成される企業の評価です。ブランドは企業がコントロールできる範囲内にありますが、レピュテーションは外部の意見や経験に大きく依存し、企業の行動やパフォーマンスによって間接的にしか影響を与えられません。

しかし、レピュテーションマネジメントを通じて、間接的な影響を与えていくことが可能なため、戦略的な対策とマネジメントの実施が重要と言えるでしょう。

関連記事:【書評】「評判」はマネジメントせよ:企業の浮沈を左右するレピュテーション戦略

関連するステークホルダー

レピュテーションマネジメントにおいて、ステークホルダーは多岐にわたります。

そして、重要なのは、それぞれのステークホルダーが企業の評判に与える影響と関わり方について理解することです。以下は、主なステークホルダーとそれぞれが持つ影響です。

・株主
投資の決定に直接影響を受けるため、企業の評判管理は株価に大きな影響を与える

・お客様
製品やサービスの品質、企業の倫理観に対する評価が顧客満足度に直結しする

・クライアント
クライアントとの信頼関係は、事業パートナーシップの継続に不可欠

・社員
社内の士気と外部へのブランドアンバサダーとしての役割が、企業の評判形成に寄与する

・地域住民
地域社会との良好な関係は、企業が社会的責任を果たしているとの認識を高める

・著名人やインフルエンサー
署名人やインフルエンサーが企業や製品に言及することで、大きな影響力を発揮することがある

そして重要なのは、これらのステークホルダーそれぞれに対して、異なるアプローチで関係を築くということです。レピュテーションマネジメント戦略を構築する際には、これらのグループが企業の評判に与える影響を十分に理解し、それぞれに合わせたコミュニケーションを行っていきましょう。

レピュテーションマネジメントが重要な理由と背景

重要な理由

現代社会は情報に溢れており、企業の活動やメッセージを発信しても直接的に伝わるとは限りません。また、人々は入手した情報の断片から企業のイメージを構築するため、企業側の意図しない情報が拡散し誤解を生む可能性も大いにあると言えるでしょう。ここで重要なのは、評判は最終的に受け手によって決定されるということです。

ここからは、レピュテーションマネジメントが重要な理由を、社会的背景も交えながら詳しく解説していきます。

インターネット・ソーシャルメディアの普及

インターネットとモバイルデバイスの普及、そしてソーシャルメディアの利用が急速に広がることで、情報の量は爆発的に増加しました。この社会現象は、情報の速さと伝達範囲を飛躍的に拡大させましたが、同時に誤報や意図していない情報の拡散も増加させています。

特にソーシャルメディアは、個々のユーザーが情報の発信者となり得るため、不祥事や誤解を招く情報が瞬く間に炎上し、企業の評判に計り知れないダメージを与えることがあります。このような背景の下、レピュテーションマネジメントは単に望ましいイメージを維持するだけでなく、危機発生時に迅速かつ効果的に対応するための重要な戦略となっています。

消費者の意思決定にブランドの評判が大きく影響

消費者の購買決定において、ブランドの評判はこれまで以上に大きな役割を果たしています。

インターネットの普及により、情報が瞬時に共有されるようになったことに伴い、口コミの力が増しています。消費者は、新しい製品やサービスを試す前に他の人々のレビューや評価を積極的に検索し意思決定を行うようになりました。

そのため、一人の消費者の悪い体験がソーシャルメディアやレビューサイト上で共有されると、その情報は迅速に広がり、ブランドの評判に大きな打撃を与える可能性があります。逆に、ポジティブな評判は、新たな顧客を引き寄せ、ブランドの信頼性を高めてくれると言えるでしょう。

そのため、企業は消費者の声に耳を傾け、積極的に良好な評判を構築し維持するためのレピュテーションマネジメント戦略が重要です。

レピュテーションマネジメントに取り組む3つのメリット

3つのメリット

ここまでで、レピュテーションマネジメントの重要性について見てきました。そしてここからは、レピュテーションマネジメントに取り組むことで、企業が得られるメリットについて解説していきます。

①ステークホルダーや消費者の潜在的ニーズを把握できる

一つ目のメリットは、消費者やステークホルダーの声を直接聞くことができることです。

具体的には、ソーシャルメディアやオンラインフォーラムでの口コミ、レビューを分析することで、製品やサービスに対する実際の感想やニーズを把握し、それを販売促進の戦略に活かすことが可能になります。このような情報は、新しい製品開発や既存製品の改善にも役立ちます。

②レピュテーションを維持し、ブランド向上に繋がる

二つ目のメリットは、ブランドのポジティブなイメージを維持し、さらに向上させることができることです。

適切に世間やステークホルダーとコミュニケーションを取ることで、信頼関係を築きファンを増やすことができます。また良好な企業イメージは、優秀な人材を引き寄せる要因にもなり、組織全体の成長と発展にも良い影響を与えます。

③危機管理時の回復力が高まる

三つ目のメリットは、危機管理においても重要な役割を果たすことです。

レピュテーションマネジメントに取り組んでおくことで、幅広いステークホルダーから信頼できる情報発信源を持つことができ、トラブル発生時や緊急時に迅速かつ効果的に対応できるようになります。様々な危機に対して、計画的かつ一貫したレピュテーションマネジメントを実施することで、潜在的な損害を最小限に抑え早期の問題解決とブランドの回復を目指すことができます。

レピュテーションマネジメントを導入するための具体的な手法

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

レピュテーションマネジメントは、多様な側面からアプローチをすることが必要です。

以下の手法は、企業がレピュテーションマネジメントの基盤を構築し、ブランドイメージを向上させるために役立ちます。これらの手法を通じて、企業はレピュテーションマネジメントの基盤を固めていきましょう。

社内研修を通じて、レピュテーションマネジメントに関する社内理解を深める

従業員の行動や態度は、企業の評判に大きく影響するため事前の社内研修は非常に重要です。

例えば、カスタマーサービスの向上、社内コミュニケーションの強化、そして社会的責任の意識を高めることが含まれます。研修を通じて、従業員はレピュテーションマネジメントの重要性を理解し、企業理念やビジョンに沿った行動をとることができるようになります。

また、研修を通じて従業員の満足度を高めることで、ポジティブな社内文化を築き、社内全体にも良い影響を与えることができます。

緊急事態が起きた際の危機管理体制を整える

先ほどの章でも説明したように、予め危機管理体制を整えておくことは、緊急事態に迅速かつ適切に対応する能力を企業に与えます。事前に計画を立て、役割と責任を明確に定義することで、企業は予期せぬ事態にも柔軟に対応できるようになります。
具体的な企業の不祥事やトラブルの例として、以下が挙げられます。

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

①サービス・商品に関するクレーム
不具合や性能不足、消費者の期待を満たさない製品やサービスによって引き起こされます。

②経営に関わる不祥事
企業の経営層による不正行為、法令違反、倫理的な問題などが露見した場合です。

③内部告発
従業員が企業内部の問題や不正を公にすることで、企業の信頼性に疑問が投げかけられる状況です。

これらの不祥事やトラブルに対して、具体的にどのような危機管理体制を整えれば良いのかは、以下の記事をご覧ください。

関連記事:失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

特設の対話チャネルの開設

SNSやオンラインフォーラムを活用した対話チャネルの開設は、消費者との直接的なコミュニケーションを促進します。これにより、企業は顧客の声をリアルタイムで聞き、肯定的な関係を構築することができます。

例えば、多くのファッション業界はSNSやオンラインフォームを活用して顧客からのフィードバックを直接受け取り、商品の改善や新たなグッズの企画立案に役立てています。このアプローチにより、企業はトレンドに敏感な消費者の期待に応えると共に、消費者のブランド忠誠心も高めています。

網羅的に広報活動に取り組む

レピュテーションマネジメントの成功の鍵は、網羅的な広報活動にあります。

企業が、メディアリレーションズ、SNS、デジタルマーケティングなどの様々な広報活動を網羅的に取り組み、常に一貫した企業メッセージを発信することで、ポジティブな評価やブランドイメージを構築することができます。逆にそれぞれが異なるメッセージを発信し一貫性がなければ、マイナスの印象を与えかねません。

網羅的な広報活動は、レピュテーションマネジメントの基盤を強化し、企業価値の向上に貢献します。

専門的なスキルを持つPR会社への依頼

企業にとってレピュテーションマネジメントは必須と言えますが、広報活動は多岐にわたります。そのため、豊富な知識と経験を持っているPR会社への依頼も有効的と言えます。

また、レピュテーションマネジメントは一度きりの取り組みではなく、企業の成長に合わせ継続的に取り組むことが重要です。企業が広報活動とレピュテーションマネジメントを戦略的に行うことで、長期的にわたり企業のブランドを守っていきます。

シェイプウィンでは、PR活動はもちろんのこと、SNSやデジタルマーケティングなど、総合的なPRマーケティングを一気通貫で支援しています。通常有償のコンサルティングを初回に限り1時間無料で実施いたしますので、ぜひお気軽にお問合せください。

お問合せ:https://www.shapewin.co.jp/inquiry 
関連記事:PR会社とは?広告代理店との違いからPR会社の選び方まで解説

レピュテーションマネジメントのポイント

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

ここまでレピュテーションマネジメントの概要や具体的な手法まで見てきましたが、その成功に欠かせない主要なポイントについて詳しく見ていきます。

幅広くモニタリングし効果測定を行う

企業の評判を適切に管理するためには、継続的なモニタリングと効果測定が不可欠です。

これには、メディアの報道調査、ソーシャルメディア上での自社や製品名に関する言及の追跡、さらには従業員や取引先からのフィードバックを収集するアンケート調査などが含まれます。これらの情報を定期的に収集し分析することで、人々のレピュテーションが潜在的なものから顕在的になるまでの過程を追うことができ、必要に応じて戦略を調整することができます。

そして効果測定として、ソーシャルリスニングツールの使用や顧客満足度調査など、定量的および定性的なデータ分析を活用すると良いでしょう。

関連記事:広報PRの『KPI』ってみんなどうしてる?

攻めと守りの姿勢を使い分ける

そして最後に、レピュテーションマネジメントを効果的に行ううえで、「攻め」と「守り」双方の姿勢を保ち、状況に応じて使い分けることが大切です。

・攻めの姿勢
新しいマーケティングキャンペーンの立ち上げや、ソーシャルメディアを利用して積極的にステークホルダーと直接的に対話するなど、能動的な姿勢からブランドのポジティブなイメージを積極的に形成する

・守りの姿勢
危機管理計画の策定や、ネガティブな報道やソーシャルメディア上での不利益な言及に迅速に対応し、問題が発生した際には公式声明を発表するなど、事前に準備された対応プロセスに従うことが含まれる。また、従業員にソーシャルメディアの使用ガイドラインを提供し、不適切な投稿を防ぐことも重要

ポイントは、どちらか一方に寄らず、攻めと守りの戦略を適切に使い分けることです。これらのポイントを通じて、企業の評判を積極的に形成し維持していきましょう。

失敗事例

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

レピュテーションマネジメントの失敗事例は、企業にとって重要な教訓となります。

以下に挙げる事例は、適切な対策がとられていれば避けられたかもしれない事例です。これらの事例から学び、リスクを最小限に抑えるための戦略を練りましょう。

公式アカウントや社内の著名人の不適切な発言

企業の公式アカウントや社内の著名人が不適切な発言をすることで、企業の評判が瞬く間に損なわれる事例は数多く存在します。

例えば、ある航空会社のCEOが顧客のクレームに対して不適切なコメントをし、その結果、顧客からの大規模な反発を招いたケースがあります。

このような発言は、ソーシャルメディア上で迅速に拡散し、企業のブランドイメージに深刻なダメージを与えると言えるでしょう。

偽アカウントの被害

有名ブランドや著名人の偽アカウントによる被害も見られます。これらの偽アカウントは、企業や個人の評判を著しく損ねる虚偽情報を拡散することがあります。

過去に、ある大手企業が偽の公式アカウントによって株価に関する誤情報が拡散され、一時的に株価が下落したケースがあります。偽アカウントによる被害を防ぐためには、定期的なモニタリングと迅速な対応が必要です。

デマ、風評被害

インターネット上でのデマや誤った情報による風評被害は、企業にとって大きなリスクとなります。

例えば、食品安全に関する根拠のない噂が拡散し、ある食品メーカーの製品売上が大幅に減少した事例があります。このようなデマに対処するためには、事実に基づいた情報を迅速に提供し、積極的にコミュニケーションをとることが重要です。

自社や社員のコンプライアンス違反

企業や社員のコンプライアンス違反も、企業の評判に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

例えば、大手飲食店においてアルバイトとして雇われていた重要院が、倫理に反する行動をとり問題が発覚したケースも多々存在します。これらのコンプライアンス違反を防ぐためには、従業員教育の強化や内部監査システムの確立が必要です。

これらの失敗事例を通じて、改めてレピュテーションマネジメントの重要性を学ぶことができます。これらの事例から学び、適切な予防策と対応策を講じることが不可欠です。

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まとめ:レピュテーションリスク対策は不可欠

レピュテーションマネジメントとは?企業の評判を守り抜く戦略を解説

この記事では、レピュテーションマネジメントの重要性と、具体的な手法について解説しました。現代社会では、インターネットとソーシャルメディアの普及により、企業の評判はかつてない速度で形成され、そして変化していきます。一つのネガティブな情報が企業の長年にわたる信頼を一瞬で損なう可能性があるため、レピュテーションリスク対策は不可欠と言えるでしょう。

そして、レピュテーションマネジメントには、多岐にわたるステークホルダーとのリレーションが求められ、基本のメディア対応のみならず、SNSを通じた情報発信や情報収集、ウェブサイトを活用したデジタルマーケティングも求められるということがわかりました。

しかし、限られた時間や人件費の中でこれらを網羅的に取り組むことは非常に難しいことも考えられます。そのような方々には、PRの専門会社に依頼をし、総合的なマーケティング戦略と組み合わせて広報活動をしていくことも有効的です。

シェイプウィンでは、PR・SNS・SEOを駆使する戦略的PR会社として幅広く企業のPRをサポートしていますので、PR活動においてお悩みの方はぜひお気軽にお問合せください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。