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失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

予期せぬ会社の危機にどう対応するか。危機管理が発生した際の広報対応は、その後の企業の命運を大きく分けます。もし急遽、企業が謝罪会見をすることになった場合、あなたは広報担当としてどのような対応をすべきか瞬時に判断することができますか?

また、近年ソーシャルメディアの普及により情報の拡散スピードは以前にも増して加速しており、企業の評判は危機管理の対応次第で一瞬にして左右すると言っても過言ではありません。それゆえ、危機管理広報は単なるPR活動の枠を超え、企業の信頼とブランドイメージを守るための重要な役割を担っているとも言えるでしょう。

この記事では、危機管理広報の重要性や役割そして謝罪会見の対応方法など、実践的な危機管理対応を一から解説します。危機時に迅速かつ適切に行動するための準備、そしてトラブル発生後の対処法を学び、企業を守るための危機管理広報スキルを身に付けましょう。

危機管理広報とは

失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

危機管理広報は、単に情報を発信する広報活動だけでなく、何らかの不祥事が発覚し会社に責任が求められる状況など、会社が危機的な状況に陥った際の対応を指します。危機管理広報は、企業が直面する危機をいかに効果的に管理し、対応するかについての重要なプロセスで、企業が社会との信頼関係を維持する上で不可欠です。

この章では、危機管理広報の基本概念について解説し、危機管理対応がなぜ企業にとって重要なのかについて解説していきます。

BCP、リスクマネジメントとの違い

危機管理広報は、リスクマネジメントやBCP(事業継続計画)とは異なる役割を果たします。

リスクマネジメントは潜在的なリスクを識別し予防することに重点を置き、BCPは災害や緊急事態が発生した際に事業の継続性を保つ計画を立案します。これに対して危機管理広報は、既に発生した問題に対する企業のコミュニケーション戦略に注力します。危機管理広報には、状況の迅速な評価、正確かつ透明性のあるメッセージの策定、ステークホルダーとの緊急時のコミュニケーションが含まれます。

つまり危機管理広報では、リスクマネジメントやBCPによって予め設定されたガイドラインに基づきながら、現実の状況に応じて柔軟に対応することも求められます。

危機管理広報が重要な理由

今日のデジタル時代において、危機管理広報はこれまで以上に重要な役割を担っています。ソーシャルメディアとインターネットの普及により、情報は瞬く間に拡散し小さな企業のミスや誤解が瞬時に大きな問題へと発展するリスクが高まっています。

危機管理広報は、企業が危機的な状況下において、誤解や不確実性を最小限に抑えるために迅速かつ適切な対応をとる能力が求められます。正確で透明性のある情報をタイムリーに提供することで、企業は社会からの信頼を維持し、企業ブランディングへの影響を最小限に防ぐことができます。

また、発生した問題の種類や規模に応じた柔軟な対応能力も専門的な知識や経験が求められるため、危機管理広報は非常に重要で専門的なスキルや知識が必要と言われます。

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危機管理広報の3つの役割

失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

危機管理広報の取り組みは多岐にわたりますが、まず初めに具体的にどのような役割を担っているのかについて理解しておく必要があります。

この章では、危機管理広報が持つ3つの役割について解説していきます。

危機を未然に防ぐ

危機管理広報の第一の役割として、予めトラブルや不祥事などの危機を防ぐことが挙げられます。

危機を未然に防ぐために、危機管理広報は潜在的な問題の早期発見やその対策立案に注力することが重要です。そのために、市場や業界の動向分析、ステークホルダーのモニタリング、社内連携の強化が含まれており、これらの活動は潜在的な問題を早期に特定し、適切な対応を計画します。このように未然にトラブルを防ぐことは、企業のブランドを守ることに大きく繋がります。

風評被害を防ぎ、被害を最小限に抑える

そして危機管理広報の最終的な役割として、風評被害の防止と被害の最小化が挙げられます。

危機後の対応は、企業がステークホルダーとの信頼を取り戻すための重要な機会であり、経済的損失を防ぐだけでなく、長期的な評判とブランド価値を保護する上で極めて重要な要素です。そのため、この役割は最終的に企業の将来に大きく影響を与えると言えるでしょう。

トラブル発生後に広報担当者が迅速に危機管理対応に取り組むことで、関係者の不安や誤解を解消しながらメディアや社会と適切なコミュニケーションをとり、企業の風評被害を防ぎます。

具体的な危機管理広報の5つのプロセス

失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

ここまでで、危機管理広報の基本的な概念や重要性、そして役割について学んできました。

では具体的に危機管理発生時にどのような取り組みが求められるのか?次に危機管理広報の具体的な業務内容を5つのプロセスにまとめて解説します。

①内容把握

危機管理広報における最初のステップは、正確な情報をいち早く把握し戦略を立てること。例えば、製品に不具合が発見された場合、その原因や影響範囲、対処状況などの詳細をできる限り収集します。そして、この段階では多くの情報を収集しながらも、正確性を確保するために同時に複数の情報源から情報を検証していく必要があります。

誤情報や憶測に基づく情報の拡散を避けるために、広報担当者は事実確認を徹底し、確実な情報を選別・整理することで、この後の対応方法について戦略を立てていきます。

②関係者・社内への周知と対応の確認

ある程度の情報が整理された後、社内の関係部署や経営層に対して状況を明確に伝え、情報の流れを管理していきます。ある程度の情報整理は重要ですが、トラブルや不祥事が意図せぬ形で外部に伝わらないよう、早い段階で社内への情報共有が求められます。

また、関係者や経営層だけではなく、社内全体への状況周知と対応方法のレクチャーも重要です。危機発生後、メディアにとってはスクープとしていち早く情報を入手したい状況ですので、メディアなどから広報部門に問い合わせが来るとは限りません。

逆に情報漏洩に繋がらないよう全ての情報を伝える必要はありませんが、メディアなどから問い合わせが来た際に誤った情報が伝わらないよう、社内全体に適切な対応方法の訓練をした上で、予め問い合わせ先を一本化し、正しい情報を適切に伝えることのできる体制を整えます。

③情報開示

危機時における情報開示は、透明性と迅速性が鍵となります。そのため広報担当者は、謝罪会見などの準備に時間を取られる前に、まず初動の対応としてホームページなどを通じ、関連情報を迅速に公表することが求められます。情報の不足や遅延は不信感や混乱を招く可能性があるため、事態の全容と対応策を明確に伝え、社会やステークホルダーからの信頼を維持することが重要です。

トラブルや不祥事があったという事実、そして謝罪を発信し企業の姿勢を示します。迅速で誠実な対応は、風評被害を最小限に抑えその後の企業イメージに大きく影響します。

④記者発表・謝罪会見

危機管理広報の肝と言っても過言ではないのが、記者発表・謝罪会見。広報担当者として、企業の信頼性と誠実さを伝えるためにこれらの会見で何を伝えるべきか、そしてどのように伝えるべきかについて徹底的に準備する必要があります。

これまでのフローでまとめたトラブルの原因や影響範囲を踏まえて、今後の対応策そして予防措置などを詳細まで決定します。また、可能な限り予測される質問に対する答えを準備し、メディアや公衆からの疑問や懸念に対して、明確で矛盾のない回答を提供することが重要です。

また、会見の際の発表者の選定をする必要があります。社会からの信頼を取り戻すためには、適切な立場の人物が誠実な態度で対応する必要があります。そのため、経営者や責任者が直接登壇し、企業の姿勢を伝えることが望ましいでしょう。

そして何より、記者発表や謝罪会見では誠実さと透明性を示すことが極めて重要です。企業としての責任を認め、誠意を持って対応する姿勢を示すことを意味します。そのため広報担当者は、事前に用意したFAQに基づき、一貫性のあるメッセージを伝えると同時に、必要に応じて謝罪の言葉を適切に表現することが求められます。

⑤ステークホルダーへの説明と謝罪

そして最後に、ステークホルダーへの個別の説明と謝罪も重要です。一般的な記者会見では、企業全体としての立場からの情報提供と謝罪が行われますが、それだけでは各ステークホルダーの特定の疑問や懸念には応えられません。したがって、個々のステークホルダーに合わせた説明と謝罪が不可欠となります。

ステークホルダーへの個別の説明と謝罪は、単なる形式的な対応ではなく、企業が危機状況においても責任を全うし継続的な関係を築くための重要な取り組みとなります。企業がこのステップを丁寧に実施することで、長期的な信頼とブランドの再建に大きく寄与することができます。

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ここだけは押さえたい、危機管理広報の3つのポイント

失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

前章では、謝罪会見の開催など具体的な取り組みについて紹介してきましたが、これらの危機管理広報を全て網羅することは簡単ではありません。しかし、一つ一つのポイントを押さえておくことで、いざという時にスムーズな対応を取ることにも繋がるでしょう。

ここでは、これまでの危機管理広報を実践する上で重要になるポイントについて紹介します。

①予めできる準備をしておく:マニュアル、危機管理対応の訓練

トラブル発生時、事前準備がどれだけできていたのかによって、その後の対応をどれだけスムーズに進められるかが変わります。そこで重要になるのが危機管理広報のマニュアル作成です。主に緊急事態が発生していない「平時」と、緊急事態発生後の「緊急時」2パターンのマニュアルを準備しておくと良いでしょう。

マニュアル① 平時の対応
日頃からの広報活動の基盤を強化し、危機発生時の迅速な情報共有と決定プロセスを促進するために、日常業務における広報活動のガイドライン。具体的には、社内外のコミュニケーション手順、メディア対応の基本方針、社内報告システムの設定方法などを始め、さまざまなシナリオに基づいて受電マニュアルなどの作成も効果的。

マニュアル② 緊急時の対応
危機状況下での混乱を最小限に抑え、効果的かつ統一された対応を実現するために、危機発生時の具体的な行動指針をまとめたもの。具体的には、危機の定義、初期対応の手順、情報収集と分析の方法、内部および外部コミュニケーションの指針などについて記載し、危機発生時に混乱を避け、統制された対応が取れるようにする。

そして、これらのマニュアルを準備するだけではなく、実際にマニュアルに従って適切な対応が取れるかが重要です。オンライン研修なども実施しながら、社内全体で危機管理時の対応について訓練すると良いでしょう。

②迅速な対応と正しいリスクの把握:企業姿勢示す

危機が発生した場合、最も重要なのは迅速かつ正確な情報の収集と情報開示です。特にSNSのような迅速な情報伝達手段がある今日、誤った情報が拡散するリスクを最小限に抑えるためには、事実に基づくクリアなコミュニケーションが不可欠と言えます。

誤情報や憶測に基づく風評の拡散を未然に防ぐためには、迅速かつ透明性のある情報公開を企業から行うことが重要です。予め準備したマニュアルのもと訓練を行い、迅速な対応ができるよう備えておきましょう。

③定期的な掲載チェック:ソーシャルメディアのモニタリングも重要

危機管理対応時、今自社が社会からどのように見られているのかを把握しておくことは、その後の広報戦略を立てていくうえで非常に重要になります。社会からの評価、新聞、テレビ、WEB、雑誌などのメディアからの取り上げられ方、そしてインスタグラムやXなどのソーシャルメディアまで、全ての情報をタイムリーにキャッチアップすることが重要です。

特に現代では、危機管理発生後、ある程度メディアからの取り上げられ方や社会からの視線も落ち着いてきたと思っても、SNSを通じて著名人やインフルエンサーが問題に対して言及したことにより、そこから一気に情報の拡散が加速することがあります。また定期的な掲載モニタリングは、メディア対応の際にも重要な情報となりますので不可欠な活動と言えるでしょう。

失敗する危機管理広報

失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

最後の章では、危機管理広報において陥りがちな失敗と注意すべきポイントについて紹介します。

誠意の欠如:単なる事実伝達ではなく真摯な対応を

危機管理広報における最大の失敗は、誠意の欠如と言っても過言ではありません。単に事実を伝えるだけでなく、企業としての誠実な姿勢や今後の対応方針を明確に示すことが重要です。例えば、ある消費財企業が製品の欠陥を事実のみで報告し、対策や誠意のこもった謝罪がない場合、消費者の不信感を増幅させるだけでしょう。

重要なのは、事実だけでなく、今後どのように問題に取り組むかを示し、誠実な姿勢でコミュニケーションを取ることです。そして、謝罪会見を行うのであれば対応者の身なりや発言内容にも十分に配慮する必要があります。

広報部門の単独対応:組織全体での連携が必要

危機管理では、広報部門のみならず企業全体での連携が必要です。特に、IRやリスクマネジメント関連の部署との協力により、一貫した対応が可能となり混乱を避けることができます。

また、必要に応じて弁護士などのコンサルティングを受けることも効果的です。法的な措置も検討したうえで、その後の企業の対応について検討することができます。広報部門単体で取り組むのではなく、専門的な知識を持ったあらゆる部署や組織と連携することが大切です。

情報の管理不備:誤報と炎上を防ぐための正確性を意識

情報の正確な管理は、危機管理広報の要です。迅速な情報開示が求められるからと言って、誤報や不正確な情報を発信してしまうことは、炎上や信頼失墜のリスクを招きます。スピード感を持って正確な情報提供と、透明性の高いコミュニケーションが求められますので、組織全体で複数のメンバーで相互チェックをしたうえで、正しい情報を開示していくよう心がけましょう。

まとめ

失敗しないための危機管理広報マスターガイド!危機管理の基本から応用までを解説

本記事では、危機管理広報の重要性や概念、そして実践的な取り組みについて解説してきました。危機管理広報は、ただ情報を伝えるだけではなく、企業の信頼とブランドイメージを維持し、社会との信頼関係を築くための重要な役割を果たします。まずは、不祥事やトラブル発生を未然に防ぐことが大切です。

また、日頃からメディアやステークホルダーとの良好な関係性を築くことも、危機時に大きな役割を果たします。適切なメディアリレーションズが構築されていたり、SNSやWEBサイトからの情報発信を通じて信頼感のある企業ブランドを構築できていることは、危機が発生した際に企業のブランド回復の早期化にも繋がります。

シェイプウィンでは、PRとマーケティングの融合による総合的なコミュニケーション戦略を提供しており、一社一社のニーズや状況に合わせたオーダーメイドサービスを提案しています。広報・PR活動をトータルサポートして欲しい方、何か広報活動で課題を抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。