オウンドメディアを運用する上で目的の明確化は避けて通れないステップです。しかしながら、そもそも「オウンドメディアを運用する目的」にはどのような種類があるのでしょうか?目的別のKGIの立て方に悩んでいる担当者も多いと思います。
オウンドメディアを成功に導くためには戦略と計画が必要です。この記事では、オウンドメディアの目的を明確にする方法と目的別のKGIの設定例について解説していきます。記事を読んで競合他社との差をつけるオウンドメディアを運営しましょう。
オウンドメディアとは
最初に、「そもそもオウンドメディアとはなにか」というところから説明していきます。
オウンドメディアとは、企業や組織が自ら保有し、コントロールできるメディアのことを指します。具体的には、公式ウェブサイトやブログ、SNSアカウントなどが挙げられます。
これらを利用する最大のメリットは、企業のメッセージや情報をターゲットオーディエンスに直接伝えられる点です。他の広告メディアと違い、広告費をかけることなく継続的に情報発信ができるため、コストパフォーマンスに優れています。
オウンドメディアは、広告費を払って掲載するペイドメディア、口コミなどの消費者やユーザーが発信するアーンドメディアと合わせた3大メディアの一つです。そして、オウンドメディアはペイドメディアやアーンドメディアと組み合わせることでさらなる効果を引き出すことができます。
なぜオウンドメディアは重要なのか
現代のマーケティングにおいてのオウンドメディアの重要性は増しています。その理由として、消費者の購入過程において情報収集のフェーズが一段と重要になってきたことが挙げられます。変わりゆくマーケティングの中で、オウンドメディアは消費者の購入プロセスの中心的な役割を果たしています。
企業はオウンドメディアを通じて顧客と直接コミュニケーションを取ることで、ブランドの信頼性を高めることができます。また、継続的な情報提供を通じて、ターゲットオーディエンスとの接触機会を増やすことができるのです。
オウンドメディアの目的とKGI
オウンドメディアを運用する際の目的は、企業や個人事業主それぞれ異なります。
一般的にオウンドメディアの運用の目的は大きく以下の項目が挙げられます。
・ブランド認知度の向上
・リード獲得とエンゲージメントの強化
・商品やサービスの情報発信
・採用の支援
上記の目的に合わせてKGI(Key Goal Indicator)を設定することが、オウンドメディア成功への鍵となります。KGIは「どれだけ目的に近づいたか」を示す指標で、オウンドメディアの成果を評価する上で欠かせません。
KGIとKPIの違い
オウンドメディアの目的を設定したら、同時に目的に基づくKGIとKPIを設定すると思います。しかし、KGIとKPIを混乱させてしまう方が多いので一度ここで整理しておきましょう。
KGIとKPIは、どちらも共に成果の評価や目標達成を見るための指標ですが、その役割と意味合いが異なります。
KGIは「目標」に対する達成度を示すもので、上記で述べたようにオウンドメディアの目的達成を示す指標となります。一方、KPI(Key Performance Indicator)は、その目標に至るための「過程」を示す指標です。
例えば、オウンドメディアの目的が「商品やサービスの認知度を上げ、最終的に購買してもらう」であれば、KGIは「Webサイトからのお問い合わせ数」、KPIは「Webサイトの訪問者数」など具体的な数値目標として設定されることが一般的です。
KGIとKPIは目的を達成するために適切に設定し連携させることで、オウンドメディアの戦略的な運用とその効果を的確に把握することが可能になります。
成功するオウンドメディアの目的の設定方法
成功するオウンドメディアの秘訣は、戦略的な目的設定にあります。ビジネスの目標からオウンドメディアの具体的な目的、KGI、KPIの設定、戦略策定、そして継続的な評価・改善へとつなげる手法を探っていきましょう。
1:ビジネス目標の明確化
すべてのマーケティング活動の根底にはビジネスの目標が存在します。オウンドメディアも例外ではありません。そのため、まずは何のためにオウンドメディアを始めるのか、ビジネスの視点で目標を明確にしましょう。目的を明確にすることで、リソースの割り当てや投資計画、コンテンツ戦略の方向性も具体的になります。また、ステークホルダーとのコミュニケーションがスムーズに進み、組織全体での取り組みが容易となります。
2:環境分析
ビジネスの目標を確認したら、次は環境分析です。
環境分析とは、企業や組織が外部環境の変動や傾向を理解し、その影響を評価するためのプロセスです。
環境分析は、ただ情報を集めるだけではなく、その情報からビジネスのチャンスやリスクを発見し、戦略の方向性を見つけ出す活動です。SWOT分析やPEST分析も役立つツールとして考えられます。これらのツールを駆使して、ビジネスの強みや弱み、外部環境での脅威や機会を明確にすることで、オウンドメディアの方向性を強固にすることができます。
おすすめの分析方法は、3C分析というフレームワークを使用することです。
3C分析は、「Company:自社」「Customer:顧客」「Competitor:競合」の頭文字を取った略です。3C分析を行うことで、顧客が望んでいて他社が提供できない自社が提供可能な価値、つまりバリュープロポジションを見つけることが可能になります。
バリュープロポジションが明確だと、オウンドメディアで刺さるメッセージをターゲットユーザーに効果的に伝えやすくなります。
3:オウンドメディアの目的設定
自社の強みとターゲットユーザーにつたえるべきメッセージがわかったら、次にオウンドメディアの具体的な目的を設定します。
オウンドメディアの目的は、単なる「知名度向上」や「トラフィック増加」だけではありません。深い顧客エンゲージメントの構築や、ブランドへの信頼性の強化、購買行動への誘導など、多岐にわたる目的を持つことができます。
目的は必ずビジネスの目標達成につながるものでなければなりません。そして、目的に合わせてコンテンツの質や量、配信頻度などを最適化することが重要です。
原則として、オウンドメディアで発信する内容がぶれないように目的は1つのみにしましょう。2つ以上の目的を設定してしまうとターゲットユーザーがぶれてしまい、成果の出にくいオウンドメディアになってしまう可能性があります。
オウンドメディアの目的設定の際は、常に一番最初に確認したビジネスの目標を基にすることを心がけましょう。
ここからはオウンドメディアの目的をサービスの売上拡大と仮定して、以下のKGI、KPIの設定を見ていきましょう。
4:KGIの設定
オウンドメディアの目的が設定されたら、その目的を達成するためのKGI(Key Goal Indicator)を設定します。これは、大まかな目標達成度を示す指標として重要です。
さきほどオウンドメディアの目的を「サービスの売上拡大」と設定したので、KGIはこの目的を達成するために具体的な目標数値を設定します。
ここでは、オウンドメディア経由での商品Aの売上を一つあたり1万円として、年間1,000万円を目指すとします。
KPIの設定
次に、KGIの達成をサポートするKPI(Key Performance Indicator)を設定します。KPIは、日常の運用でチェックすべき、より具体的な指標です。
今回の例で言うと、KPIは以下のようなものが考えられます。
・月間訪問者数:3320人
コンバージョン率が2.5%の場合、1ヶ月で約83個の商品Aを販売するためには3,320人の訪問者が必要です(83個 ÷ 2.5% = 3,320人)
・月間離脱率:サイト訪問後に直ちに離れるユーザーの割合。30%以下を目標とします。
・平均セッション時間:訪問者がサイトで過ごす平均時間。3分以上を目標とします。
これらのKPIの達成をサポートするための戦略やアクションプランの策定、及び定期的な監視・調整を行なっていきます。
KPIを過度に多く設定すると焦点が散漫となり、結果的に全体の成果が出にくくなる可能性があります。重要なのは、実際のビジネスの現場での実効性のあるKPIを絞り込むこと。そのためのデータの収集や分析、そしてその結果をもとにした戦略の修正や最適化が必要です。
戦略の策定と運用
目的やKGI、KPIを明確にした後、戦略の具体的な立案へと進めます。このフェーズで、どのコンテンツを作成するかや、配信方法などのアクションプランを詳細に検討します。そして、このプランに沿って実施することで、設定した目標へと近づいていきます。
マーケティング戦略は、トレンドの移り変わりや市場の変動、技術の進歩といった多くの外部要因に影響を受けるため、戦略の調整や更新が不可欠です。このような変動に迅速かつ柔軟に対応できるよう定期的な見直しを行い、変更の可能性を頭に置いておくことが必要とされます。
評価と改善
オウンドメディアの運用を開始したら、定期的にKPIやKGIをもとに効果を評価しましょう。そして、必要に応じて内容の見直しや改善を行うことで、より高い効果を得ることができます。この繰り返しにより、オウンドメディアは日々進化し、ビジネスの成功を後押しする強力なツールとなるでしょう。
関連記事:
オウンドメディアの作り方 具体的な4つのステップ
オウンドメディアの費用 立ち上げから運用までのかかる費用を解説
オウンドメディアの目的別KGIの例
オウンドメディアの運用を成功させるためには、明確な目的に応じたKGI(主要目標指標)の設定が欠かせません。それぞれの目的に対する具体的なKGIの例を以下に示します。オウンドメディアの成功は数字で可視化される瞬間が醍醐味ですが、特にKGI(主要目標指標)は、その指針となる重要な指標です。さまざまなオウンドメディアの目的に基づいたKGIの例を紹介します。
リード獲得
「ウェブサイトを見て商品に興味を持ったけど…」という訪問者を取り込むための手法がリード獲得です。
リード獲得は、多くの企業がオウンドメディアを運用する主要な目的の一つです。そのためのKGIの例としては、以下の二つが考えられます。
・ お問い合わせ数:商品やサービスに明確に関心を示すユーザーの数。
・ 資料請求数:資料の内容の魅力を表す指標。高ければ高いほど魅力的といえます。
リード獲得の際のKGIは、オウンドメディアを訪れたユーザーがサービスや商品にどれだけ魅力を感じているかを示します。特に、お問い合わせ数の増加は顕在的な見込み客が増えることを意味します。
採用活動の強化
オウンドメディアを通じて良い人材の採用や採用活動の強化を目指す場合、以下のようなKGIが考えられます。
・採用ページの月間訪問者数:企業の採用に興味を示す人の数。
・求人応募数:実際にその企業を選びたいと考える人の数。
上記の指標により、採用情報や企業の魅力が適切に伝達できているかを測定できます。
ブランド認知度の強化
ブランドをもっと多くの人に知ってもらうためのKGIとして、以下の指標が挙げられます。
・月間総訪問者数:ブランドへの関心や知名度の高さを示す。
・指名検索の検索ボリューム:ブランドや企業に対する興味の度合いを示す。
これらの指標から、ブランドへの関心や認知度を把握することができます。
顧客ロイヤリティの向上
顧客のロイヤリティを深めるためのKGIとしては、以下の指標が挙げられます。
・リピート訪問者の割合:再度訪れてくれるお客様の数。高ければ、コンテンツの魅力が伝わっていることを示します。
・訪問者の平均滞在時間:訪問者のサイトでの滞在時間。長ければ、興味を持ってコンテンツを読んでいる可能性が高まります。
これらの指標は、顧客がコンテンツにどれだけ興味を持ち、長くサイトを利用しているかを示します。上記のKGIの例を参考に、オウンドメディアの目的を明確にし、それに応じたKGIを設定することで、より効果的な運用が期待できます。
まとめ
オウンドメディアの成果を最大化するためには、単に多くのコンテンツを発信するだけでは不十分です。成功の鍵は「明確な目的」にあります。
ブランドの認知度を高めたい、新しいリードを獲得したいといった具体的な目的を持ち、それに基づいた戦略やKGI・KPIを設定することで、目標達成に向けた取り組みが可能となります。
オウンドメディアの成功は、一つの方法論だけではなく、多角的なアプローチと経験に裏打ちされた戦略によってもたらされます。明確な目的とKGI・KPIの設定を基に、SEO、SNS、PRなどのマーケティング手法と組み合わせることで、オウンドメディアの効果を最大化することが可能です。
シェイプウィンではオウンドメディアだけではなく、SEO、SNS、PRを組み合わせた最適なマーケティング戦略で200社以上の企業を支援してきました。
オウンドメディア、PR、SEO、SNSの運用に関するご相談やサポートが必要であれば、シェイプウィンにお問合せください。