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メディアリレーションズとは?広報担当者のための用語解説

メディアリレーションズ

普段何気なく取り組んでいるメディアとの関係づくりやプレスリリースの配信などは、どのような目的のもと取り組んでいますか? 広報活動には取り組んでいるものの、なかなかメディア露出に繋がらないと悩む広報担当者の方も多いのではないでしょうか。

企業のブランド価値を高めるためには、単なるプレスリリースを通じた情報発信に留まらず、メディアリレーションズを最大限に活用した戦略的な広報活動が求められます。

この記事では、メディアリレーションズという言葉の解説や基礎から具体的な活用方法まで、広報担当者として知っておくべき知識やスキルを解説します。メディアとの良好な関係を築き、情報発信を最大化していきましょう。

メディアリレーションズとは

メディアリレーションズとは

メディアリレーションズは、企業や組織がメディアと良好なリレーションを構築することを指します。

「メディアリレーションズ」という用語は、英語の”Media Relations”に由来しています。”Relations”が複数形であることは、一つのメディアに限定されるのではなく、テレビ、ラジオ、新聞、オンラインメディアなど多様なメディアと継続的かつ多面的な関係性を構築することを指しています

多様なメディアとの関係構築は、幅広いステークホルダーにメッセージをより広く伝えることができると同時に、企業のブランド構築や危機管理においても重要な役割を果たしますので、広報担当者やマーケティング担当者にとって必須のスキルと言えるでしょう。まずは、メディアリレーションズの基本概念とその重要性について詳しく見ていきましょう。

広報にメディアリレーションズが重要な理由

メディアリレーションズの役割は多岐にわたりますが、主に重要なポイントを3つ紹介します。

①情報の広範囲な伝達
メディアリレーションズを通じて、様々な背景を持つ人々に対し企業のメッセージを伝えることができます。それが結果として企業の認知度や影響力を拡大することに繋がり 、企業のマーケティング戦略やブランド構築において中心的な役割を果たします。

②信頼性の向上
メディアが企業の情報を報じることにより、企業の社会的な信頼が高まります。メディアでの露出は、企業の評判を向上させるだけでなく、長期的なブランディングを築く上で重要な要素です。

③危機管理
危機管理の対応が発生した際に、メディアとの良好な関係は情報の迅速かつ正確な伝達を可能にし、誤解を最小限に抑えることができます。これにより危機の深刻化を防ぎ、企業のイメージや、ブランディングの保護に繋がります。

メディアリレーションズとパブリシティ

メディアリレーションズとパブリシティは、広報戦略の中でしばしば用いられる用語ですが、目的と方法において大きな違いがあります。

パブリシティは製品やサービスの短期的な宣伝に焦点を当て、一時的なメディアの注目を集めることを目的とします。一方で、メディアリレーションズは長期的な視点でメディアとの関係構築に重点を置き、信頼の確立を目指します。これらの違いを適切に理解し、広報戦略を立案していくことが重要です。

関連記事:パブリシティとは:マーケティングのためのPR戦略

メディアリレーションズとメディアプロモート

メディアリレーションズとメディアプロモートは、どちらも企業の広報戦略において重要な役割を果たしますが、その焦点と目的に大きな違いがあります。

メディアリレーションズは、メディアとの関係を長期にわたり構築し、企業の持続的なイメージを形成することに焦点を当てています。対照的に、メディアプロモートは、短期間のキャンペーンやイベントに焦点を当て、急速な注目を集めることを目的としています。

要するに、メディアプロモートはメディアリレーションズの一環として位置づけられ、長期的なメディアリレーションズ戦略の中で特定の役割を果たしていると言えるでしょう。

メディアリレーションズの具体的な活動内容

メディアリレーションズの具体的な活動内容

これまで基本的なメディアリレーションズに関する概要について解説してきましたが、メディアリレーションズの具体的な活動は、プレスリリースの配信、記者会見の開催、メディア向けイベントの実施など多岐にわたります。

メディアリレーションズの活動を通じて、企業はメディアとの関係を強化し、その情報を広範囲にわたるオーディエンスに伝えることができると同時に、企業のイメージやブランド価値の構築にも寄与します。次の章では、メディアリレーションズの具体的な活動内容を詳しく解説していきます。

プレスリリースの配信

プレスリリースの配信は、新製品の発表、重要なイベントの予告、企業の業績や戦略的な変更など、企業の新しい情報やニュースをメディアに伝える主要な手段です。メディアリレーションズの活動の中でも、中核的な役割と言えるでしょう。

また、プレスリリースは単に情報を伝える手段ではありません。その情報がどのように報道されるかによって、企業に与える影響は変わります。そのため、プレスリリースの内容は明確で誤りがなく、かつ企業が伝えたいメッセージをストーリー立てて作成することが求められます。

適切に配信されたプレスリリースは、メディアに企業の最新動向を迅速に伝えることができますので、メディアリレーションズにおいて重要なステップです。

プレスキット・ファクトブックの用意

メディアリレーションズ戦略として、プレスキットとファクトブックを準備しておくことも重要です。

プレスキットは、企業の基本情報、製品の詳細、重要なニュースリリース、高解像度の画像やビデオなど、メディアが報道を行う際に必要な情報を一つにまとめたパッケージです。一方ファクトブックは、企業の歴史、業績、経営方針、市場データなど、企業のより詳細な背景情報を提供する資料を指します。

プレスキットやファクトブックの準備によって、メディアは迅速かつ容易に正確な情報を入手できるようになるため、報道の正確性が高まり、結果として企業が意図したメッセージを伝えられる可能性が高まります。プレスキットとファクトブックは、報道の質と効果を高めるために重要な役割を果たすと言えるでしょう。

メディアキャラバンの実施

メディアキャラバンは、広報担当者が直接メディアのオフィスを訪問し、企業の最新情報や取り組みについて情報提供することを指します。これにより、メディアは企業に対する理解を深め、より具体的かつ詳細な報道を行うことができます。

メディアキャラバンは、特に新製品の発売や大規模なイベント、重要な企業の変更など、特定のニュースアイテムにフォーカスを当てたい場合に効果的です。

直接的な対話を通じて、ジャーナリストに対して企業のストーリーを深く伝え、企業の立場やビジョンを明確にすることができます。また、メディアキャラバンはメディアとの関係を強化し、今後の報道における企業の見方を形成する上で重要な役割を果たします。

メディアキャラバンは、プレスリリースやメディアイベントとは異なり、よりパーソナライズされたアプローチ方法の一つなので、メディアの特定のニーズや興味に合わせて情報を提供することでメディアの関心を引き、企業のストーリーを効果的に伝えることができます。

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メディアレク・個別ピッチの実施

メディアレクと個別ピッチは、ターゲットを絞った一つのメディアリレーションズの手法です。

メディアレクは、企業のニュースやイベントを特定のメディアやジャーナリストに直接紹介します。単に情報発信をするのではなく、広報担当者がメディアに直接レクチャーをすることで、メディアの興味や報道の方向性を的確に捉え、その場でより関連性の高い情報を提供することができます。

個別ピッチでは、特定のメディアのニーズや関心に合わせて企業の情報をカスタマイズ・提供する、メディアの関心に焦点を当てた手法です。これらの取り組みは、メディアとの関係を強化すると同時に、企業のストーリーをより正確に伝えることができると言えるでしょう。

記者発表会・記者会見の開催

記者発表会と記者会見は言葉としては似ていますが、全く異なる目的を持っています。

記者会見はメディアや公衆の関心に応える受動的なイベントであり、急を要する出来事や重要な問題に対する企業の対応を公表する場です。一方記者発表会は、企業が情報を伝えたい情報がある時に自主的に開催され、新しい製品のローンチや大きなプロジェクトの開始などを発表する機会となります。

これらのイベントは、企業がメディアに対してどのようにコミュニケーションをとるかによってその効果が左右されますので、結果として企業の評判やブランド価値に大きな影響を与えます。そのため記者発表会や記者会見の実施には、戦略的な事前準備が必要となります。

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プレスツアーの実施

プレスツアーは、メディア関係者を企業の施設やイベントに直接招待し、製品やサービスを実際に体験してもらうPR企画です。企業の取り組みや想いを深く理解してもらうことを目的としています。

プレスツアーを通じて、企業が提供する製品やサービスの特徴、それを取り巻くストーリーや背景をメディアに直接伝えることができるため、製品やサービスへの理解を深め、より詳細かつ説得力のある報道を期待することができます。

関連記事:新しい広報アプローチとして注目されている「ラウンドテーブル」とは?

メディアリレーションズのポイント

メディアリレーションズのポイント

それでは、これらのメディアリレーションズの活動を行っていくうえで、どのようなことがポイントとなるのでしょうか。この章では、メディアリレーションズの成果を最大化するために、鍵となるいくつかのポイントがあります。

メディア研究を行う

メディアリレーションズを成功させるためには、まず各メディアの特性を理解することが不可欠です。テレビ、ラジオ、新聞、オンラインメディアなど、それぞれのメディアの特徴とオーディエンスを分析し、適切なコミュニケーション戦略を立てます。

この研究により、どのメディアが企業のニュースに最適かを判断し、効果的なアプローチ戦略を立てることができます。

業界のトレンドを把握しておく

メディアリレーションズの効果を高めるためには、業界のトレンドと市場の動向を常に把握することが重要です。市場の動向、競合の動き、消費者の嗜好の変化などを理解することで、メディアが関心を持つようなタイムリーで関連性の高い情報を提供でき、ニュースバリューを高めることができます。

特に、自社が業界の中でどのような位置にいるか、競合と比べたシェア層やポジショニングを把握することは、ビジネス分野の情報を発信しているメディアに対して非常に有効的な手法です。

メディアが取り上げたい情報を提供する

メディアにとって価値のある情報を提供することは、メディアから信頼される広報担当者になるために求められることと言えるでしょう。そのためにはメディアの視点を理解し、企業のニュースやイベントがメディアの関心事とどのように関連しているのかを検討することが重要です。

自社のニュースをメディアの関心事と関連付け、魅力的なストーリーを立てていくことで、メディアにとって報道したいと感じるニュースになります。

社内の理解が必要

適切なメディアリレーションズの実現には、広報担当者のみならず社内の全部門がメディアリレーションズの重要性を理解し、協力を得ることが重要です。そのためにも広報担当者は、広報活動の意義や広報活動が事業活動にどのように役立っているのかを社内に発信し、各部門から信用を得ることが求められます。社内から情報を引き出すためには社員とのリレーションズ構築も重要な役目なのです。

社内でのコミュニケーションを強化し、メディアが関心を持つようなストーリーや情報を共有するための統一されたアプローチを確立することが求められます。これにより、一貫性のあるメッセージングと効果的なメディア露出を期待することができます。

定期的に情報を発信する

メディアとの関係を保つために、企業から定期的に情報を発信することも求められます。これにより、メディア担当者との連携を強化すると同時に、企業のニュースやイベントが常にメディアの視野に入るようになります。

メディアリレーションズにおいて、一貫して情報を発信し続けることは、メディア担当者との信頼関係を築く上で重要です。定期的なアップデートは、メディアに対して企業が活動的であることを示し、関心を持続させる効果も期待することができます。

これらのポイントに注意を払うことで、メディアリレーションズの効果を最大限に引き出し、企業のメッセージが適切に伝わるようにすることが可能です。

メディア担当者と良い関係を築く

メディア担当者とのコミュニケーションは、企業とメディア間の架け橋となり、互いの理解と信頼を深めるために不可欠です。メディア担当者の関心事や取材スタイルを理解し、そのニーズに合った情報を提供することが求められます。

また、定期的なコミュニケーションを通じて、関係を継続的に構築・維持することも効果的です。具体的には、会合やイベントへの招待です。自社から発信したい情報がある時のみメディア担当者とコンタクトを取るのではなく、定期的にコミュニケーション機会を創出することで、メディア担当者が求めている情報や関心事をタイムリーにキャッチアップすることができます。

そして、メディア担当者が求めている情報提供をしたり社内でインタビュー対応ができる候補者を提案するなど、協力的な姿勢を持つことは、メディア担当者から信頼され良い関係性を築くことに繋がります。

さらに、メディア担当者との関係構築には、企業の透明性と誠実さを示すことも大切です。企業が直面している課題や取り組みについてオープンにコミュニケーションを取ることで、信頼関係を築き、長期的な関係を保つことができるでしょう。

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メディアリレーションズが向いている人

メディアリレーションズ 向いている人

ここまでの章で、メディアリレーションズの重要性、その具体的な活動内容、および成功するためのポイントについて学びました。次に、メディアリレーションズが特に向いている人の特徴やスキルについて解説します。

取材依頼に速やかに答えられる人

取材依頼に素早く反応する能力は、メディアとの良好な関係を維持する上で非常に重要なスキルです。メディアは締め切りに敏感なので、速やかに適切な情報を提供する能力は、メディアとの信頼関係構築の基本となります。

このような迅速性は、メディアとの信頼関係を構築するだけでなく、企業のニュースがタイムリーに報じられる可能性も高めます。

記者の立場を理解している人

ジャーナリストの視点を把握し、メディアの要求に応じて適切な情報を提供する人は、メディアからも信頼される人といえるでしょう。メディアの興味や報道の方向性を把握し、適切な角度から情報を提供することは、メディアの報道の質を高め、良いリレーションを築くための基盤と言えます。

人脈を作るのが好きな人

広範な人脈を築くことが得意な人は、多様なメディア関係者との関係を構築することができ、メディアリレーションズにおいて大きな強みとなります。これにより、様々なメディアからのアクセスやサポートを得ることが可能になります。

メディアリレーションズは、多岐にわたるメディアとの関係構築が鍵となります。人脈を広げ、様々なメディア関係者との接点を持つことが好きな人は、この分野で特に活躍する可能性が高いです。広いネットワークを持つことで、多様なメディアチャネルを通じて企業のメッセージを効果的に伝えることが可能となります。

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メディアリレーションズの注意点

メディアリレーションズ 注意点

メディアリレーションズを行う際、トラブルを避けるためにいくつかの重要な注意点があります。情報発信を行ううえで遵守すべきことを学び、適切に対応することで、企業はメディアとの信頼性のある関係を構築していきましょう。

正確な情報を提供する

メディアリレーションズにおいては、常に正確で信頼できる情報を提供することが重要です。誤った情報を提供することは、企業の信頼性を損ねる原因となるため、情報の検証と正確性の確保が求められます。

掲載内容を無理に要求しない

メディアリレーションズにおいて、メディアの編集方針を尊重することは非常に重要です。メディアは独立した編集権を持ち公平な報道を心がけていますので、明らかな誤りの修正を除き、自社の都合に基づく掲載内容の無理な要求は避けるべきです。企業が自社都合の情報提供に固執することは、メディアとの信頼関係を損なう原因となり得ます。

自社都合の情報提供をしない

メディアリレーションズを成功させるには、メディアのニーズと視点を理解し、それに合った情報を提供することが重要です。メディアは様々な角度から情報を求めており、単に自社のプロモーションに役立つ情報だけを提供するのではなく、メディアの興味や読者の関心に合致する情報を提供することが望ましいです。

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まとめ

メディアリレーションズとは?広報担当者のための用語解説

本記事では、メディアリレーションズの基本概念から具体的な活動内容、成功のためのポイントまでを幅広く解説しました。広報やマーケティング担当者にとってメディアリレーションズは、企業の情報を広く伝え、信頼性を構築する重要な手段です。

メディアとの効果的な関係構築、情報提供の適切性、戦略的なコミュニケーションは、企業のブランド価値の向上に大きく寄与します。この分野における深い理解と実践は、広報活動の成功に不可欠な
要素であると言えるでしょう。

実際にメディアリレーションズに取り掛かるとなると、広報担当者一人では回らないという悩みをよく伺います。実際、アプローチするメディアもたくさんあり、全てのメディアの特性や動向を一人で掴むのは困難です。また、広報担当者はメディアリレーションズだけが仕事ではないため、メディアリレーションズを専任でできる外部パートナーを検討してもよいでしょう。

シェイプウィンのようなPR会社は、アプローチ先のメディアを紹介してくれたり、メディアの動向から戦略を考えてくれたりと、メディアリレーションズ業務を円滑に進められます。当社ではそのようなご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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編集部
広報PRとデジタルマーケティング支援をするシェイプウィンスタッフおよびパートナースタッフによる編集記事です。メディアリレーションズやプレスリリース、メディア露出、ソーシャルメディア、インフルエンサー、SEO、マーケティングなど様々なジャンルを取り扱っており、基本用語から広報初心者やマーケティング担当者に役立つ情報をお届けします。